新たなる作戦
「まあまあ。そんな、高偏差値女子と全国模試チャンピオン男子がホテルに行くかどうかの相談は、後で二人でやってくれ」
タクヤは、ちょっとひねくれるように、二人の会話を遮るように、話をいれる。
「ちなみに、ケンちゃん。ユカさんは未成年だから取り扱いには十分注意してね! 一回の火遊びが、やばい結果を招くからね」
ユカが、恨めしそうな目で、タクヤをにらむ。ユカのヒートアップ攻撃で、顔が緩んでいたケンイチロウは、少し冷静さを取り戻してユカからそっと離れる。
「一応、タクヤ一味の全メンバーが揃い踏みしたわけだから、改めて自己紹介と、今後の作戦を立てようか? はかる君1.5の今後の運用方針も決める必要があるしな」
ユカとケンイチロウが、二人でイチャイチャしながら、最後はホテルに行く話になってしまったので、話の流れを戻すためにタクヤが少し大きな声をかける。
その後、冷めてしまったコーヒーをゴクンと飲み干す。
「僕が、この一味のリーダー格のタクヤです。この研究室の助教をやってます。おじさん世代です。
実はここだけの話、結婚してます、離婚もしてます。目に入れても痛くない、娘が一人います。時々会いに行ってます」
「「えー!」」
研究室にいる全員が同時に叫ぶ。
そして全員の興奮が収まってから……
「最後に、タクヤ一味よりも、チームタクヤが良いですー。以上、タクヤ先生の報告ですー」
「そこは、ヤッパリタクヤ組じゃあないですか?」
ケンジ君が、一番鋭いツッコミをする。
「次がワタシかしら? タクヤ組又は一味のお菓子係、兼、縁の下の力持ち。助手のハナコです。まだ、独身でーす。ステキな殿方がいたら紹介してくださいね! 炊事洗濯、研究室の掃除までなんでもござれです」
ハナコさんは、すこしキュートな流し目を送りながら自己紹介をする。
「次は私、大学院生のケンイチロウです。当然独身です。弟がいます。以上です」
「わー、簡単すぎ! 次はワタシね。ワタシも大学院生です。ユミと言います。今は、タクヤ組み組員の手先として、ケンジ君やモモちゃん、ユカちゃんの高校で実習生をやってます」
「あとは、君達だよ」
タクヤに促されてケンジが口火を切った。
「高校生のケンジです。ケンイチロウはオレの兄です。オレは、兄ほど頭良く無いです。訳あって、ここの研究室に入り浸ってます。この間は、別の人間に乗っ取られたらしいです」
「次はワタシね。高校生のモモです。ケンジ君とは近所で幼馴染です。でも、まだ恋人ではありません。ケンジ君の心が何処かに飛んでっちゃうのを止める係です」
おー! その通り!
タクヤさんが、変なところで合いの手を入れる。
「ついでに言えば、中年タクヤさんに、いつもセクハラされてます」
「えー! それはマズイでしょう、タクヤさん! 可愛い娘さんに行っちゃいますよ!」
ハナコさんとユミさんが、
声を揃えて叫ぶ。
「それでは、大鳥はワタクシですね。新人です、よろしくお願いします。高偏差値大好きな花の女子高生です。モモちゃんとお友達で、ケンジ君とはクラスメートです。ケンイチロウさんともっとお近づきになりたいです。タクヤ先生は中年エロオヤジで、しかもバツ一なので、少し距離を置こうかなと思いました……」
ユミは、そこで一度話すのをやめてから、周りを見回して、
「ハナコさん、ユミさん、これからもモモと二人でお世話になりますので、女性同士団結しましょう。以上です」
「さて、一通りの自己紹介が終わったので、今後の相談だ」
タクヤさんがみんなを見渡しながら話し始めた。
「これから、また例の一団が来た場合に備えて作戦を立てたい。先ずは、測定装置を三代目はかる君に切り替える。そのための予算は既に教授にネゴってある」
タクヤは、研究室のホワイトボードに項目を書きながら話をするめる。
「あとは、心が入れ替わったかどうかを判定するための測定結果の解析処理だが、このプログラムは、ケンちゃんとユミちゃんにお願いする」
タクヤは、ケンイチロウとユミに向かって、声をかける。
「今、展開している、ミサンガは回収して、リストバンド型の『はかる君1.5』に順次切り替える。
ケンジ君の学校も、指輪型からリストバンドに切り替えて、今までケンジ君とモモちゃんだけだった測定をクラス全員に展開する」
タクヤは、こんどはケンジとモモを見ながら言う。
「これからは、出来る限り被験者を増やして、未知の脅威に対応する方向で進める」
自分自身に言い聞かせるように、軽くうなずきながら言う。
そして、ケンジ、モモ、ユカの方を向いて声をかける。
「ケンジ君、モモちゃん、ユカさん。当然だがこの作戦は極秘になるので、ここにいる人間以外には口外しないで欲しい。頼んだよ!」




