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猛毒無双 ~転生したら海の中~  作者: 回復師


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第18話 G的な謎生物

 ステータス画面にコール機能があるということで、母さんに連絡したら、ワンワン泣いて生きていた事を喜んでくれた。


『ヤクモちゃん、今どこにいるの? 母さんすぐ迎えに行くね!』

『あっ! 母さんそれはダメです!』


『え!? どうしてダメなの?』

『チュートリアルが教えてくれたのですが、母さんは本来3つほど先のエリアがホームなのですよね?』


『うん、そうだけど……でもヤクモちゃんが心配なの!』

『気持ちは嬉しいけど、過保護なのはダメですよ。すぐに追いつきますので、母さんはどんどん先に進んじゃってください。なにやらアリア様が俺に回復役の者を寄こしてくれるようなので、心配には及びません』


『回復役? アリア様がヒーラーを付けてくれたの? ヒーラーは凄く貴重なのよ? やっぱりヤクモちゃんは何か特別な使命か何かお与えになられてるのかな?』


『多分違うと思います……あの女神様は、自己中なだけのような気がします。自分が上司から怒られないように、俺を無理やりこの世界に放り込んだのです』


『無理やり?』

『まぁ、その事はもうどうしようもないので……近況は毎日連絡しますので、そう心配しないでください。また近いうちに会いましょう』


『分かったわ。それでも心配だけど……高レベル者が出産時以外でそのエリアで狩をしていたら顰蹙を買いますからね。3つほどランクが上のローレンの町周辺で待つことにします。もう死なないように気をつけるのですよ?』


『うん。母さんも気をつけてね』


『あっ! あなたの狩ったウツボ君の「魂石」食べちゃった! ごめんなさい!』

『あれは母さんにあげたものです。気にしなくて良いですよ』


『でも……ウツボ種は生まれたてでも得られる経験値が高いので、ヤクモちゃんが捕食してたら沢山レベルが上がったでしょうに……それに、スキルを初めて「魂石」から得る事ができたの。しかもとっても良いスキルなのよ』

『それはおめでとうです! まぁ、あれはイレギュラー的に狩ったので、レベルが上がっても実力が伴わないですからね。自分なりに頑張って追いつきますので、お互い頑張りましょう』


 ウツボから母さんが得たスキルは【身体強化】、俺は最初から持っていたので何も問題ない。とても有用なスキルで、全てのパラメーターが上がるから重宝がられるパッシブスキルだそうだ。母さんがすごく喜んでくれていたので、痛い思いをした甲斐もあったと思う事にしよう。


 30分ほど話して、母さんが落ち着いたのでやっと通話を終了する。


 本来、タコは生まれてから後は、親への情はない。

 親は卵が孵るまで飲まず食わずで卵を大事に守るが、それ以降は死んで役目を終える。


 子は巣立って海面近くを2・3ヶ月浮遊して目に付いたプランクトンなどを捕食し、ある程度育って体が大きくなった時点で着底して海底を這い回る生活が始まる。


 俺たちのように親子でべったりなのは、転生者故の人間としての感情が強いためだろう。



  *  *  *




 日も暮れてそろそろ俺たちタコ種の狩りの時間だ。

 【インベントリ】に何も無くなっているので、今日は無理してでも食糧確保に行かなければ飢えて死ぬ。


『♪ マスター、アリア様より連絡です。今から30mほど先に誕生する種の中に転生者を送ったので、すぐ迎えに行けとの事です』


『ん? ああ、例のヒーラーさんかな? 今から生まれるの?』

『♪ そのようですね』


『なんだ、もう先に生まれている強い人を寄こしてくれるのかと思っていたよ。ひょっとして、俺が最初守ってあげないとダメなやつかな?』

『♪ はい。行ってからのお楽しみだそうです……』



 ナビーの指示で、ヒーラーさんを迎えに行った。途中で海草を4種ほど確保できた。食べながら移動したので、空腹も多少治まっている。



 現地に到着したのだが、既に生まれ始めていた。

 何だあれ! キモイ! 幼生体なのだろうが、5mm前後のプランクトンみたいなのがちょこまかと沢山泳ぎ回っている。


 見た目がGに見える……カニとかエビの幼生だと思う。動きもそうだが、生理的になんか受け付けない……。

 こいつらはいくら空腹でも食べる気も沸かないな。


 あまりのキモさに、ヒーラーさんの件はなかった事にしようと、そっと帰ろうとしたら、突然声をかけられた。


「あなた、どこへ行こうとしているのですか! あなたが八雲さんなのでしょう?」

「え~と……何の事でしょう?」


「アリア様が、ひょっとしたら迎えに来ないかもとか言っていました。迎えに来てくれておいて、黙って帰ろうとするなんて酷いです!」

「うっ、ごめんなさい……でも、迎えにに来なかった場合はどうしたの?」


「その時は対処してくれると言っていました……まさか、生まれたての者を置いて行こうとするとは……あなたは酷い人ですね!」

「ごめんなさい……でも、流石にちょっとその姿は……」


 どうやら、ヒーラーさんは声から察するに元は女性のようだ。俺の発言の意味が分かってなさそうだ。多分自分の姿がどうなってるか気付いていないのかもしれない。生まれたほかの兄妹を見てほしい……高確率で逃げ出すと思うよ。


「えーと……八雲さん……私、アリア様に騙されたのでしょうか?」

「騙された? どういう事かな?」


 なにやら興味深い発言だ。騙された? これは話を聞いた方が良さそうだな……。


「実はですね―――」

「あ! ちょっと待って、ここは危険だから、安全な場所に移動しよう。捕食者が来たら、小さな俺たちは食べられちゃう。安全な場所に連れて行くから、俺の頭にでも乗っかってもらえる?」


 なにやら近付くのを躊躇ってるようにも見えるが、頭に乗るとか遠慮しているのかな?


「あ、はい。あの……捕まってもよろしいですか? まだ上手く泳げないようです」


 俺の頭の上に乗っけて、捕まってもらった。

 正直見た目がキモくて、頭に乗せるのも嫌だったのだが我慢した。



 巣穴に帰る途中、いつものトコブシを数個確保する。


「美味しそうな貝ですね! アワビってやつですよね♪」

「似ているけど、アワビではないよ。でも凄く美味しいから、巣穴に着いたら食べさせてあげるね」


 狩れそうな小魚も居たが、5mmほどしかない彼女が万が一食べられてもマズい。

 安全を考えて今日は帰るとする。


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