国民は見た!厄災が増える瞬間!
何が、きもい?気持ち悪いだろう?
何が、うざい?鬱陶しいんだろう?
俺はお前がキライだ。消したい。消えて欲しい。
あいつを守らないならいらないんだ 無価値だよ
だから、
お願いだから
出ていってくれ。
新手の洗脳ビデオ?とツッコミを入れながら起きた。
今時コスプレで色んな髪の毛あるけど白髪なんてセンスあるよな
朝飯は食堂だ、もう7時か・・急ごう
「おはようございます、ナメコくん。」
「おっそいなナメコ、来迎寺がもう食べ始めてるぞ、
変わったチョイスで。」
待ってたのは同級生の八橋と半田だった。
来迎寺と俺とこいつらで旅行に来たんだが、あいつ1人で食べに来たのか、俺を起こしてくれよ・・・
同じ部屋なのになぁ
しょんぼり俺を半田がツッコミをいれて元気出してくれる。碧南が明るく話すのも助かるよ。
食堂の奥に行くと、山盛りの皿が見えてきた。
なんであんなにたつくりを食べてる、いや黒豆も茶碗一杯だし、卵焼きがピラミッドに積まれてる。
「おはよ来迎寺。おせちセレクト渋いな」
「なんだ早良か。バイキングにまさかこれほどの物に出会えるとは・・ウインナーとかハムよりのどぐろの干物焼きがいいっ!」
とにかく、他のお客さんの邪魔にならないように
俺たちはご飯を食べた。来迎寺は、悪い奴じゃないけど飯に目がない。凄くかっこいいんだが性格がアレで飯も尋常じゃなく食べるから、引かれるんだよなぁ
イケメンなのにな。
「美味しいー魚の塩焼きいいなぁ、ご飯によく合う」 碧南は剣道部の副主将で、髪の毛がさらっとしたイケメンだ。対して半田は、親譲りのミルクティーヘアが可愛いが、ヤンキーなんだな、ザンネン。
「お前今失礼な事を」「なんでもないって」
よし、飯が落ち着いたところで状況説明だな。
今年で高校一年生だ。理由があって箱根に来た。生きたまま人形にされている女の子がいるらしいんだ。 親父の陰陽師の真似事が少しできるから、アジシオで浄化してやれるかもってな。
はいはい、碧南です。来くんも半君も危なかっしいから僕が守るんだよ?護衛用のしゃもじで、敵を打ち負かす!
「何これ」
ユネは見慣れた日本語で記載された登場人物たちの物語を冒頭で読むのを諦めた
ペンネームはクルタケ・ポムらしい
主人公の名前が決まっていない時のテンプレのようだが
キノコにしか聞こえない
ガラクの持っていた書物の中に入っていた
物語と一緒に言葉の翻訳文も挟まっていたので、何の気なしに読み始めたが・・
冒頭でお腹いっぱいになり、そっと元の場所へ戻しておいた
挿絵はイケメンたちが、武器にならないものを構えながらポージングしている
アニチューブ系、アニメ動画配信サイトなど回想して検索してみたが、ここまでアレな作品はなかった
もしかすると、乙女ゲーム系か、いやでも武器がウロコトリってどんな戦いするんだ
挿絵があるが、ものすごくクオリティが良い
それだけにしゃもじやお玉や、沸騰しても吹きこぼれない便利アイテムとかを駆使する
通販番組の売子としては高い能力を示すだろうが
食べ物を扱う道具を、用途以外に使うのは良くないと思っ
「どうでした?王子の所持する書簡の一つです。
ゴードンに贈られた物を、興味ないとの事で譲り受けました
文字は読めるように加工されているのですが、王子の仰る設定というものが、さっぱりでして」
ガラクはハニカム笑顔でこちらを見るが、内容が内容だけに真実は言いづらい
「女の子に受けのいい、美男子が沢山出てくる恋愛と友情の話ですよ、素敵な書物を譲られましたね」
これでもう、この書物はまともに見られない
「このままじゃ何も収穫は得られないわ」
ゴードンは書物を放り投げ、民間伝承の炎占いをする事にした
火を轟々と焚き上げ、何かしらをくべて燃え方で占う
というざっくりした伝承である
今回は燃やしきれない手紙の山にした
毒も含まれるが、悪魔に頼んで身を守ってもらうゴードンには特殊な防護服や魔法は必要ない
「火災だっ!火災だーーーっ!!!」
白い城が真っ赤に燃えている
まるで夕焼けのような赤に染まる城
ガラクの務める城
「ゴーーードーーンンンンンンッ」
もっと火力を足そう、という案で呼び出された下級悪魔の粋な計らいで、この世界には珍しい油を使った結果、
爆発的に燃焼して護衛騎士が複数負傷、王宮の使用人たちも多数負傷し、重症者もでている
高位の悪魔の彼女は、それを知らされていたが、下級悪魔達が結束して死人を出さぬよう救助する姿を見て、雨雲を城の上に呼び出すだけにしておいた
だが、黒煙は王子の聖域に多大な被害を及ぼし、
飾ってあった美術品は全て煤に塗れて汚れてしまった
更にその煤には手紙に仕込まれた毒も含まれる
修繕するには、特殊な免許をもつ修復者が必要だが
あいにく国内にはおらず、カホン国内にしかいない
という前置きの元、ゴードンは頭にたんこぶをトリプルつけて、泣きながら馬車を走らせていた
悪魔による輸送が禁止され、自力でたどり着くようにと王子に肩をつかまれたあの時は、ゴードンの走馬灯が流れる温泉の掛け流し湯の排水溝に吸い込まれるかのように、倍速で駆け巡る
王子の書物を開けた時点で、位置を特定される仕組みになっていたのが幸いし、ゴードンはユネたちとさほど遠くない位置まで無事移動してきた
従者0の一人ぼっちの姫
現在盗賊に囲まれている
「可愛いお嬢さんが1人で旅なんて危ないだろう?」
モヒカン頭の頭領が、舌なめずりをしながら軽やかステップで近づいてくる
手下達も手拍子付きでステップ踏みながら合流、そのまま頭領をセンターに踊り出した
「合流できたようだ」
見慣れぬエルフ、いや一回見た彼女
名前が出てこない為、お礼を言い、お名前をと尋ねる
「この姿ではわからぬか、前に会った事がある」
なにやら話しているが、ゴードンはスルーして盗賊のダンスバトルを
受けてたった
「街の外が騒がしい?」
城壁からの見張りが、街まで降りてきて報告するのは稀である
ドラゴンが不時着する時、魔物が縄張り争いで暴走した時
何かしらの神がやらかした時などである
ゴードンが向かった先から黄金の光が近づいてくると
カナンリの兵士達が目を凝らして様子を見守る中、金色の筋肉がゴードンや盗賊達を吸収して走ってくる地獄が見えてきた
兵士達は、顔を見合わせ嘆息し、速やかに報告するべく散開した