ネツエン
店中の人から激励を受け 体をフルフル
させると 暫くして 口を開いた
「どうも どうも 有難う御座います」
「皆さんの為に これからも ココロを込めて
作ります! “ 隠れ処”を宜しくお願いします」
深く一礼すると それに皆が答えた
「これからも 来るからな〜」
「美味しい料理 期待してるわよ!」
皆からの 様々な言葉が 飛び交った
「有難う 君のお陰で悩みから解放されたよ」
カウンター越しに 阿部さんに言った
ところが 当の本人は 食べるのに夢中だった
「あ 阿部さん・・・」俺が名前を呼ぶと
口をモグモグしながら 言った
「え⁉ 何ですか?とっても美味しいですよ」
次の瞬間 店中が 笑い声で 溢れた
そして気付けば休憩時間が 残り僅かになって
いて 俺達は慌てて店を出て 会社に向かった
俺の左側で阿部さんは 何故か終始俯いていた
「さっきの熱演は 凄かったね」
「い いえ そんな」「ただ夢中で・・・」
「何か すいませんでした」俯いたまま答えた
「いや謝る事は無いよ 俺はあの時何も言葉が
浮かばなかったんだ」
「だから 凄いなって 思ったんだ」
「そ そ そんな そんな事無いです〜」
そう言うと真っ赤な顔で 両手を横に振り
そして再び俯いた
こうして見ると さっき大勢の前で 熱演した
様には とても思えなかった
俺は あの時悩みを打ち明けられて 助言して
やる事が 出来なかったのに・・・
色々考えていると 会社が目の前だった
会社に着くと 阿部さんが 深く一礼しながら
「今日はランチをご馳走して頂いたり 気を使
ってもらったり有難う御座います」
そう言い残し 走り去った
「あ・・・」お礼なんていいのに と言うか
返事さえ する間もなかった・・・
まぁ いいか さて残りの仕事片付けるか
そして俺も自分の部署に戻ったのだった




