ユカとはかる君
その現象を測定する機械がこれ、はかる君だ。タクヤさんは、1号機と2号機をユカの前に置いた。
「アラ、このミサンガはケンジ君が学校に付けてきた物と同じですわね!」
ユカは、興味深げに、1号機と2号機を交互にみる。
「それに、これはクラスに配られた指輪と同じ……、じゃあないわ。これ、見かけ上はソックリだけど……なんていうのか……質が違うというのか……違いは分からないけど、でも明らかに違うような気がする」
ユカは、はかる君2号機である指輪型質量測定装置を触りながら、独り言をつぶやく。
「あ! もしかしたら……、モモちゃん、ゴメンね、チョットだけ、モモちゃんの指輪を見せてくれる?」
モモは、ユカの勢いに負けて自分の指輪を差し出した。
ユカは、その指輪を受け取るとその指輪を触りながら叫んだ。
「ヤッパリ! モモちゃんとケンジ君の指輪だけ本物なのね。ここにあるのと同じ物ね。これで、心と体の状態を絶えずモニターしているのでしょう?」
ユカは、納得した! という感じで頷く。
「なるほど、そういう事か! 私も、分かっちゃったわ」
そして、どや顔でタクヤの方を向きながら、一言喋る。
「モモちゃんとケンジ君の測定機をカモフラージュするために、クラスのみんなに配ったのでしょ?」
「ユカさんは、鋭いなあ。でも、この件は内緒にしてくれるかな。ああ、今度三号機が出てくるから、そっちもよろしくね」
そう言って、出来立てホヤホヤの試作品、はかる君1.5を机に置いた。
「あら、この測定機、以外に良いデザインですね。これでブルーも有ると良いかもですね」
ユカは、はかる君1.5を、色々と触ったり、匂いを嗅いだり、なめてみたりして言った。
「こちらの測定機はいつ配られるのですか? 今度は私の値も測定して欲しいですわ」
「そうだね、ユカさんにも我々の研究内容を知ってしまったから、被験者になってもらおうかな。パンツも見せてくれたから、今度は心と体の値も見せてもらおうかな?」
「「「タクヤ先生、それってセクハラですわよ。!!!」」」
モモとユカとハナコさんの三人が、ほぼ同時にタクヤさんに向かって叫んだ。
ケンイチロウは、自分にも被害が及ばない様に、タクヤから少し離れた所に移動した。
「ケンちゃん、僕を見捨てないでよ~~。ケンジ君も、そんなに白い目で見ないで欲しいなあ。君達も、歳をとると僕の気持ちが理解出来る様になるからさ~~」
そこで、思いっきり被りを振る、ケンイチロウとケンジであった。
「まあ、冗談はさておき……。ユカさんには、もうここまで話してしまったし。またこれ以上隠し事をし続けて論理的な矛盾を指摘されるのもシャクなので、もう少し深い話をしようか」
タクヤさんは、少し真面目な顔に戻って、続きをユカに話し出す。
「実は、僕たちは心の交換を行なっているグループと接触しているんだ。そのグループの人間は、並行世界から来たと自称しているがね。謎は多いままさ」
「タクヤ先生、心の交換という事は、心が体と別に有るという事を認めているのですか?」
「ユカさん、キミだってもう分かるはずだよ? もう肩肘張らないで良いよ。みんな分かっているけど、口にすると、変な目で見られちゃうんだよね。だから、我々も公式な見解には一言も心という言い方はしていない」
タクヤは、部屋の中を歩きながら、一言一言を意識した話を続ける。
「脳の精神状態の中の個人を識別するための一形態という見方をしている。今の僕たちのテクノロジーでは、心の直接観測が出来ないのは事実だ」
部屋の中をぐるりと見まわす。
「だけど、心が有る、と仮定すると全てのつじつまが合うんだから、認めちゃえば良いんだよ」
真面目に話していたタクヤの顔が少しゆるむ。
「まあ、話はそれたけど、心を交換する方法を持ったグループというか世界があるらしい。そう言う彼らと接触したんだ」




