机の整理という名のプライバシーの侵害
R-13くらいな感じ。会話が。
「そうそう。桐生なんて普通に読んだらKiryu Mioってなるから桐生ミオっていう別の人間っぽくなるし。」
「かわいそうに。お兄ちゃん、どっかに婿入りしたら?」
「それだけの理由で婿入りってどうよ。」
まあ冗談だけどね。
「はい、出来たけど。」
「はいどうも。これどうぞ。ないと研究室に入れないから。なくさないようにね。」
「どーも。ってお前俺の証明写真なんてなんで持ってんだよ。」
「ああ、机の中探ったらあった。」
「何勝手に人の机探ってるんだよ。」
本当だよ。プライバシーはどこだよ。
「えーだって一緒に住んでた仲だし。そういうこともあるだろうと想定したうえでのルームシェアだよ。」
「お前と同じ寮になった運命を呪いたい。」
「ご勝手にどうぞ。」
そっか、同じ寮部屋か。……本日何度目かの奏芽さんに合掌。
「カナちゃんへの愛からこういう行動に出たんだよ。」
「そういうのを俗にストーカーというんだよ。知ってたか?」
「まあ冗談だけどね。カナちゃんが優秀だったから目をつけてただけ。ま、優秀じゃなくても友人だったしどっか紹介したんだろうけどね。」
「たのむからもう二度と人の机をあさるなよ。」
「え?」
心底意味が分からないという表情を浮かべる白雪さん。いや、だからプライバシーの侵害ですよ?
「お前まだやる気か。」
「うーん……カナちゃんは面白くなかったからなぁ……まあ雨欺だし、いいんだけどね。」
「は?」
「いやぁ、十八も過ぎたんだし?やらしー本の一つや二つ。」
「そういうお前も何一つ持ってねーだろ。」
「何言ってるの。カナちゃんが気づいてないだけです。」
「ふぇ!?」
声を上げたのは奏芽さんじゃなくて雪白。うん、そうなるよね。
「どうしたの?」
「う、え。いえ。そうですよね。記憶のなかった私がどうこう言うのも変ですよね。なんでもないです、ごめんなさい……。」
あ、しょぼくれた。捨てられた子犬みたい。
「あーもう、ほんっとに可愛いね。持ってるわけないでしょ?雨欺なんだしさ。僕は雪白じゃなきゃダメなの。まだ分かってないの?……分かってないならみっちり教えてあげなきゃね……?」
「え、あ……で、でも確かにそっちのほうが。いや、でもそれはなんていうか倫理的に、あ、でもだめ。それはだめで。ん、あ、ふぇ!?それはもう倫理とかの問題じゃなくて、でもあ、喜んでくれるなら別に、ってでも……あぁ!そんなことは!」
なんかすごい想像してるなこの子。
雪白の知識が豊富な理由は白雪さんのせいに違いない。