第12話 「生き延びたその後で」
10階層のとある穴部屋…
ソライト
「痛つつ……わりぃ、なんか無茶した。」
レオファング
「大丈夫、防壁魔法得意だから。
それよりさっきのは一体…?」
ソライト
「わかんねえ、ただ…"誰かが宿ってきた"んだ…」
レオファング ソライト
「その誰かって?」 「さあな…」
なんとも言い難いような空気が2人を包む。
レオファング
「あのさ、さっきの対決だけど…
あの武器じゃないとアイツに勝てないのかな?」
ソライト
「……多分、勝てると思う。
けど最後に声が聞こえた時にこう言った。」
グランプレス
「出直してこい、その力を使いこなして」…と」
レオファング
「…なるほどね、道は2つというわけか。」
要するに天叢雲剣を使いこなして正面から切り伏せるか、
別の武器や魔法で変則的に倒すかだ。
叢雲を使うのはリスキーだが武士道精神には
乗っ取っている。使わなくても何かしらのドラゴンキラー
でも出せば勝利は必然だが、倒される側は果たして
それで満足なのか。
ソライト
「そうだ、なあなあ、元奴隷なら
ゴブリン街の事なんでもわかったりする?」
レオファング
「う〜ん…なんでもって程じゃない程度には。」
ソライト
「それなら少し案内してくれねえか!?
市場とかあるんだろ?」
ゴブリンの街…
6〜9階層にわたって形成されている巨大な街だ。
当然、ゴブリン達によって統制されている。
以前ソライトは奴隷解放のために図鑑から出した武器で
痛めつけているので、
街には顔パスで入れることになっている。
レオファング
「……着いたよ、街で1番大きな商店街。
8階層のバゲーズ通りだ。」
ソライト
「すげえ…奥まで店だ…」
出店に次ぐ出店。何故か地下なのに魚屋や肉屋がある。
射的にギャンブル、衣類や生活用品、乗り物まで
売られている。
ソライト
「すげえ…王都の祭りみたいだ。」
レオファング
「見て!あそこに売ってあるもの。」
指差された肉屋の品を見る。
豚ロース、牛ロースと来て獅子ロース、
象ロースまでもある。
ソライト レオファング
「ロース専門かよ!?」 「片やもう一方は…」
もう一方の肉屋にはヒレ肉ばかり。
シャレを効かせたのか魚のヒレも置いてある。
というか脚肉だけだったりなんと目だけを取り扱っている
店もある。
ソライト
「食中毒とかないの?」
レオファング
「奴隷はある。ゴブリンはない。」
ソライト
「理不尽だけど…まあアイツら雑食だよな。」
とはいえ試行錯誤しながら商売しているので、
試食の段階で泡を吹くゴブリンもいるらしい。
一向は八百屋に立ち寄る。
ゴブリン店員
「らっしゃ…ヒイイイッッッ!!!??」
ソライト
「あ〜!落ち着いて!なんもしないから…
ところで王都の通貨は使える?ブリタニアのやつ。」
ゴブリン店員
「ええ!?あ、ああ、勿論だとも…」
見覚えのある野菜の他にも野草がある。
野草は薬草だったり毒草だったりだ。
ソライトはあるものに目が行く。
ゴブリン店員
「それは(シズメワラビ)だね。
発情期の子は顔を赤くして買っていくねぇ」
ソライト
「鎮静効果があるんだっけな?」
シズメワラビは鎮痛、鎮静薬草だ。
脳に刺激を渡らせづらくする成分が
含まれているからなんだとか。
野草や果物を買って野宿する場所を探した。
その日の夜__
レオファング
「…何を買ったんだよ…見るからに不気味な…」
ソライト
「練り米一合とカフンソウ、シズメワラビ5つ、
ハナビダ1セット、林檎とバナナと葡萄よ。」
(練り米)は携帯食料の一種だ。
どんな環境下でも必ず米を実らせる。
が、普通に炊くと餅になるので
兵糧丸を作るのに適している。
(ハナビダ)は花粉を爆薬にする花だ。
間違って火を付けたりすると爆発する。
花弁の色によって爆発の際、色が変わる。
ソライト
「これを混ぜ合わせれば…できた。」
レオファング
「ハナビダの練り団子…!?」
ソライト
「爆発とかしねえぞ?
てか食料にもなるって教わらなかったの?」
レオファング
「君はワイルドすぎるな…」
さらにカフンソウを粉上にして薄い餅に包んだ
花粉団子や残ったハナビダを水と混ぜてペイント玉に
仕上げた。準備は万全だ。
閲覧いただきありがとうございます♪
乾燥対策のオイルをぬ〜りぬり…
設定集のコーナー
「特別な武器」
前のお話でソライトが召喚した「天叢雲剣」。
ソライトの意識を乗っ取り神格化を促しましたね。
実は武器の中には特級呪物として代償付きの物もあります。
レオファングが「普通の人間には使えない」と
言っていたのですが、持ち主の怨念が眠っているから
なんです。
さて、現実にそう言ったものはあります。
これはモチーフにもなりましたがそれら特級呪物は
現実にもある祟りや呪い、都市伝説などの要素を
詰めています。首塚や禁足地などがそうですね!
現実ならなおさらのこと、危険な物には
近づかない方がいいかもしれませんね♪
くわばらくわばら…