ゲンジツ
俺にとって三日ぶりの出勤だったが 別に普
段と何も変わらなかった 俺に声をかけてきた
のは 同じ部署で少し仲のいい同僚だけ
「大丈夫だったか?お見舞いに行ったけどさ
隣の部署の ほら誰だっけ あの子 え〜と」
ボソボソと耳元で囁く様に言った
「ああ 阿部さんか?」
俺もその声につられて ボソッと答えた
「そうそう あの子がお前の側に ずっと居た
からさ 病室に入り辛くて 帰ったんだよ」
「え? ずっと?」
「看護婦の話だと 夕方に来て 朝になると
仕事に行き 次の日もまた同じ様にさ」
「まぢか?」
「看護婦が嘘言っても仕方ないだろ?」
「お前 愛されてるんじゃね〜?」
「そりゃ幾ら何でも 話が飛躍しすぎだろ?」
「だけど何も想ってない奴に そこまでは普通
出来ないだろ?」
まぁ確かに 俺もそうだとは 思う 思うが
アイツだって 付き合い始めた頃はそうだった
色々と してくれてた 俺もそれに応えるべく
頑張ってきた だが何時の間にか アイツの
ココロに 俺はいなくなっていたんだ
俺とアイツの五年間も たったの一言で
終わってしまった それが現実なんだ
愛してるとか ずっと一緒とか そんな言葉を
鵜呑みに信じた俺が 馬鹿だったんだ・・・
「ところでさ その阿部さんの事 お前は どう
思ってんだ?」
「どうって言われてもな・・・」
俺が返事に詰まっていると 同僚が言った
「まぁ慌てて結論出す事も ないだろう」
「男と女 始めは所詮他人同士なんだし それ
ぞれ価値観や考え方も 違うだろうしな」
「だけど 出逢いや別れを繰り返す内に
こいつだって 思える相手が見つかる と俺は
思ってんだよな」
俺は 同僚の言葉に感心した
「お前 今いい事言った!そう思っただろ!」
「思った!イマイチか?イマイチだった?」
「いやバッチリだ その通りだと思ったよ」
だけどその繰り返し それがキツイんだよ
現実は キツイよ・・・俺は そう 思った




