第33話 「植物園」
「…召喚にはいくつかの機能がある。
まずは絵を召喚する力、更にそれを強化する(強化転生)。
そして強化した召喚物に技を練り込む(極限必殺)が
一連の流れだ。」
どちらも聞いたことも見たこともない。
一応、読み込んではいるが図鑑を使った後は
閉じっぱなしなので機能に気づく事は無かった。
ソライト
「さっきのババアみたいな強敵も出て来そうだし
この機能、どう使うのかマスターしておかなきゃ」
やがて一日が過ぎて、各自準備ができた。
ソライト
「ふぁ〜あ…おはよー…」
スズユキ
「あ、ソライトさん。おはようございます」
ヘレス
「12時間越しにおはよーだべさ〜」
ソライトはなんと疲れが溜まっていたのか12時間と30分程寝ていたのである。
レオファングは心配だった。
崩れた食堂だったとはいえ、腐っても食料庫には厳重に保管されていた新鮮な食材が
僅かに残っていたために朝食に困る事は無かった。
ソライト
「…なんかさ…こう…疑わしくなるよな」
レオファング
「しょうがないさ。食べられるものは食べないと
餓死してしまうからね。」
ソライト
「だよな!言うて調理担当は俺とヘレスなんだし!」
当然だが、調理の際には毒、腐食の確認と
念入りの洗浄を行なっている。
キャンプを畳み終えて再出発だ。
…一方、アダモスとブリタニア王国は。
アダモス
「…本当に出ても良かったのか?
洞窟のあの場所はお前の縄張りなのだろう?」
グランプレス
「よいよい。もう使命は終えたのだからよ。
そんな事より…ここ数百年で
人間は随分変わり果てたな。」
アダモス
「まあ…騎士団の試験に歴史学はあるが、
事実はなんとかより奇なりというか…」
グランプレス
「そう固くなるな…
昔が余りにも暴力的だっただけなのさ…」
当のグランプレスは目覚めても下痢気味で、
アダモス率いる騎士団の救護班から薬を分けて
貰ったのである。守護龍としての役目を終えた以上、
持ち主が洞窟に秘宝を返すか亡くなるまで
死んでさえ無ければ自由…守護龍の掟らしい。
結局、騎士団は報告のために撤退すると同時に事実を聞いた以上野放しにはできないと言う事で来て欲しいと願ったところすんなり付いて来てくれると承った。
ヴェルセティア王
「…わかった。事実として認めよう。
しかし…あのデカブツはどうするか!?」
第5騎士団団長カイザード
「ぐわははははは!!!
アダモス!お前wいくらなんでもw
後先考えるだろフツー!www」
アダモス
「黙れ!謁見中に失礼だぞ!
…失礼ながら王よ。あやつは既に意気消沈しております。
我々の意思に従う素振りがあるのならここは
守護龍としての経歴を買って門番にしましょう。」
ヴェルセティア王
「もう、それで良い…私は少し…頭が痛いわ…」
フラフラとよろめきながら自室に帰って行った。
その後王都では暫く、薬が売れたらしい。
そしてグランプレスは第一騎士団専属の王都門番龍として
就任したと言う。良くも悪くも目立ち、
大きな話題を呼んだ。
…一方、ソライト達。
25階層へと踏み出していた。
そこは植物園だった。
見たことも無いような植物が植えられている。
既に絶滅した物や滅多に目にかかれないような
そんな物まで植えられていた。
ソライト
「すご!7色のチューリップ!交配大変だったろうな…」
レオファング
「思わず持って帰りたくなるような…
いや、流石にそれはやめておこう。」
スズユキ
「…もしや…レオファングさんには、
思い人がいらっしゃるのですか?」
レオファング
「うん。とても素敵な子がね。
その子の趣味がガーデニングだからさ。」
スズユキ
「まあ!一度お話ししたいかも!」
ヘレスは試しに矢を放つ。
見事命中した木から金色の果実が落ちて来た。
ヘレス
「やはり!黄金の林檎こと
“シャーウッド・アロップル”だ!」
むしゃり、と一口食べると芳醇な甘味と果汁が口いっぱいに広がってきた。
アロップルは手でもぎ取っても普通の美味しい林檎だが、
ハサミや矢で打てば細枝の動脈が強い反応を感知して極限のスイートポイントを実に与えるのである。
しかしハサミで斬ろうとしても
ラグが発生するくらいの細身があるので
矢で撃ち抜かなければ黄金にはならないのだ。
ソライト
「あ、ヘレス!俺にもくれよ!」
返事一つで一発狙い撃ち。
むしゃり!と果汁が迸る音がした。
園の中は驚くほど快適だった。
気温はおよそ23℃と言ったところで、
湿気も無ければ程よく乾燥していて居心地が良い。
花が植えられている花壇には自動散水機らしき
物取付けられていて部屋全体が優しい光で照らされている。
この上なく植物を育てるのに適した環境にソライト達は呆けてしまった。
ソライト
「あ〜…そういえば…以前日の光を浴びたのは
15階層辺りだったよなあ…」
レオファング
「そうだったね…というかもう…
そんな事どうでもいいと言うか…」
ヘレス
「どうしただべさ…?
ソライトさんは平気でも2人とも眠たそうな…」
スズユキ
「すや…すや…はっ!?す、すみません…」
異様な眠気を二人が襲う。
するとぐったりと倒れながら呻き声を上げ始めた。
レオファング
「うう…力が…抜けていく」
スズユキ
「また…足手纏いに…」
ソライト
「まさか…精気を吸われているのか!?」
二人を芝生が生えた場所まで運び、
寝かせるも顔色はどんどん悪くなる。
ヘレス
「どうして二人だけ…?」
ソライト
「…そうか、アロップルだ。
ヘレス!もう一回あの木の場所へ行こう!」
???
「そうは行かなくってよ!」
休んでいた木陰の上から3匹の女鳥人が降りて来た。
ハーピィの群れだ!
閲覧いただきありがとうございます♪
守護龍は皆何も食べなくても生きられる程タフです。
設定集のコーナー
「レオファングの想い人」
誰かがお付き合いしていると、その情報を広める
悪い文化はありますがそれがいつからあるかはわかりません。とはいえここでレオファングでは故郷では貴族なので
お見合いの話はチラホラあってますよ。
そして本日話に出てきたガーデニングが趣味の女の子。
実はレオファングの同級生で学校を卒業後、
お見合いでバッタリ再会した感じです。その後
とある出来事があって洞窟に行くと伝えて旅立った
感じです。そのとある出来事はもっと後で判明しますよ〜




