小話 お正月という名の挨拶まわり
新年あけましておめでとうございます。拙い物語ですが本年もよろしくお願いします<(_ _)>
白雪視点です。長め。
「おはよう。」
「……ん、おはよ。仄亞、朝だよ。」
僕が暁留の部屋に(無断で)入った時、最愛の弟は眠っていた。彼女とともに。
「新年早々何やってるんだよ。」
「あ、おはよー……雪さん?なんでいるの?」
「お年玉を与えにだよ。」
二人にお年玉をあげる。まあ社会人だからね。
「ありがとーございます。」
「ありがとう、雪兄。」
「うん、で?新年早々何やってるのかな?」
「えへへ。」
笑ってすますってよくないと思うんだよね。
「新年早々遊んでました。」
「……」
……開き直るのもよくないと思うんだよね。
「おかげで寝不足なんだよー……まあいいんだけどね。」
「暁留……お前ってやつは……」
「いいでしょ。ああ、羨ましいの?」
普段の三割増し艶っぽい笑顔で言われてもねー……弟の可愛さを実感するだけだよ。
「誰が羨ましいかっての。ったく……二人ともその顔で咲良さんたちのとこ行くなよ。何してたかばればれだから。」
「お母さんなら許してくれそうだけどね。」
「うるさいのがいるからなあ……数人さんって帰ってるの?」
「うーん……昨日の夜中に帰ってきてると思う。帰ってこなきゃよかったのに。」
仄亞ちゃんは父親が嫌いらしい。というか……
「あのさ、今の状況を数人さんが見たら……」
「ああ……大丈夫。多分お母さんが言いくるめるから。」
恐るべき咲良さん。
「さてと、着替えようか。うるさいのは瀬戸に預けよう。」
「実希とは一緒に初詣行くんだよね。それまでにお兄ちゃんの怒りが収まってるといいけど。」
そう言いながら着替えを始める二人。さて、僕はどうすればいいんだろう?
「雪兄は先に行ってて。」
そーですか、彼女の身体は見せたくないですか。
「はいはい。初詣の後は分かってると思うけど面倒なご挨拶ね。」
「分かってるよ。」
雨欺本家へのご挨拶だ。面倒だなあ。ここ数年はアメリカだったから行ってなかったんだよね。
大人の面倒な挨拶が終わった直後に二人がやってきた。
「あけましておめでとうございます。本年もどうぞよろしく。」
ああ、言ってなかったな。
「うん。あけましておめでとう。今年もよろしく。あと、これをヨロシク。」
これ=暁留。
「雪兄?」
「だってお前仄亞ちゃんに見捨てられたら終わるし。」
「で?お前ら新年早々何をやってたんだ?」
ああ、桐生君が怒ってるよ。
「何だろうね。」
「お前!」
「まあまあいいじゃないの。ほら、二人ともお年玉。」
「あ、ありがとうございます。」
「ありがとう。」
数人さんは、咲良さんに言いくるめられたようで、何も言わなかった。
「仄亞、お年玉だ。」
「ああ、ありがとう。」
うわー……笑顔がないよ。
「暁留君も。」
「ありがとうございます。」
うわー笑顔だよ。胡散臭い笑顔だよ。
「二人とも貯金はちゃんとしておくんだよ?」
どうせ、雨欺の方から山のように来るんだし。
「大丈夫。分かってるよ。」
「まあ今のところ欲しいものないし。ああ、雪兄、五円ちょうだい。仄亞が小銭ないんだって。」
ああ、お賽銭ね。
「はいはい。初詣行ってからね。」
その時、ばたんとドアの開く音がする。真っ白な少女が現れる。
「遅れてすみません!」
愛しい彼女。彼女にも言っておかなければ。
「雪白。」
「なんですか?」
「あけましておめでとう。今年もよろしく。」
「こちらこそ、今年もよろしくお願いします。」
愛しい彼女は笑顔で答えた。
暁留と仄亞が何をやっていたかはご想像にお任せします……新年早々すみません。(苦笑)