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小話 ハロウィンという名の甘い時間

PV20000アクセスを超えました。これも読者の皆さま方のおかげでございます。そろそろ作者もヒキ気味な物語ですが、これからもよろしくしてやってくださると幸いです。

一日遅れましたがハロウィン小話です。前半は過去。後半は現在より少し未来のお話。後半は甘い上にヤンデレ注意報が出ております。ご注意ください。

「とりっくおあとりーと。」

「へ?」

一瞬何を言われたのかが分からなかった。彼女の差し出した手と、壁に掛けられたカレンダーを見て気づく。ああ、ハロウィンか。

「と言われても……」

何もないんですが。

「お母さんがこう言ったらアキお兄ちゃんがおいしいお菓子くれるって。」

なるほど、咲良さんの入れ知恵か。しかし困ったな、何もないって言って悪戯されるのだけは勘弁だ。自分が悪戯するのはいいんだけど。

「ね、アキお兄ちゃん。とりっくおあとりーと。」

「うーんっと、仄ちゃんがその意味分かってたらお菓子あげる。」

これで時間は稼げる。

「お菓子くれなきゃいたずらするぞ。」

知ってた!まずい、まずいよこれ。雪兄、こんな時どうしてたよ……いや、そもそもあの人いっつもお菓子持ってたな、フリ○クとかミ○ティアとか、薄荷だけが綺麗さっぱり抜き取られた佐久○ドロップスとか!

「……ちなみに持ってないって言ったらどうするつもりなのかな?」

「うーん……アキお兄ちゃんと遊園地に行きたいな!」

ああ、素晴らしきかな純粋無垢。そんな悪戯なら僕大歓迎だよ。

「じゃあ遊園地でパフェでも奢ってあげるよ。」

「ほんと!?」

「もちろん。準備して?」

そう言うと、隣家の少女はパタパタとお家へかけて行った。




「trick or treat!」

「Happy halloween.」

僕は持っていたオレンジの飴玉をあげる。

「むぅ。」

どうやら僕の《片翼》は不満なようだ。

「お菓子、いらないの?」

「あのさー……ちょっとだけ、期待したのにさ?変なところで鈍いよね、暁留って。」

……ああ、そういうことか。

「ま、いいんだけど。」

よくない、僕が非常によくない。でも今日遊園地に行くのはちょっとな……色々忙しいし。ということで。

「飴、返して。」

「は?」

「いただきます。」

「え、あ、あーーーーーーー!!!!!!!」

僕はオレンジの飴玉を口に入れる。うん、おいし。さてと。怒っている彼女の唇に自分の唇を押し当てる。そして、彼女の舌の上に甘い飴玉を乗っけておしまい。

「今度、埋め合わせでデートするから、今回はこれで許してよ。」

顔を真っ赤にする彼女に微笑みかける。彼女曰く究極の微笑みで。

「あ、う、ん。」

「可愛いよ。僕だけの仄亞。永遠に僕だけのモノでいるんだよ?他の男にそんな顔したらただじゃおかない。」

もし、そんなことがあれば、僕は彼女を部屋に縛り付けてしまうだろう。それは、甘美な誘惑だけれど。きっと、それは禁じられた行為だから。そして何より僕の歯止めが利かなくなるから。だから。

「大人しく来年も僕の隣にいてよね。」

そうしてくれなくちゃ、きっと狂ってしまうから。

「うん。いるよ。絶対に。約束する。」

そうしてくれるとありがたい。僕も変なことして雪兄に怒られたくはないし。

「あまりにベタなことしてくれたから一瞬暁留じゃないかもしれないとか思っちゃったよ。よかった。紛れもなく暁留だ。」

「お褒め頂き光栄。」

「褒めてないし。」


願わくば、彼女が永遠に僕の隣にいてくれますように。こんな何でもない日々が永久に続いてくれますように。


「暁留?」

「ん、なんでもないよ。」

これは、誰かを失ったことのある人の願いだ。誰かが隣から消えてしまったものの切なる叫びだ。それなら君はこんな願いを知らなくていい。


たとえ死んだって僕は君をとらえて離さないから。


いかがでしたでしょうか。え、最後の一文?ええ、甘いセリフではなく怖いセリフです。ちなみに暁留が失った人は両親、(一時的に)兄、《片翼》です。後半二人は帰ってきましたし、ましてや白雪は自分から離れて行ったわけではありませんが。

ヤンデレ度で行くと暁留が一位かなぁ。二位は仄亞で、三位が白雪。ただしこいつは弟相手に病んでるだけで《片翼》にはそこまで病んでませんが。

だいたい、雨欺はみんなヤンデレですよ。仄亞はまだ雨欺ではありませんが。

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