第6話 「旅立ちの時」
ソライト
「うお怖?!
なんで最後の一文だけホラー雑誌みたいに
赤文字なんだよ…」
更にページを捲るとこんな事が書いてある。
「…この秘宝を見つけ出したときに、
どうにも奇妙な気配を感じたが結局なんなのかは
わからずじまいだ。だが、それから深部へ足を進めると
そこには巨大な顎を持つそれはそれは恐ろしい
ドラゴンが待ち構えていたのだ…」
この一文を読んだとき、ソライトの中で
こんな考えが頭をよぎる。どう考えても図鑑発見が
引き金となりドラゴンが待ち構えるとしたら…
と考えている内に時計の針は約束の1時間を
告げようとしていた。
冗談じゃない、自分一人の好奇心で厄災級かもしれない
ドラゴンを蘇らせてしまうとなれば…!
ここは誤魔化しを効かせるしか…そんな思いは虚しく
バンガルド
「よし、調査の前に適当に調べ上げた分析を話そう。」
ありのままの真実を話すことになった。
バンガルド
「じゃ、まずは父さんの番だ。
その図鑑だが書籍によっては載っていたり
いなかったりするが、ある以上は無いと記述した物は
嘘になる。それから情報を絞り出すが、
どうやら(顎の封印)という風に伝えられているらしいな。
これは騎士団でも不明点が多く、真実なら国家戦争レベル
の兵力を使うかもしれんからな。」
ソライト
「ん?知っていた上で探索を行なっていたの?」
バンガルド
「まあ、ねえ。というかおっかない物がいるって
想定しているのに何も準備しないなんて事はないさ。」
とりあえず、知ってた上で調査を行なっていたのを
知ったとわかるとホッと胸を撫で下ろす。
その後はソライトも情報を出しつつ調査を開始した。
帰宅した後は市場巡っていたので帰る頃には夕飯だった。
その後、父と母をを呼び面と向かって真剣な眼差しと
共に話始めた。
ソライト
「お願いだ!暫く旅に出させてほしい!
図鑑のことや洞窟の事、どうしても知っておきたいだ!」
バンガルド メローナ
「いいぞ!」 「ダメよ!」
息ピッタリ、さすが夫婦だ。
メローナ
「知らない事を知りたい気持ちはわかります。
ですが騎士団でも素性がわからない場所へあなた一人で
向かわせることは、母として見逃しておけません!」
ソライト
「そのわからない物を調べたとして、
隠蔽なんてされて俺が黙って置けるとでも?
過去の冒険家ですら曖昧な情報しか出せてないのに、
危険かどうかなんてそれこそわからない!!!」
メローナ
「っ……」
あまりの迫力に声が出ない母。
ソライト
「…ごめん、感極まった。」
バンガルド
「いや、大丈夫だ。それに…メローナ、もういいだろう。」
メローナ
「………そうね、わかりました。
でも、中途半端は絶対駄目よ。
やるならきっちり最後まで!」
母の顔に笑顔が戻る。やがていつもの団欒に花が咲いた。
激励の言葉に身が引き締まり、更に気合が入る。
絶対に見つけ出そう。七秘宝、洞窟の真実を、絶対に!
そう念じて改めて覚悟を決めた。
明くる朝……
リュックには図鑑と生活用品。
父と母に出立を告げて図鑑を開く。
「"ウユリークハ・ニサマ・
タガスルケカ・ニモトトユシキ"」
現れた(白龍)という白馬に馬蔵を掛けて手綱を引く。合図をかけると鋭い嗎と共に駆け出した。
見送った後、堪えていた涙が溢れだすメローナ。
不安を抑えていたが堪えきれなくなった。
バンガルド
「大丈夫、大丈夫だ。
あの子は俺たちの強い血を引いている。
絶対に帰ってくるさ…」
一方その頃、洞窟の10階層…
??????
「……久しぶりだ、我が眠りを覚ます者。
どれ…100年前の怨み、晴らさせてもらおうか…!」
閲覧いただきありがとうございます♪
カップ焼きそばをず〜るずるずる。
設定集のコーナー
「メローナ」
ソライトの母こと「メローナ=ヨゾラザキ」。
あらすじに書いた通りですが精霊です。
とはいえ耳が少し尖っているくらいで後はほとんど
人間と変わりません。
さて、夫婦なのでバンガルドとの出会いがありますが、
なんと侵略先で怪我していたところを助けられたとの
こと。バンガルドにお礼がしたく趣味のハープの演奏を
披露した際に一目(耳)惚れされたということです。
心配症なのがたまに傷の美しい女性で、
親としてソライトをきっちり躾けてましたよ!