第15話 「デルタカリバー」
急襲だ。全長6メートルはある大きな
シーサーペントが尻尾に剣を携えてきた。
こちらを睨むや否や襲いかかってくる。
レオファング ソライト
「戦闘体制に移れ!」 「おうよ!」
ヘレス
「おらもやらせてもらうがや!弓で援護するだべ!」
ヘレスも弓を取り出しては矢を構える。
大きく体を拗らせて、
その反動で尻尾に力を加えて薙ぎ払いや兜割りをくりなす。
負けじとレオファングも帝国剣で迎え撃つ。
ヘレスとソライトのサポートで動きも今までより柔らかい。
時折、剣は綺麗な蒼い輝きを見せていた。
ソライト
「"キゲウヨシ・ノキリンジ・ウナカ・モニイカキ"」
(大ハンマー)が出できた。
ありったけの力を込めるために助走を付けるソライト。
レオファングと交代でヒットアンドアウェイを決めて一気に追い詰めていく。
激しい攻防が続く中、トラブルが発生した。
激しい撃ち合いの途中で帝国剣が折れたのである。
だがレオファングが下がるとソライトが大ハンマーで強力な一撃を浴びせた。
シーサーペントも負けじと魔力を込めて
剣を大地に突き刺す。すると水蒸気爆発をおこしながら
直線上に衝撃波を押しつけてきた。
レオファング
「おっとっと危ない…でもこれだけ隙がおおきいなら!」
ヘレス
「………今だべ!」
ヘレスの放った矢がシーサーペントの浮き出た
血管に刺さる。激痛に悶えつつ
大量出血で気絶させることに成功した。
尻尾から剣が落ちてくる。
レオファング
「…すごい、これ名剣だよ。
騎士軍将クラスでも持てるかわからない、
そんなレベルの物だ。」
ソライト
「てことは元帥レベルの人間が持つ剣か。」
そんなすごい物が何故ここに?
と思いつつ折角なのでと、折れた帝国剣代わりに
レオファングへ預ける事にした。
すると突然図鑑が輝きを放ちページを開く。
開かれたページには拾った剣と説明が載っていた。
ソライト
「え…?なになに…(デルタカリバー)…?」
レオファング
「デルタカリバーだって!?
そんな馬鹿な!あれは御伽話の迷信の武器。
一薙ぎで竜巻をおこせるんだぞ!」
ソライト
「この図鑑を前にそんなこといえねえだろ…」
レオファング
「あ。」
ふと我に帰るレオファング。
宥めるヘレスとソライト。
とりあえずと図鑑を閉じて次の事を考えることにした。
ヘレス
「そうだ、君たちはグランプレス…
守護龍と会話とかしたのかい?」
ソライト
「え?ああ、うん…」
ヘレス
「んだら、この洞窟ってどこまで続いているかとかの
情報ってないだか?」
ソライト
「たしか…この洞窟に眠る秘宝は3つだけって言っていたね。
あと、ある場所に繋がっている…とか。」
ヘレス
「ん?洞窟に七つの秘宝があるんじゃないのか?」
ソライト
「…持論としては、あるのは(七秘宝)であって
(秘宝が7つ)あるわけではないと考えた。」
ヘレス
「なるほどな…じゃあその図鑑と反応したその剣は
七秘宝ってことだべさ。」
ぽいね、と返すソライト。一向は準備を整えて前進する。
進んでいくと樹木のトンネルが出できた。
木の実が成っていたが青い林檎に赤い梨、
緑の柿や黄色い栗などバラバラだ。
ソライト
「青いりんごは(ナツミツ)だな。
普通の赤い林檎より甘くて柔らかい」
ヘレス
「おお!よく知ってんだなあ!じゃあこの栗は?」
ソライト
「(ミツゴトウ)だろ?
棘に糖分が含まれて熱で溶かして水飴にできる!」
ヘレス
「やるじゃねえか!」
うわぁ…と鑑賞に浸るレオファング。
だがこんな洞窟に樹木が生い茂るなんてと
危機感こそが募っていく。
大自然の力こそ本当に侮れないのだから。
…光が見える。懐かしい太陽の光が。
3人が駆け寄ると行き止まりだったが、美しい西陽が地平の向こうへ沈んでいくのを確認できた。
ソライト
「……うわぁ〜……そういやもう何日も日の元に
いなかったんだよなあ」
レオファング
「久しぶりの太陽だ…なんだか生き返るな」
ヘレス
「陽の光を浴びれる日がくるとはなあ!」
黄昏の時。
3人は優しい光の側でキャンプの準備をする。
閲覧いただきありがとうございます♪
紫陽花ゼリー!あの歯がスッと入る感じがたまんねー!
設定集のコーナー
「アトライネ=レオファング」
ゴブリンの街の収容区で偶然出会った16歳の少年。
目の色は書いていた通りマリンブルーに輝いています
文で表すのは難しいですがとにかく目が綺麗な子ですよ!
そんなレオファングの故郷はブリタニアではなく
今後物語に登場する「フレンジス国」です。
モチーフになったのはフランスですよ〜
そんなレオファングの趣味は読書と武器の手入れです。
特に武器の手入れはセンスが光ります。というのも
学生時代のインターン先は武器工房だったからです。
やっぱり本物の剣は男のロマン!