第17.5話
突然、何も無い白い空間に放り出された。
ここは恐らく、第一の試験会場。
試験官は参加者同士の実戦で評価していくと言っていた。
つまりもう少しすれば、向かい側に相手となる参加者が現れるということだ。
ドアノブをひねる音。
恐る恐ると言った様子で、それらしい者が入って来た。
「あ──────よろしくお願いします」
「お願いしまーす」
弱々しい挨拶に遅れて、快活な少女の声が聞こえた。
入ってきたのは背の低い黒髪の男と、ワンピース姿の銀髪の少女だった。
知り合いではないが、コイツらには見覚えがある。
試験の説明前、大声を上げて威張っていた男の取り巻きだ。
自分たちは任務に参加したことがある、他の奴らとは違う、と声高らかに話していた奴らだ。
「えっと……戦えばいいんですかね?」
目の前の男から覇気は感じられない。
横にいる象物らしき女からも。
まるで散歩でもしているかのように、気が抜けている。
「ああ、僕達で戦えばいいのさ」
好都合だ。
なぜだか今回の試験は名家の人間が見に来ているらしい。どうせ血縁の者が参加しているからだろうが、関係ない。
この腑抜けた奴を手始めに、実力を名家にアピールしてみせる…!!
「解釈拡大“神剣創成”!!」
一振の剣が手元に出現する。
付喪神の力を宿した折れず、曲がらずの剣。
それを手に、標的に向けて駆けた。
「えっと?解釈、拡大…ってこれ毎回言わなきゃいけないのかな」
「シキ、頑張って!」
バカが。
解釈拡大は“想像”と“戦闘”の考え方をスイッチするための掛け声だ。それ自体に意味は無い。
そんなこともわからないやつに、負けるわけが──────
「“ミノタウロスの斧”」
「……?!?!」
もやしのような男からは想像できないほど、巨大な斧が現れる。
見掛け倒しだ、そう思うが、その斧に秘められたモノの強大さは、近づけば近づくほど明らかになっていく。
「手加減するんで、できるだけ防御してください」
申し訳なさそうな顔で男は斧を振るう。
即座、剣を横に構え、防ぐ体勢をとった──────
次の瞬間、浮遊感と共に視界が捉えたのは天井だけだった。




