兄という名のあだ名
知らない間に一週間近く経過。すみません……
「別にいいんじゃない?事実そう呼ぶ人も……いなかったけど。」
「いなかったの?」
一番呼びやすそうなのに。
「ユキって言うのは結構いた。偽名の都合とか呼びやすさとかで。」
ああ、そこに「さん」は誰もつけなかったのね。
「基本的に同輩や年上の人が白雪で、暁留は雪兄でしょ?雪白が白雪さんで、両親は白雪とかユキとかだったし、身内の年下の子は白雪さんとか雪兄さんとか雪お兄ちゃんとか。うん。そんな感じ?」
もののみごとに「雪さん」がいない。言いやすいのに。
「お兄ちゃんだとどうしてもそこにいるお兄ちゃんか、アキお兄ちゃんしか出てこないから……」
この頃後者はあまり思い浮かばなくなりました。暁留って呼んでるからね。
「いいんじゃない?なくても。」
ま、そうだよね。
「逆に僕は兄って聞くと雪兄しか出てこない。」
「お前、いろんな奴のことそんな感じで呼んでなかったか?」
「本気で僕の兄なのは雪兄だけなの。後はあだ名みたいなもの。」
うわ、最悪だこいつ。お兄ちゃんもそう思ったのか溜息をついていた。
「僕も弟は暁留だけでいいや。」
「先生、空気が怪しくなってきたんで早く号令を。」
なんかアブナイ気がするんで!
「え、ああ。会長。あ、掃除は五班な。」
「きりーつ、れーい、さよーなら。」
ガタガタガタ。私も自分の席に戻って机を後ろへ。
「私何班ですか?」
「瀬戸と一緒で。」
「分かりました。」
何だろう。実希とも長いおつきあいになりそうだ。
「仄亞、一緒に帰らない?」
「え?ああ、いいよ。って私帰れるのかな?」
担任からの呼び出しはくらわなかったんだけど。
「仄亞ちゃん、ちょいといいかな。」
「おじい様?」
「白雪と、暁留と雪白も。皆で学園長室に来なさい。」
やっぱり。
「うぅ、ごめんね、実希。」
「ああ、瀬戸さんも桐生君もいいよ。おいで。」
「いいんですか?」
「遠慮するでないよ。」
「僕、昼ご飯持ってきてないんだけど。」
そうだよ。今日土曜だよ。午前中で授業終了、ってそもそもまあ始業式だけど。とりあえず今はお昼時だ。
「こっちで用意しよう。そうそう、悪いが奏芽くんは家の猫を持ってきて学園長室へ来てくれるかな。瞬間移動はできるかい?」
「ええ、できます。後からそちらへ行きますね。説得するのに時間がかかりそうなので。」
「よろしく頼むよ。それじゃあ行くかの。」
学園長の後についていくこと五分。ようやく学園長室に到着。無駄に敷地広いよこの学校。
暁留が~兄と呼ぶのは呼びやすいから。別に敬意があるわけではありません。(白雪を除く。こいつには敬意を払ってますから。)あと、最後の奏芽は猫かぶりverです。次話、ようやく教室から脱出。