表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
91/276

第81話 新たなる力

 夢の中。

 微睡みの中。少し眠りが浅くなって来たのだろうか……わたしは不思議な感覚を感じていた。


《……よ。聞こえますか……》


 遠くから声が聞こえる。

 そして、ゆっくりと、光り輝く何かが近づいてくる。


《トゥリ・ハイラ・ハーンよ……目を開けなさい……》


 その言葉に、わたしはゆっくりと目を開いた。

 目に映る景色。そこはわたしが就寝している、「玉座の間」奥の寝室スペースだ。

 だが、わたしには感覚で判った。ここは現実の「玉座の間」ではない。わたしも、眠りから目覚めたわけではない。

 ここは……夢の中にある「玉座の間」なのだ。


 この夢を見たのは。そして、夢の中にある「玉座の間」に来たのは、初めてではない。

 わたしが「スキル」に目覚めた、「採掘(マイニング)」の能力を授けられた「あの時」以来だ。

 ということは、この夢は……。


 そう思ってベッドに座って目を上げると……白いゆったりとしたドレスを身に纏った、一人の女性が立っていた。



 ……………



《トゥリ・ハイラ・ハーンよ。久しぶりですね》

 身体全体がぼんやりと輝いている、その女性が言った。

「お久しぶりです。神様……でいいのでしょうか」

 わたしの言葉に、彼女は落ち着いた笑みを浮かべた。


 かつてわたしに『採掘(マイニング)』の能力を授けてくれた、「ゴブリンの神様」。あの時は遅刻してきた?からか、慌てた様な軽い言動が多かったけれど、今日は落ち着いた雰囲気を感じさせるし、前回よりも厳かで声の響き方も違う気がする。

 彼女が二回目で慣れて来たからだろうか。それとも、わたし自身もあれから様々な経験を重ねた事で、感じ方が変わったためだろうか。

 思えばあの日、あの時からこれまで、様々な出来事があって、あの頃とは状況はすっかり違っている。感じる感覚が変わっていてもおかしくはなかった。


《トゥリ・ハイラ・ハーンよ。あなたの活躍をずっと見ていましたよ》

 「ゴブリンの神様」が言った。

《ヘルシラント族の掌握。他部族との合戦。そして七英雄との戦い。こうしてこの地方を統一して、ハーンに即位したこと、見事です》

「あ、ありがとうございます……」

《そして、現在はハーンとして、隣接する地方にも勢力を伸ばしつつある……見事な活躍です。これからもその名の通り「叙事詩を紡ぐ者」として、この大陸での更なる活躍に期待します》

「ありがとうございます。領土全てのゴブリンたちを繁栄させ、皆が仲良く幸せに暮らせるように、これからも頑張ります」

《……………》

 わたしの言葉に何も答えずに、静かな笑みを浮かべて、じっとわたしを見ている「ゴブリンの神様」。


 少し沈黙が続いた後、わたしは女神に尋ねた。

「そ、それで……今回来られたのは、どの様なご用なのでしょうか……」


 わたしもいろいろ文献を読んで来たが、これまでの「ゴブリリ」の歴史で、「スキル」を授与する神様が二度も現れた……などという事は、聞いた事がない。

 普通は「スキル」を覚醒する時に降臨する、一度きりの筈だ。その後に姿を現したなど、聞いた事もなかった。

 実は、人生の最後に……亡くなる直前に、もう一度やって来たりする!? しかし、今回女神が現れたのは、そうした「お迎え」というわけでもなさそうだった。



《トゥリ・ハイラ・ハーンよ……》

 わたしの問いに、しばらくして「ゴブリンの神様」が口を開いた。

《今日はあなたに……新たなる力を授けに来たのです》

「えっ!?」

 思わぬ言葉に、驚きの声が出てしまう。

《ハーンとなったあなたが、大陸を舞台に様々な物語を紡いで、更に活躍する様に……あなたに新たな力を授けます》


 女神……「ゴブリンの神様」の言葉に、わたしは驚いて尋ねた。

「その……新たな能力をいただけるのは、有難いのですが……どうしてなのですか?」

《どうして……とは?》

「あの、これまでの歴史上の『ゴブリリ』にも、ハーンとなった者はいましたが、二つ目の『スキル』を与えられた話は聞いたことが無かったので……」

《ふふっ、そうですね……》

 わたしの質問に、「ゴブリンの神様」は、小さな笑みを浮かべて言った。


《それは……この時代が、大変な時代だからです。今、この時代には、過去に前例の無い事が起きているからです》

 女神の言葉を、わたしは頭の中で反芻していた。

(今は、過去に前例の無い事が起きている、大変な時代……)

《あなたがこれからの出来事に相対して、大陸を舞台に「叙事詩を紡ぐ者」として生き延び、活躍するために……新たな力を授ける事にしたのです》

 女神の言葉が、頭の中に響いてくる。


 「火の国」を統一して、隣接する「日登りの国」に進出をはじめた、我が「リリ・ハン国」。

 勿論、国内統治や、周辺のゴブリン部族との関係など、解決すべき課題は多い。だが……例えば外敵から攻められていたり、内乱が起きたりといった、存亡の危機に立っているわけではない。

 今のところは比較的順調だし、女神が言うような「過去に前例の無い事が起きている、大変な時代」だという様な実感は無い。

 でも実は、大陸全体では女神が言うような出来事が。過去には無かった何か大変な出来事が起きていて、この先「リリ・ハン国」も困難に直面する事になるのだろうか。


《トゥリ・ハイラ・ハーンよ》

 「ゴブリンの神様」が言った。

《今回与える新たな『スキル』で、この大陸を生き延び、活躍して、澱んだ世界を変動させ……大陸にすばらしい叙事詩を紡いでくれる事に期待しますよ》


 わたしは女神……「ゴブリンの神様」を見た。

 相変わらず静かな笑みを浮かべており、彼女の言葉の……そして行動の真意を読み取る事はできない。

 だが、この神様が新たな「スキル」を与えてくれること。そして、今後直面するかもしれない困難に相対するためには、おそらく、その新たなる力を活かす必要があるだろうことは、間違い無さそうだった。


「そ、それで、どの様な力、『スキル』を授けていただけるのでしょうか……?」


 わたしの言葉に、女神は暫く沈黙した後で、答えた。

《トゥリ・ハイラ・ハーンよ。あなたに授ける新たなる力は……》



《「刻印(マーキング)」です》

 読んでいただいて、ありがとうございました!

・面白そう!

・次回も楽しみ!

・更新、頑張れ!

 と思ってくださった方は、どうか画面下の『☆☆☆☆☆』からポイントを入れていただけると嬉しいです!(ブックマークも大歓迎です!)


 今後も、作品を書き続ける強力な燃料となります!

 なにとぞ、ご協力のほど、よろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