白色という名の硝子玉
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今回はほんのすこし残酷描写があります。といってもやはり大したものではありません。
「雨欺白雪。暁留の従兄だけど?」
「信用できませんね。私はあなたのことを知りませんから。私が雨欺の誰かを知らないなんてそんなことがあるはずありません。」
すごい自信だなぁ……。
「やっぱり記憶を消されちゃってるわけね……あんのクソ爺。」
「てめえ、とっととUSBを渡せつってんだろうが!こそこそ隠れやがって。」
「あ、見つかっちゃった。」
いいのかな、そんなにのんきに構えてて。
「さあ、撃たれたくなきゃとっとと渡せ。」
「うん。あのさ、僕今雪白の記憶を戻すのに忙しいんだ。だから君たちとは遊んでられないの。ごめんね?」
そう言って、銃を引き抜き撃つ。その間約数秒。そこにいた悪人(?)が全員倒れる。
「何それ?」
「ん?麻酔銃。ただしかなりの威力。便利だよ?殺すこともないしね。」
「よく空港で何も言われませんでしたね……」
「んーだってほら向こうの空港の人も雨欺が何人かいたから。っていうかきみ誰?」
「あ、申し遅れました。私、深桜仄亞と申します。」
深々とお辞儀。いかなるときにも礼儀は大事。
「ふうん、で、暁留の片翼なのか。深桜ねぇ……あの深桜?」
「はい、あの深桜ですね。」
「ややこしいのを片翼にしたなぁ……ま、惚れたもんは仕方ないか。しっかし桜門六花かぁ……あーあ、色々面倒事が起きそうだね。君、本家?分家?」
「生粋の本家令嬢です。」
「うわー……ま、なんかあったら協力はするけどさ。本家令嬢ねぇ……ほんっと面倒。」
自分でもそう思いますよ白雪さん。
「で、あなたはどちら様ですか。」
銃を向けたまま訊く雪白。うん、怖いよ、なんか殺気が感じられるよ。
「だーかーらー雨欺白雪だって何度も言ってるだろ?偽名じゃないよ。本名だよ。君こそ自分のことちゃんと分かってる?」
「私は雨欺雪白です。それ以外の何でもありません。」
「本当に?」
そう言って雪白を見つめる白雪さん。笑顔だけどなんか……怒ってる?
「本当です!」
「君の名前は誰からもらった名前?」
「そんなの両親からに決まって……決まって……」
「君は何色?」
「白色です。」
「誰からもらった色?」
「私の色は私の……」
雪白の銃を持つ手が震えている。
「ねえ、君は誰?」
「私……私は……」
「君は白なんかじゃなかったでしょう?君はただ色を映し出すだけの……」
「そう、私は色を映し出すためだけの硝子球……あれ……?」
足まで震え始めた。大丈夫かな?
「さあ、君の名前は何?」
「私は……私は……私は……誰?」
「その問いには昔ちゃんと答えてあげたでしょう?」
はい、雪白が何がついてなくていわくが付いてるかお分かりになりましたか?硝子玉については活動報告のほうで書くと思いますが、要するに《色》がついてないんですね。雨欺は色を持つ一族ですから彼女は異端なんです。それを白雪が好き勝手染め上げたと。こうして雪白が出来上がったのです。ちなみにこの名前は改名されたもので、元の名前は硝子ナンバー009とかいうふざけたものでした。さすがに役所には硝子で出したんでしょうが。この話は長くなるのでいずれ番外で書きます。
雪白、白雪。名前がさかさまなだけなのは、偶然ではありませんよ?理由があるんです……。