優しい兄という名の鬼畜外道
「っていうかそこまで嫌がられるとこっちもちょっとショックなんだけど。」
「だって雪兄の目が本気だったんだもん。」
「九割は冗談だって。一割はあれだ、気に入ったものは愛したいから。」
「もうちょっと他の愛情表現にしてよ。」
「もっとハードなのがいいって?仕方ないなぁ。お兄さん頑張るよ。」
「激しく違う!」
「ま、冗談だけど。」
あーあ、また遊ばれてるよ。でもこれだけ暁留が全力で止めようとしてるってことは前科があるんだね。
「あ、そうだ。仄亞ちゃん。君のこともね。気に入ったからね。」
「その好意は送り返すことは可能でしょうか。」
こういうのは見てるのが楽しいわけで。当事者にはなりたくない。
「駄目。だから遊ぼうね?」
「お兄ちゃん、可愛い妹の貞操の危機だよ。」
「いや、俺に言われても困るんだけど。お前の貞操とか暁留に譲渡したし。」
勝手に譲渡されてた!
「仄亞ちゃん。さすがの僕もそこまではしないから。」
「仄亞、忘れてるかもしれないけど雪兄は雨欺だから。」
あ、そっか。片翼相手にしかそういう欲求は抱かないんだっけ。
「それに雪兄はそりゃあ困ったところもあるけど基本的には優しいお兄さんだよ……うん。たまに惚れ惚れするくらい鬼畜外道だけど。気に入られてれば特に被害を受けることはないし。」
「うん。とっても困ったところのある人だよね。」
「ひどいなぁ仄亞ちゃん。お兄さん傷つくわ。」
だって事実だしぃ。
「あ、そうそう。あのさ、後々色々言われると誤解を招くから今言っとくと、僕、アメリカでは女除けのために男好きという設定になってたから。」
「ついに手を出しちゃったんですね……。」
「違う違う。向こうに気の合う奴がいてね。そいつに頼んで彼氏役してもらっただけ。そいつとはただの友人だし。」
よくそんな役してもらえたなぁ。
「よくそんな役してくれましたね……。」
「あぁ。なんか女除けって言ってた。彼女がいるとかじゃなくて単純に女嫌いらしいよ?まあ男好きってわけでもないらしいけど。」
「いや、ていうかさ……よくその他の男の人から言い寄られなかったね。」
確かに。白雪さん、綺麗だもんね。
「そいつも綺麗な顔立ちだったしね。それでも言い寄ってくる奴には向こうの苦手分野の話振って、ついてこれないの見て、この程度の会話についてこれないのはダメって断った。」
最低だなおい。
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雪兄さんはやりたい放題ですね。本当。アメリカでもさぞ周りに迷惑をかけたおしていたんでしょうね。ちなみに彼氏役をしてくれた人は後々出てきます。