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あなたは、だあれ?  作者: ぬまちゃん
次への備え
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会議は続く


「それでは、最後にわたしが発言しよう。発言者Cで良い」


 前の二人とは違う雰囲気の出席者だ。


「今説明を受けた状況を冷静に考えると、現時点では、怒らせた相手に再度遭遇する確率は高いと考えざるをえない。また、怒っている相手をなだめるのには今の探検チームには荷が重いだろう、なぜなら既に怒らせてしまっているからだ。これから新しい探検チームを編成するには時間も金もかかるだろう」


 自分に対する賛同者を増やすというよりは、自分個人の意見を述べている感じだった。


「だから、現時点ではA305 の並行世界探検は中止ではなくて保留とする。もしもA305 が滅びずに残る様で有れば、今探検しないで、少し時間を開けてから再開すれば良いではないか。そうすれば、彼らの怒りも収まるだろうから、もしも再度遭遇しても対応可能ではないか」


「以上で主な意見は出たのか?」


 会議の議長を進めるチーフは問いかけた。


「無いようであれば、それぞれの意見を検討しよう。ただし前提として、この探検プロジェクトの設立主旨を改めて思い出してほしい」


 議長は、そう言ってから会議の出席者全員に対して、ゆっくりと語りだした。


――


 我々の世界は、心や体といった生物学的な科学技術に特化した世界だ。その分野では他の並行世界を凌駕していると言っても良い。

 しかしながら、我々は進化の袋小路に迷い込んでいるのだ。


 ここ数十年という間、全く新しい発見も無く文化は完全に停滞期に入っている。人々は新しい事を考える事をせず、ここ数十年はファッションさえも変わらない。誰かが考えた事に反対せず、ただ盲目に従うだけだ。若者は無気力になり、すべての事柄に無関心になっていく。


 さらに憂うべきは、出生率の急激な低下だ。既に自然分娩による出生自体がニュースになるくらいだ。管理された人工受精により、辛うじて生産人口は維持できているが、遅かれ早かれ維持できなくなるだろう。


 この状態に対して、対応策は二つ。


 一つは何もせず、このまま人類が種として滅んでいく道。そしてもう一つは進化の袋小路に入らないで進んでいる種を見つけて、彼らからその方法を学ぶ道。


 このプロジェクトは、たしか後者の道を探すべく始まったプロジェクトだったハズだ。


 平行世界に旅するのは、非常にリスクの高い旅だ。なにしろ、あちら側の世界の情報が一切ないわけだから。それでも、我々は、平行世界に旅して、色々な種族を見て来たではないか。それでも、いまだに我々の進むべき持ちを示してくれる種族に会う事が出来ていない。


 いいですか、出席している皆さん。我々には、立ち止まっている時間は無いのです。後ろを振り返って感傷に浸っている余裕もないはずです。

 どんな手段を使っても、どんな犠牲を払っても、我々が滅ばないようにするためのヒントを与えてくれる世界を見つける必要があるのです。


 そこの部分は、この会議に参加している者なら理解できるでしょう? その前提に立ったうえで、3つの対応案の内、どれが妥当なものかを検討しましょう。


――

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