愛情を確かめ合う行為という名のただの苛め
残酷表現はありません。
「んー……泣いて懇願するっていうなら考えんでもないけどね……?」
悪魔の王が!王がいらっしゃいます!怖いです!なんですかこのいじめっ子の微笑みは!
「えーと……俺はこの場合どうすれば……。」
うん、すごく気持ちは分かるよ。
「経験談から言えば、まあとりあえず慈悲を請うべきかと。」
「ちょっと待て、君はなんでそんな経験があるんだ。」
無論どこぞの紅い瞳の野郎にやられたことが幾度となくあるからですがナニカ。
「そもそも俺慈悲の請い方とか知らないんですけど。」
「えーとですね、自分の必死さをアピールするわけです。」
まあ確実に相手に苛められるんだけど、最終的に最初に提示された命令よりは簡単になるからね。
「白雪さん、いやですね、俺の友人とかお前しかいないわけですよ。いやまあ他にもいますけど、あれはまあなんていうか違うといいますか。」
うわぁ……すごい必死な眼だ。あれ。
「そんなに僕が大事なら泣いて懇願するくらい出来るよねぇ。」
うわぁ……すごい苛める気満々の眼だ。あれ。嗚呼、哀れな子羊に合掌。
「助けて……。」
私のほうを見ないでください。そんな必死の眼で。
「もういっそ泣いて懇願したらどうですか。」
「君はそれをやったわけ?」
「ええと……厳密に言うとですね、ごめんなさいと泣きじゃくりながら言いました。もう絶望に満ちて、救世主はあなただけなんですの眼で言いました。っていうか本当にそれしかなかったし。もうプライドとか何それですよ。まあ二人きりだからできたんでしょうけど。相手の要求を全部飲みました。恥なんて捨てましたよ。どぶに。」
ちなみに過去何回もしました。どこぞの紅い瞳の野郎はめちゃくちゃ満足げにしてました。
「いったいいくつの時の話……?」
「十歳から十二歳までの間ですね。後これから。」
嗚呼、さようなら。私の平穏だった生活。まあ後悔はしていないけどね。
「で、俺にそうしろと。」
「いえまあ人前ですし、せずにどうにかする方法もきっとどこかにありますよ。」
それを探すのは面倒だからしないけどね。私は。
「白雪……?」
「なに?」
「えっと……その……す、好きだから許して?」
なにこの人。男のくせに破壊力があるんだけど。
「……くっ」
「白雪?」
「くっくっく……あはははは……やばい。カナちゃんがあまりに面白すぎる。あっははは……」
笑い続ける白雪さん。いいなぁこんなので終わって。私なんてお許しが出るまでに一時間以上かかったのに。
仄亞もかなりの苦労人ですね。本人特にどうでもいい感じですが。