第4話 「ミラージュ・データブック」
落ちてきた一冊の本。
タイトルには(ミラージュ・データブック)と
書かれてある。
ソライト
「よいせっと……中々重いな。これは…図鑑なのか?」
そう言ってページを捲る。
その本は確かに図鑑だった。
内容は戦争や災害を根掘り葉掘り深掘りしたもので、
その戦いで使われた武器や災害の模様などが
記録されている。
他にも流行った伝染病や都市伝説に難解事件までも
記録されていた。
学生時代に使っていた資料集を眺めている気がして、
懐かしい気分になった時最後の文章を読み上げる。
ソライト
「"キッセ・ウヨクコ・タレーサ・マスギト"…?
なにこれ、呪文?」
すると絵が浮かび上がり黒曜石が召喚された。
その証拠として絵の中の黒曜石の部分だけ
まっさらになっている。
ソライト
「なんじゃこりゃ!?じゃあ他のも出せるのかな?」
ページを捲るとゴツい鉄の武器が出てきた。
「"クマンダ・ノッシ・ヌレイ・ツパンカー"……どうよ。」
不思議な呪文を詠むと、絵の中のガトリングが原寸大サイズになって地面にドスン、と落ちた。
ソライト
「おお!出て来た!よいしょ…っと、重いな!コレ。
えーと、使い方は…」
ガトリングの絵だけが除かれた図鑑を見る。
弾を装填した後、側面についているレバーハンドルを回す。この際強い反動に気をつけるべし、と書かれている。
本棚相手に…じゃ流石に乱暴なので後で使うことにした。
ソライト
「元に戻すときはどうするんだろう…」
試しに図鑑を先ほど出した磨製石器にあてる。
すると光を放ったかと思えば、図鑑の中に戻っていた。
ソライト
「なるほど!こういう風に使うのか。
それにしても不思議な図鑑だな…」
呪文を唱えて中の絵を召喚する…
そんな図鑑が存在するとは…と、感心した。
ひと通り使い終えて出口を探そうと最初の部屋に戻ると、
入った時に見覚えのあるスイッチフックが
垂れ下がっている。
ソライト
「…てっきり図鑑の中の武器でこじ開けるものかと
思っていたけど、あるなら使わせてもらお!」
フックを引くと回転扉が起動した。
手には図鑑、景色は入る前で整われた洞窟。
何時間も閉じ込められていたが得るものを得たので問題ないと思いつつ洞窟を後にする。
ソライト
「これ以上の探索は文献を漁ってからにしよう。
お宝っぽい物は得たけど流石に図鑑一冊で
世界は統べられないでしょ。
てかやばい!門限オーバーしてら!」
昼から行ったとはいえ王都にある自宅から
ここまで数時間はかかる。
行きは貿易商の牛車に飛び乗ったが帰りは完全な徒歩だ。
だが今はこの不思議な図鑑がある。
使えそうなものがないか探すと
馬が載っているページがあった。
ソライト
「あ!馬が載ってる!なになに…三国黒…?
でも普通にカッコいいじゃん!」
「"バイメ・ノゲロク・ルケカ・トウソム"」
呪文を詠むと堂々とした黒毛の馬が出てきた。
乗せてくれ〜!と乗っかかるも馬は動かない。
疑問符が浮かぶが図鑑の続きには説明文がある。
ソライト
「三国黒…名将本多忠勝が乗っていたとされる
名馬。蔵も手綱も一級品…あ、そういえば
まだ蔵はおろか手綱も付けてなかったな。」
このままでは走れないので乗れるようにしなければ
ならない。が、付近に手綱や蔵もあったので装着した。
馬術は騎士団に所属する父から
習っていたので簡単に乗りこなせた。…ハズだった。
ソライト
「おおおおおおおお!!!
早すぎんだろおおおお!!!!!」
当然だが名馬なのでとてつもなく早い。
あっという間に王都に帰り着いた。
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お昼ご飯にカップ飯をずずい!
設定集のコーナー
「洞窟の魔物たち」
火山の噴火からできた洞窟ですが、
ある一定のモンスター達が潜んでいます。
スライムやコウモリが以前のお話で出て来ましたね。
さて、それらのモンスターが何処から来たのか。
と言いましても正直これに言いましては
「迷い込んだ」というしかありません。
とはいえ深い層の連中は上記の理由という訳では
ありません。これには深い事情があります。
なので判明するこれから先のお話をどうか楽しみに
していただければと!