雨欺という名の恐ろしい世界
短め?
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「失礼します。」
「おう。」
あれ?部屋に学園長がいないのに声が聞こえたよ?しかも聞き覚えのある声が。
「おー、おかえり。ホノ。」
そこに立っていたのはよれよれの白衣を着た、男。っていうかこの人……
「笙さん?」
雨欺笙月。ここの保健医にして白雪さんと同級生。過去にそれなりにお世話になった人。
「俺があまりに色っぽくなって分からなかったか。」
「いえ、ふっっっつうに分かりました。」
最後に会ったときに二十歳越えてたし。
「ま、そうなるわな。んで?なんか、白い髪した野郎が見えるのは俺の気のせいなわけ?できれば気のせいであってほしいんデスケド。」
「気のせいじゃないっての。」
「うっわーマジかよ。なんで帰ってきた。」
仲悪いのかな?この二人って。
「暁留がそろそろやばそうだったじゃん?だから帰ってきた。まさか《片翼》と被っちゃうとは思ってなかったんだけど。」
「連絡ぐらいしろよ。」
「いやぁ、サプライズにならないでしょ。」
そんな理由で連絡しなかったのか……さっきから思ってたけど、この人かなり自分中心だよね?
「んで?雪白の記憶は。」
「数分で戻した。あんなばかばかしい術、僕が解けないとでも思ってるの?」
どこか馬鹿にした声で言う。いいや、違うな。本当に、馬鹿にしているんだ。この人は。心底、これ以上もなく、馬鹿にしているんだ。雨欺という存在全てを。
「おい、あれはわしらが丸一日かけた術なんじゃが。」
かわいそうなおじい様。才能の違いって恐ろしいね。どれだけもがいたって、才能もあり、努力もしたであろう雪さんを超えられない。
「だから言っただろう?僕が牙を剥く前から負けているって。そういうことだよ。実力主義、あんたらが言ったんだよ?力がないものはいらないって。喰われたくなきゃ力を手に入れろって。その通りだね。本当。ほんっっっとうに笑える話だね。」
力さえあれば、簡単にのし上がれる、恐ろしい世界。それが雨欺。才能がなければ生き残れず、ただただ自分の人生が喰われていくだけ。
「……無駄に力をつけよって。」
「そこに何か問題でもあるの?」
「……悔しいことに、全く、これっぽっちも、何一つとして、問題ない。」
「それならいいでしょう?君たちを馬鹿にしようと。どうだっていいでしょう?事実なんだからさ。」
「クソガキが……」
「負け犬の遠吠えって知ってる?」
「白雪さん!」
「何?」
「さすがに、馬鹿にしすぎですよ。私のことはもういいですから。もう、いいですから。ね?落ち着きましょう?」
「他にも色々と気にくわないことがあるんだよ。」
この人、心底嫌いなものと好きなものに対する対応が違うなおい。
「ま、でも僕が馬鹿にする相手はここにいるジジイでも、ましてやショウでもないからね。」
「ったく。急にキレんなよ。お前のキレ方は怖いんだからな?」
「はいはい。ま、メインディッシュは最後にとっとかないとね。美味しく、料理して、頂かないと……ね?」
舌舐めずりする雪さん。あ、なんか今黒いものが見えた。あと地獄が見えた。
「それまでは仄亞ちゃんたちとイチャイチャしてればいいんだし。」
「「「ちょっと待て(待ってください)。」」」
三人(すなわち犠牲者になるであろう人々)で一斉に止める。
雨欺笙月……《色》は黄色。能力は高め。暁留達には到底及びませんが。というか奴らが異常なんですね。保健医。歳は白雪と同い年。それなりの常識人。
さて、えー多分次の更新は遅くなる……かと。一週間後には更新できると思いますが……不定期ですみません。本当にごめんなさい。