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魔剣使いのリリィさん  作者: kano
10/14

「さて…どうする?」

私たちは宿の一室に集まっていた。

私、魔剣使いのリリィ、聖騎士ライオット、神官ミオン、弓使いルルカ、魔術師コルト。

そして私の使い魔フェーンと、精霊使い見習いのルーン。

私たちはコルトの双子の兄ラルトを救出するべく、魔界へと乗り込むことを決意していた。

ラルトは魔物に取り込まれ、それを救ったのも束の間、魔界へと連れ去られてしまったのだ。

「とりあえず、準備が必要だな」

ライオットが言う。

彼は椅子に腰掛け、頬杖をついていた。

なんだか考え込んでいる様子だ。

「魔界なんて、とんでもない場所へ行くんだからな」

「でもさー」

ミオンが声を上げる。

「誰か知ってるの?魔界への行き方」

ミオンの言葉に周りが沈黙する。

私たちは完全に声を失った。

そ、そうだった…!

魔界へと行くと決めたのに、肝心の行き方がわからない。

「え?マジ?誰も知らないの???」

ミオンが慌てたように手を振るわせた。

「そんな!どうするのよ!?」

「ま、待ってよ」

ルルカが立ち上がった。

「妖精界だって行けたんだし、魔界だってきっと行けるはず!行き方があるはずなんだから!」

私はうーんとうなり

「それもそうね」

うなづいた。

「しかし、行き方が誰もわからないのではどうしようも…」

コルトがモゴモゴとつぶやいた。

「うーん…」

私は再びうなった。

どうしたものか…

「僕、知ってるよ!」

急に明るい声が上がった!

いつの間にか子犬の姿から人型に変わっていたフェーンだ。

ニコニコと笑いながら手を元気に上げている。

「フェーン!?それ本当なの!?」

私の言葉にフェーンは更にニコニコとした。

「うん!だって僕、魔界からこっちへ来たんだよ」

フェーンはよいしょっと言いながらベッドによじ登った。

そして立ち上がり

「あのね!魔界への行き来は魔界は続くゲート、穴を通るんだ!」

得意そうにフェーンが言った。

私たちはおおーっと声を上げる。

えっへん!とフェーンは得意そうにし、そして

「でも、魔界への穴はどこに繋がるのかわからないんだ!」

そしてその言葉に私たちは盛大にズッコケた。

「ちょ、ちょっとフェーン…どこに開くかわからない?それじゃ行けないじゃない…」

私の言葉にフェーンはへへっと笑った。

「うん、でもね、ヒントがあるよ。魔界への穴は満月の夜に開くんだ!」

満月の夜…?

「次の満月は3日後ですよ」

コルトが言う。

「そうか、3日後までに、どこに開くかわこらない穴を探さないといけないってこと?」

私の言葉にみんなが押し黙った。

魔界への穴…

一体どこに開くっていうのよ!?

その時、黙って聞いていたライオットが立ち上がった。

「いい手があるぞ!」

ライオットの声は弾んでいる。

「この街には凄腕の占い師が住んでいると聞いたことがある。魔界への穴のことを聞いてみたらどうだ?」

ライオットの提案に、私たちはハッとした。

まぁ確かに、無闇にどこかを探すよりは確率は高いかもしれない。

「で?その占い師はどこにいるの?」

ミオンが言った、至極当然のことを。

しーん…

私たちに再び沈黙が訪れた。

「聞き込みね…そこからやりましょ!」

膝を打って私は立ち上がった。

「さすがだな、リリィ、俺もそう言おうと…」

「はいはい!わかったから!さ!行こうみんな!」

ライオットの言葉を遮りながら、ルルカが話し出した。

占い師を探し出す!

それが私たちの目的になった。

私たちは3つに分かれて探すことにした。

まず、私とフェーンとルーン。

ミオン、ルルカ。

ライオットとコルト。

「さぁ!なんとしてもみつけましょ!」

私たちは宿の前でバラバラに分かれた。

しかし、この広い街をたった1人の占い師を探すために駆けずり回るとは…!

「ねぇ、フェーン、何か感じない?」

「わんっ!」

フェーンは小さな子犬の姿に戻っていた。

そして無邪気にわんわん吠えて、尻尾を振っている。

うーん、ダメね…

私がはーっとため息をつくと

ルーンが私の服の裾を引っ張った。

「ねぇ、おねぇちゃん。路地裏に行ってみよう?」

ルーンの言葉に私は振り向いた。

「そうね。いかにもいそうだもんね」

ルーンに引っ張られ、私たちは路地裏へと進んだ。

据えた匂い。

そして怪しげな男たちが何人かいる。

ニヤニヤと笑ってこちらを見ていた。

私はルーンをぎゅっと抱き寄せた。

ちょっと、危ない感じね…!

