第83話 「連れ攫う者」
明くる朝…
準備を終えた一向は旅立った。
ソライトは完全にアグナルーネを無視している。
ヘレス
「…なんだか空気感が最悪だべさ…」
レオファング
「仕方ないよ、置いていくわけにも…」
道中採取を繰り返しながら進んでいく。
毒草も混じっていたり、危険な甲虫類も
多く、ただひたすらに危険な道だった。
体に生えた6本の足に関節が4つと伸縮機能が
ついた体調4メートルのナナフシこと
(ポーゼクト)はとにかく素早く、そして
器用だった。あらかたの攻撃は関節をぐるりと
回して決めポーズを取った後に躱わしている。
ソライト
「動きは滑らかで剣戟ができる、なら…!」
図鑑を開くと(モーニングスター)を召喚した。
鉄球部分に炎が宿る!
レオファング
「…え?あのヘンテコな呪文、
今言ってなかったよね…?」
ソライト
「行くぞ!超火炎昇竜波
(エクシードライブ・ブレイズドラゴン)!」
天高く投げた鉄球が炎昇竜を呼び、
大きく回して竜の軌道を取らせて
ボールと衝撃波の重い一撃を喰らわせる。
ポーゼクトは一瞬のうちに燃え上がった。
先に進むと身体の一部が機械装甲のアリこと
(アーマント)が襲いかかってくる。
身体の装甲はなんと本物の鉄と同様の素材で
出来ており、胴体にはキャノンギミックも
備わっている。
ヘレス
「気をつけるだ!発射された溶解液で
樹木の一部が枯れてるだよ!」
スズユキ
「その分、動きは鈍い!マモリヒメ、今です!」
高速戦闘を得意とするスズユキとマモリヒメの
タッグに装甲の弱点を突かれて斬撃を放つ。
磁場ボム弾を放てば、頭のセンサーの
無力化もできた。
ヘレス
「にしてもおんもしろい虫さんだなぁ、
頭に反応機械、体に銃砲とは驚きだよ!」
その他にも体ではなく前足に生えた2本の
毒針で獲物を狩る(ペネトレイトスズメバチ)や
電動チェーンソウの鎌をもつ(ボルトチャージ
マンティス)が立ちはだかってきた。いずれも
巨体だが、頭を使って戦えば大きさのハンデは
気にならなかった。
いずれもソライト達は図鑑や秘宝を駆使して
倒して行ったが、この中で全くと言っていいほど
アグナルーネは活躍できなかった。
アグナルーネ
「………」
考えることすら面倒になっていく。
私だって、と恐怖する自分にうんざりしていた。
そして緊張感からうまく休めていない。
少しやつれてきた。
少し歩くと開けた場所に辿り着いた。
一旦休憩を取ろうと腰を下ろすと、
座ったまま眠ってしまった。
レオファング
「…ねえ、ソライト
あの子も反省してるかもしれないしさ…」
ソライト
「それはわかってるけど、まずはアイツの口から
謝罪の言葉を吐かせねえとな。」
ヘレス
「なんとも言い難いけど、あの発言は…」
休憩を終えようとソライトがレオファングと
先行偵察に行こうとした瞬間だった。
不気味な羽音が周囲に響き渡る。
ヴィヴィヴィヴィヴィ………
サライヤンマ
「ギュコギュコ…!ヴィィィッジシシッ!」
狙いを定めたのか急降下してくる。
目先にはアグナルーネがいる、狙われたのだ。
アグナルーネ
「んんっ…ちょっと頭痛気味…
ん?きゃあああ!!!」
寝起きと同時に巨大なトンボに接近される。
パニックで頭がまわらない!その時だった。
ソライトがアグナルーネをタックルでどかし、
なんと自らを犠牲にサライヤンマに
体を掴ませた。
レオファング ヘレス
「ソライト!」 「逃すかっ!」
ペイント矢を撃ち込んだ。
一瞬の出来事に理解が追いつかない。
ソライトは攫われてしまった。
アグナルーネ
「嘘でしょ…
あたしのせいで…あたしのせいで…」
レオファング
「あっちは確か…別ルートだけど
一応繋がってはいるな。」
ヘレス
「助けに行くだよ!」
レオファング
「うん、2人は別ルートから行って後から…」
アグナルーネ
「待って!」
「あたしも…私も連れてって!
こうなったのは全て私のせいよ!
私が償うのは当然よ!だからお願い…!」
側で笑みを浮かべるスズユキ。
レオファング
「よし、なら全員で行こう!」
一向はペイント矢の跡を追っていく。




