小話 クリスマスという名のバカップルのための日
前よりは短めです。ただただバカップル。
「あ、雪だぁ……」
「あー……どおりで寒いと思った。」
「夢のないこと言わないでよ。ホワイトクリスマスですよ暁留くん。」
「んー……寒い。仄亞もっとこっち。」
現在私たちはベッドの中だったりする。っていっても何かいかがわしいことをしていたわけではない。単純に添い寝してるだけ。
「僕より窓のほうがいいの……?」
「あーもう……はいはい。これでいいんでしょ。」
身体を反転。暁留の傍に寄る。
「ん。これでいいの。」
抱きしめられる。なんだろう、大型犬にしか見えないよ。
「んん……手はこっち。」
はいはい、抱きしめればいいんだね。
「あったかくて気持ちいい……なんで?」
「さあ……」
なんでと言われても。
「暁留、そろそろ起きないと。お腹すくよ?」
「いい。」
……我儘野郎め。
「そう言わないの。ほら、起きなって。」
「や。」
「じゃあご飯できたら呼ぶね。」
ここから出ようとすると不満そうにしながらも解放された。
「暁留はそこで待ってなよ。ちゃんとストーブつけて、部屋あっためて、ついでにブランケットも温めとくから。人肌で。」
「やだ。一人のベッドは寂しいもん。」
本音が駄々漏れだな。寒くて寝起きでなおかつここに私しかいないからか。ほんっと、分かりやすい。これじゃあどっちが年上か分かんないよ。
「寒い……」
「そうだね。寒いね。」
まあこう言ってられるうちはいい。本当に辛い時なら寒さも分からないのだから。
顔を洗って(もちろん誰かさんのためにお湯。)髪をくくる。で、我儘野郎の世話。
「椅子も冷たい。」
「座ってたら温くなるよ。」
トースターに食パンを入れて、冷蔵庫から卵とハムを取り出して、フライパンで焼いて……お湯沸かして紅茶を二杯。トーストとハムエッグと紅茶。これでいいか。
「はい。」
「ん……いただきます。」
「美味しい?」
「美味しい。」
それはよかった。
「はい、ブランケット。」
「あったかい。」
そりゃああんたのためにぬくくしたからな。
「どっか出かける?」
「出かける。」
珍しいなあ、寒いのに。
「じゃあ一緒に出かけようか。」
「うん。ねえ仄亞。」
「なに?」
「愛してるよ。」
「私も愛してるよ。」
「やっぱり地声のほうがいいね。」
そういや一年前は電話だったっけ。
「ね、暁留。」
「なに?」
「出かけるときさ、手つないでいい?」
「いいけど……珍しいね。仄亞がそんなこと言うの。」
「うん、なんかね。」
嬉しくなったから。
今日は手袋を片方忘れていこう。そうすればコートの中で指を絡めることができるから。
ただのバカップルです。本当。ムカついてきました。なんか。(彼氏?何それおいしーの?)