でもここで引き下がるわけにも行かない。

「ねぇ、誰かこの辺に占い師がいるのを知らないかな?」

私は男たちに話しかけてみた。

男たちは一瞬ギョッとしたような顔をした。

まさか話しかけられるとは思っていなかったんだろう。

「お、おう…それなら、ここの奥に占いの館があるぞ」

いかつい男が教えてくれた。

「ありがとう!教えてくれて!」

ルーンがにっこりと笑ってお礼を言うと、男たちは顔を赤らめ、なんだかもじもじとしていた。

そして私たちは男たちに手を振ってその奥へと進んでいった。

そして

占いの館を見つけた。

古い建物だったが、キラキラと装飾がされていて、なんだかとても不思議な雰囲気だ。

私たちは意を決して館の扉を開けた。

チリリン

扉についていた鈴が鳴る。

そしてそこには

1人の長身の女の姿があった。

パンクっぽい格好をした、スレンダーな女の人。

「ん?いらっしゃい」

女はそういう時私たちに笑いかけた。

そして手には水晶玉を持っている。

女は水晶玉を撫でながら、こう言った。

「おや?なにか探し物があるみたいだね」

私たちはハッとした。

そして私は一歩踏み出し

「あ、あの!私はリリィ・アンダースロープって言います。魔剣使いです」

私は丁寧に自己紹介を始めた。

「こっちは使い魔のフェーンと、精霊使い見習いのルーン」

ルーンがペコリと頭を下げ、フェーンはわんっと元気に鳴いた。

女はニコニコと笑顔になる。

「あら、可愛いお客様ね。初めまして、私はミレニア。この館の主人よ。占い師をやっているの」

女、ミレニアはそう言って私たちに笑いかけた。

しかしすぐに表情が曇り

「しかし、随分と深い因縁を持っているのね。魔剣使いって言ったよね?」

「は、はい…!」

「その魔剣、ソウルイーターでしょ?魔人が宿ってるね」

そのミレニアの言葉に、私は驚いた。

「な、なんでそれを??」

「ふふ、私にはわかるのよ、そういったことがね」

ニコッとミレニアは笑った。

そしてふうん、となにかを悟ったような表情をする。

「ねぇ、その魔剣、主人であるあなたに何か伝えたいことがあるみたいよ?よかったら、私が伝えてあげようか?」

ミレニアは言った。

私は驚いた。

しかし驚きつつもうなづいていた。

魔剣の言葉…それはノイジーの意思だ。

聞きたい…!

「お、お願いします!ぜひ聞かせてください!」

私が焦って、ミラニアに近寄ると彼女はうなづいた。

「わかった。今降ろすね」

そう言ったミレニアの身体がガクンとゆれた。

そして…

なにやらミレニアの雰囲気が変わった。

私は思わず息を呑む。

「やぁ…リリィさん」

声はミレニアのものだったが、その言い方、それはまるで

「ノイジー!?」

私はミレニアに乗り移ったノイジーの腕を掴んだ。

「久しぶりだね、リリィさん」

ニコッとノイジーは笑った。

「リリィさんたち、今度は魔界への行くって?はは、俺の故郷だしな。危険な場所だが、俺がリリィさんたちを守るよ」

ノイジーはそう言って私の手を取った。

私はなんだか泣きそうになっていた。

ノイジーとずっと話したかった。

それがこんな形で叶うなんて!

