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救世のピルグリム  作者: レヴィン・コール
1/7

そして今、どこにもいなかった君へ。


 蕾が、花開いている。






 太陽が、さんさんと照り付けている。






 月が、大きく浮かんでいる。






 雪が、うずたかく降り積もっている。








 そして、また春が来た。








――あれ、いつからこうしていたんだっけ。






 もうずいぶんと長いこと、こうしている気がする。




 何も、感じない。




 腕も、足も――感情さえ。




 


――......た......》






 何か、だいじなことを忘れている気がする。




 だけど、よく思い出せない。




 いや、どうでもいいか。




 そしてまた、僕は眠りについた。






――目を閉じるのも、久しぶりのことだった。
















 




「ここは......」




 体を起こすと、一面銀世界だった。




 布団のごとく降り積もった雪のせいで、下半身が動かない。




「ここ......は............」




 記憶がない。




 自分が何者で、ここで何をしていたのか。




 ここがどこで、自分は何をするためここにいたのか。






 何も、そう、何一つ、思い出せなかった。




 眠い。




 いくら動かしたってどうせ足は動かないのだから、もう、諦めて寝てしまおうか。




 そう、どうせ、春になる頃にはこの雪も消えてなくなるのだから。




――つまり、君にはいくべき場所があるんだ。




 不意に、脳裏を懐かしい声が掠めた。




 懐かしい?




 つまり、これをたどれば、この――




――この、寂しさの答えも見つかるのかな?




「......?」




 ソレを思い浮かべただけなのに、雫が一筋、頬を伝っていた。




 無機質な世界の中でただ一つ、その温かさだけはしっかりと感じられた。




 雫はつうと顎を撫で、それから白へ落ち――瞬間、春が芽吹いた。






 比喩ではなく、現実に。




 雫の落ちたところから、まるで波紋が広がるように、雪が霧散し、草花が生い茂っていった。






 その光景にはひどく、心覚えがあった。




「あれ……草だ」




 草。




 そう、草。




 なんの変哲もない、ただの草だ。




 だけど、違う。




 はっきりと、違う。


 




 そう、その瞬間から、僕は草を草として認識していた。






 そうか。


 


 思えばきっとこの瞬間から――――僕は視覚を思い出したんだ。

補遺

 ひとまず、ある程度筋の通る文章に落とし込むところまでは出来た。

 しかしながら、いまだ解釈によって内容に大きく修正を入れなければならない部分がいくつか不確定だ。

……いや、残りは未来の自分がきっと解決してくれることだろう。

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