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前編 彼女ができたASD傾向の彼氏さん

多様性に目が向けられつつある今、みんなが幸せに過ごせたらどんなに素敵なことかと思います。

 僕は昔から「天然」とよく言われた。

 授業は聞いていなくて、背伸びをしたら手を挙げたと勘違いした担任が、「塩野しおの!」と嬉しそうに指名してきた。僕が滅多に手を挙げないから、よほど嬉しかったらしい。

 戸惑っていると「何だ手を挙げたんじゃないのか」とガッカリされた。

 運動もさっぱりだった。徒競走では必ず足がもつれて転ぶ。球技ではボールを受け止めようとして、つき指する。散々だった。

 大学に入った今も何も変わっていない。

 講義は上の空だし、駅の階段ですっ転ぶ。


 そんな僕が唯一、人に自慢できることがあるとすれば物事に正確だということだろうか。

 例えばシール貼りのバイトで、「封筒の上から10㎝のところに貼って」と指示されれば、正確に10㎝を測り、ぴったりと貼り付ける。単純作業は、いくらやっても疲れない。


 興味のあることに対しては、いつまでも集中できるし、とことん調べる。僕がこれまでに興味を持ったのは、電車、工事系の働く車、冒険ミステリーのアニメ、紅茶……


 そして今、ハマっているのはご当地ゆるキャラだ。47都道府県にいる、どんな地味なゆるキャラにも目を向ける。名前や誕生日、活動記録なんかを暗記している。


 そんな天然な僕に彼女ができた。半年前のことだ。初めての彼女なので、わからないことだらけだ。

 この間、彼女の部屋に泊まりに行った時、お風呂のお湯を入れるように頼まれた。


『お風呂のお湯、ちょうどいい温度で入れて』


 僕は困った。ちょうどいい温度って何? 僕が蛇口から出てくる温水に触れ、判断しかねていると彼女がやってきた。怒られるかと思ったけれど、怒られなかった。



 ある日を境に彼女の話し方が変わった。ものすごく具体的に指示してくれるようになった。

 この前、ファミレスに行ったのだけれど、彼女はそこでも


『2㎝かくで切って、『あーん』してほしいな♡』


 とお願いしてきた。僕が食べている和風おろしハンバーグが食べたかったみたいだ。「あーん」もしてほしかったみたいだ。

 それだけ、きちんと言われると、僕は安心して行動できる。だから、きちんと2㎝かくにハンバーグを切り分けて、「あーん」をしてあげた。


 彼女はすごく喜んでいた。僕はそれを見て、とても嬉しかった。

読んでいただき、ありがとうございました。

後編はまた明日(^^)/~~~

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