寂しがり屋という名の自分のためなら何だってやる男
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兄弟って普通ここまで仲良くないと思うんですよねー……
「え?ああ……だって一緒にお風呂入ってたし。」
……あれ?おっかしいな、計算間違えたかな?ええっと、雪さんが十六歳の時だよね。
「仄亞ちゃん、計算は間違えてないからね?」
「……だよね。」
普通八歳にもなって兄とお風呂に入るか?
「なんていうか一人で入るって言う時期を見失ってさ。」
「というか僕が言わせなかったんだよ。おかげでアメリカじゃ一人でお風呂入るのが寂しくて寂しくて。」
「だから一緒に入ろうとか言ってきたんですね?」
「誘ったのにカナちゃんのってくれなかったしさ。」
「で、僕に電話してきたんだね……」
「うん。」
雪さんは思いのほか寂しがり屋だった!ウサギさんだった!
「似合いそうだなぁ、ウサギコスプレ。」
「仄亞ちゃん?なんか目が怖いよ?」
「気のせい。」
雪さんちょっとだけ幼い顔立ちだしなぁ。可愛いだろうなぁ……そうだよ、雪さんばっかり暁留と遊んでずるいし、その恨みも含めてコスプレしてもらおう。
「ね、雪さん。ウサギのコスプレしない?ていうかしろ。」
「はい?」
「いやぁ、雪さんばっかり暁留と遊んでてずるいし。うん、ずるいよね。すごいずるいよね。だって暁留は私のモノなんだよ?これってあれだよね?いわゆる泥棒だよね。窃盗罪で逮捕だよね。」
ずるい。ずるいずるいずるい。暁留は私のモノなのに。
「……仄亞ちゃん?」
「うん、雪さんの処罰は後にする。」
「え?っていうか結局処罰されるの僕。」
「の前に暁留を……」
「いや、待って。僕何もしてないよ?っていうかもしかしなくてもスイッチ入ったね?完全にオンになってるよね。」
スイッチオン上等。どうせ身内しかいないしここ。私は無理やり暁留を押し倒す。したたかに頭を打つ音がした。まあここ絨毯が敷かれているからそこまでの打撃はないはずだし、ましてや《雨欺》がこの程度で死ぬわけないんだけど。
「んで?何すんの?」
「うーん……とりあえずブレザーを脱がそうかと。」
「まあそれくらいなら身内しかいないからいいか。僕が暴走しなけりゃ大したことにはならないんだし。」
そうそう、おとなしくしてればいいんだよ。
「暁留が雪さんといちゃついてるからいけないんだよ?」
「あーはいはいそーですねー。」
むぅ。相手にされてないし。
「大体仕方ないと思うんだよね、兄弟だしさ。」
「普通の兄弟はそんなに仲良くないもん。」
事実私とお兄ちゃんでもそこまで仲は良くない。というか一度も一緒にお風呂入ったことないな。うん。お隣のお兄ちゃんとはあるけど……それはあれだよね。最終的に恋人同士になったんだからいいよね。
「そうなの?」
「そうなんだろうね。普通は。」
「……分かってるなら雪兄も教えてよ。」
「僕が自分のためならなんだってすること知ってるだろ?」
「……そーだね。」
あ、諦めた。
仄亞さん、スイッチが入っちゃった編。この子はある意味誰よりも怖いかもしれません。
ちなみに、彼女は暁留と恋人同士になる前から一緒にお風呂入ってました。暁留、お前はよく耐えたよ。うん。