「俺の言葉通り、魔剣使いになってくれたんだな。嬉しいよ」

「ノイジー!私、どうしてもあなたに伝えたいことがあって」

「リリィさん、魔界への穴は3日後、グレイトフォレストの麓に開く」

ノイジーの言葉に私はハッとした。

「場所は俺が知ってるからな。みんなでちゃんと準備して行くんだぜ?」

「わ、わかった。ありがと。ノイジー」

私はノイジーの腕を掴んだまま

「ねぇノイジー。私を助けてくれてありがとうね。それをずっと伝えたかったの。私のために、色々してくれて…」

「いやいや、礼には及ばないよ。リリィさん。ほかならぬリリィさんのためなら、俺は火の中水の中、なのさ」

そう言ってノイジーはにっこりと笑った。

「ねぇ、ノイジー。もう元には戻れないの?私またあなたと一緒に冒険したいよ!あなたに会いたい…」

「リリィさん、なら魔界で俺の本体を探すといい」

ノイジーの言葉は意外なものだった。

「人間界に行く時に、本体と分身に分かれたのさ。本体の俺もリリィさんのことは知っている。きっと力を貸してくれるから。俺は本体に会えばまた吸収されて元に戻る」

私はノイジーの言葉に笑みが溢れた。

「また会えるんだね!ノイジー!」

「そうだな、俺もリリィさんの頭をなでなでよしよししたかったからな。いつも頑張ってて偉いからな」

私は顔を赤らめた。

「もう!ノイジー!からかわないでよ!」

「ふふ、本心だよ。さぁ、どうか俺を見つけてくれよ。リリィさん。また会ったらハグしたいしな…」

がくりとミレニアの身体が揺らいだ。

「じゃあな、また会おう…」

ミレニアが倒れ込んだ。

そして頭を抑えて体を起こす。

「うーん…どうだった?」

「ありがとう、ミレニア。おかげでノイジーと話せた」

私は思わず涙声になっていた。

あんなに会いたかったノイジーにまた会えた。

嬉しくて涙が出てきた。

「ありがと…本当に」

「おねぇちゃん!良かったね!」

ルーンが私にひしっと抱きついてきた。

「ありがと、ルーン」

「わんっ!」

フェーンも私の胸に飛び込んできた。

私はそんなフェーンをしっかりと抱きしめた。

「フェーンも。とりあえず場所もわかったからね。グレイトフォレスト、北にある山脈の麓なのね」

私はミレニアに向き直った。

「ありがとうミレニア。あなたのおかげで助かった」

「いいのよ!よかったね、想い伝えられて」

ミレニアの言葉に私の頬から涙が伝って地面に落ちた。

ついに泣いてしまう私。

ポタポタと涙が溢れてくる。

ずっと、ずっと会いたかった…

そして、ノイジーの復活の望みが出てきた。私は暖かくなった胸で、ぎゅっとフェーンを抱きしめた。





グレイトフォレスト

この街の北に位置する山脈の1番手前の山だ。

その麓に3日後、魔界への穴が開く。

この情報を得ただけでも良かったのに、私はノイジーの復活の手がかりを得ていた。

思わず顔が緩む。

私たちは3日後に備えて、旅の準備をし始めていた。

携帯食料、テント、松明、そして武器や防具の手入れ。

私は鎧を新調した。

白い銀のアーマーだ。

これは魔界へ行った時、魔除けの効果を期待して買い換えた。

ルーンやフェーンにも、お守りとして銀の装飾品を持たせた。

ライオットはいつもの剣に加えて、バスタードソードを手に入れた。

ルルカは銀の鏃のついた矢をたくさん。

ミオンは聖なる力の加護のあるロッドを手に入れた。

コルトは魔力を高める杖を買っていた。

私たちは準備を入念に行なった。

これからどれほどの期間魔界に滞在するのかわからない。

下手をすれば現地でも食料を手に入れなければいけないかもしれない。

魔界の図鑑なども手に入る範囲内で手に入れた。

「さぁ、準備は万全だな。3日後魔界へ旅立つのだが…」

私たちは宿の一階にある酒場にいた。

「とりあえず飲もう!そして今度の旅もきっと勝とう!」

ライオットがビールジャッキを持ちながら叫んだ。

「かんぱーい!」

私たちは一斉に乾杯する。

魔界への旅、下手すれば帰っては来れないかもしれたい。

でも私たちは行くと決めた。

ラルトを救うため。

そしてノイジーの本体に出会うためだ。

「フェーン、魔界は久しぶりね」

「うん、僕が案内してあげるから大丈夫だよ!」

ミルクをちびちびと飲みながらフェーンが言った。

フェーンは人型の姿をしてみんなと笑っている。

「ありがと、フェーン。頼もしいね」

「僕がおねぇちゃんを守って見せるよ!僕のご主人様…!」

そう言いながらフェーンは私に寄り添った。

「私も!おねぇちゃんを守る!」

反対側にルーンがもたれかかってきた。

私はとても幸せな気持ちになった。

私が、何があっても2人を守るからね…!

「コルト!あなたの兄さん、きっと助け出そう!」

ミオンが酔っ払いながらも真剣な表情でコルトに話しかけた。

コルトは顔を赤らめ

「ありがとうございます。みなさんに会えて本当によかった!」

「コルト!もうずっと俺たちの仲間でいろよ!」

ライオットが酔っ払いなからもコルトにからむ。

「はい!嬉しいです…!」

「そうよ!みんなあなたの仲間なんだから!」

ルルカが嬉しそうに言った。

私たちは束の間親睦を深めた。

これか厳しい戦いになる。

そんなことは承知の上だ。

だからこそこうして仲間の絆を深めていた。

私たちならきっと大丈夫。

私はそう強く思った。

私たちならきっと出来る。

強大な敵と戦うのを恐れない。

私たちはまた戦うのだ、恐れを感じてはいないわけではなかったが、負ける気なんかなかった。

こうして3日後。

私たちの新たな旅が始まったのだ。

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