第91話 再開のために
ヒャクドクヌシの猛攻を自らの内に眠る真の力で打ち払ったソライト。共に歩む探索者達と会うために塔を降りて行くと…
どれだけ長い時間が経ったのだろうか
ソライトはようやく目が覚めた。
全身が傷だらけでうつ伏せており、当たる風ひと吹きで
傷口がヒリヒリと痛みを伝えてくる。
「起き上がらない限りなんともならねえか…
だけどいちいちヒリつくのは面倒としかいえねえや」
ヒャクドクヌシの出したシルクのような糸を巻き上げると
全身に巻き付けて包帯がわりにする。ビリビリの装備品は結んで繋ぎ合わせて大きなコートにすることにした。
ソライトは塔の端に立つと遊園地の全貌を見渡した。
「これが全貌か…各所ごとに色々な建造物があって
どれも変な形をしている、
けど糸まみれの血まみれなのか」
ここがどこかわかった次はこれから自分はどう行動すればいいのかだ。ソライトは召喚していたスマートフォンをつけてガラケーに電話を繋ぐ。
〜♪
「ん?預かっていた携帯が鳴り始めた…」
「あ、画面が変わった。おーい!何か聞こえるか?
聞こえたら返事をしてくれ!」
「ソライトの声!?き、聞こえたよー!
というか大丈夫だったの!?」
「傷だらけで動き辛えよ…今どこにいるかわかるか?」
「ゴーストハウスの中…というよりその中の塔にいるよ」
「そっか…あ、今さ、俺その塔の頂上らしき場所にいるんだよ降りてくるから後で合流しようぜ!」
そういうと電話を切って階段を降り始めた。
「そういうば…ルーネのやつ、大丈夫かな…」
階段を登るレオファング達。
階段を降りるソライト。
そして彼らを待っていたものは…
「シュルァ…ウマソウナ、ニオイ…!」
「ボス ノ ニオイ モスルゾ! テダレガ キタナ!」
廊下の突き当たりに進むことを察知した(デルゴアゴ)が
ソライトとレオファング達に鋭いオーラを突き刺した。
「…うおっと。これは嫌な予感がするわ」
「…!何かくる!ヘレス、戦えるのは…」
「おいら達だけだね!締まって行くだよ!」
「ルーネはスズユキをお願いね」
「了解よ、2人とも頑張って!」
廊下の角を曲がった瞬間の目があった
「うおわああああ!!!」
「ブッハッハッハ! オドロイタカ!? オレ、デル」
「お前を倒さなきゃ進めない感じか…
もう限界なんだけどなあ…」
「…ソライトじゃないよね?」
「ソライト? ダレソレ? ボク、ゴアゴ」
ソライトが図鑑から(ロキ・ブランド・ワンド)を出す。
身の丈ギリギリはある大きな杖だがとても軽い。
「クタバリナ!ハアッ!」
デルが火炎放射を放つ、しかし…
「御伽話も知らねえなんて飛んだ間抜けなヤツだ!
跳ね返してやる、投影大魔鏡!」
火炎が全て跳ね返ってしまった。
しかし跳ね返った炎を見て大口を開けると魔法陣で炎を吸収する。吸収した炎をオーラにさらに大きな顎が口を開いて噛みつき攻撃に移った。更には雷のエレメントまでつけて襲いかかってくる。
「喰ラエッ!」「危なっ…!いで!」
大きく体を捻ってジャンプすると傷が広がり激痛が体を伝う。ミラージュ・ネイチャーで跳ね返したりその場しのぎのガードを試みるが猛攻は更に強まるばかりだ。
それだけならオーバーヒートするので助かるが、
向こうはそれすら織り込み済み。解除してはオーラの首に変換して双頭噛みつきを繰り出してくる。
ソライトも負けじと火球を打ったり電撃を放つ。いずれも躱されるか噛み砕かれて吸収されてしまう。大技を出そうにも体の傷が疼くのだから大前提として打てない。
「速撃弾!」
「フハハ!ゴム ミタイナ アジ!」
だからと言って属性を無くせば良いわけではなかった。
10発中当たったのはたった2発、残りは全て無力化された。
「海面化!」「今度ハ 釣リカ?」
海面では巨大な魚影が泳ぎ回っている。
ワンドに糸を縫わせ魔素の素を餌場にするとデルを目掛けてキャスティング。巻きついたら合図だ。
「釣るのはテメエだがな!出てこい!
海獄の捕食者!」
餌を求めて巨大なシャチが水飛沫をあげて飛び上がった。
鬼気迫る表情で喰らいついた。
「フハハハハハ!実ニ ウマソウナ サカナ!
久シブリ ノ ご馳走ダ !」
オーラの首を2本出すと三つ首で噛み付くと悶えるシャチを相手に電流を流し黒焦げになるまで痺れさせた。
「ま、マジかよ…」
ギリギリの体力で出したシャチがステーキになってしまい、敵にご馳走させてしまうとんでもないミスになった。
ソライトは少し考えた。確かに強いモンスターだがそもそもなぜオーラのシャチが食べられてしまったのだろう。
というか調理する必要があるのだろうか。
「フッフッフ… 食事ハ 調理ガ重要!
熱ヲ加エテ 香リヲ高メレバ 闘志ガ 沸キ立ツ!」
「なるほど!てことはお前の弱点は
飢餓や不味い食い物って訳か
…なんだか人間みたいだな」
こんな急を要するような場所で料理なんてできるはずもない。しかし何かを口に頬張らせれば良いのなら毒でもと投げつける。
「フムフム… コイツハ 特別ナ味ダ」
「やったか!?」
次の瞬間デルの胴体が金色に輝く。
咆哮を上げると何事もなくこちらを攻撃し始めた。
「うわ〜!全然やれてねえ!
というかブレスの威力が上がったような!」
「ウオオオ! 漲ル! 沸ルゾ!」
ソライトが放り投げたのはポケットの中にたまたま残ってたオウスイフグの毒を凝縮した猛毒のボールだ。
こういった巨大な相手を毒殺するためにも必要かと思いこっそり作っていたがなんとデルには無害を通り越して細胞を活性化させる薬でしかない。
何か方法は無いだろうか、ギリギリの体力で狭い病院の廊下を駆け抜ける。途中運良く扉が開きっぱなしの部屋に辿り付いた。そこは誰かの部屋らしく壁棚にはファイルがギッシリと詰まっている。
ファイルを漁って行くにつれてソライトの顔に笑みが浮かんできた。なんと偶然開いたページの中にヒャクドクヌシの姿が写ったページがある。
そしてそれぞれ大きさや重さ、生態などが載っているが、
その中には何に弱いのかと言った弱点すら書かれている。
デルが載っているページを開くと様々な情報が載っていた。
閲覧いただきありがとうございます!
一度終わらせたお話ですが、続きも見ていただけたら
幸いです。
あ、そうそうせっかく再開したので言っておきますが
主人公の(ソライト・ヨゾラザキ)。名前の文字に関して何か違和感あるかと思われます。…はい、そうです。偽名です。ブリタニアなのにヨゾラザキ?と思われたかと。
その真意まで書けたら良いなと思ってます
最終話までもう暫くお付き合いください!




