表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
あなたは、だあれ?  作者: ぬまちゃん
次への備え
55/74

タクヤさんとユカさん

「ところで、ユカさんは、何を飲むのかな?」


 ケンイチロウが、がっしりとしがみ付いていたユカを腕からそっと、はがしながら聞いた。


「そうですね、わたくしは、紅茶が飲みたいですわ」


 ケンイチロウの腕から引き離されたユカは、ケンイチロウの腕に未練があるような目線を送りながら答えた。


 ハナコは嬉しそうに言った。


「あら、紅茶が飲みたいなんて嬉しいわあ。紅茶を飲みたいなんて言ってくれるの、モモちゃんと私の二人しかいなかったけど、これで仲間がもう一人増えたわね」

(ほんとは、もう一人ユミちゃんがいるけど、今はヒ、ミ、ツ、。)


 花子は、研究室内をぐるりと見渡してオーダーの確認をとる。


「じゃあ、紅茶が三人ね。残りの、エッチな男子は全員コーヒーでしょう?」


「は、はーい……(しょんぼり)」


 タクヤとケンイチロウ、ケンジの三人は元気なく返事をする事しか出来なかった。


 今日の研究室は、女子パワーが炸裂している。ここに、院生のユミちゃんが出て来たら、体格も体重も男子側を圧倒するだろう。


「さてと、ユカさんには何から話そうか? 僕たちの本来の研究は、精神状態と脳の活動領域の検証という事なんだ。分野としては、実験的な脳科学という分野かな」


―― タクヤは、ユカに説明を始めた。


 例えば、気持ちが落ち込んでいる時は、脳の部分の何処にその反応が現れるかを特定するんだよ。今の治療法は、気持ちが落ち込んでいる時は、脳全体を活性化する薬を飲んでいるけど、これはあまりよろしい方法ではない。


 例として挙げれば、小指に怪我をしたら、小指の怪我の部分にバンドエイドを貼ればいいだろう?

 でも、いまの治療は、小指に怪我をしても、手や腕全体を包帯でぐるぐる巻きにしているようなものだからね。


 僕達はね、不必要な部分に負担をかけないで、本当に治療な脳の部分を特定したいんだ。


 そのために、気持ちが落ち込んでいる時に、脳のどこの部位にストレスがかかっているかを調べている。それが、基本的な研究なんだよね。


 ただし、その応用として僕達は別の研究も行っている。それは、気持ちが落ち込んでいる時に、脳以外の場所に影響が出ていないかどうかを研究しているんだよ。


 例えば、病は気から、とか、気は病から、という言葉があるだろう。それに、気分が良い時は体も軽いよね。逆に、気分が落ち込んでいる時は、体が重いよね。だから、僕達は精神的な状況と体との間に関係がありそうな別のパラメータを調査しているんだ。


 例えば、今回ユカさんとモモちゃんのクラスに配った指輪は、その研究の一環なんだ。詳細は省くけど、この指輪は心と体の接続状態を測定する事が出来るんだ。


 さっきも言ったように、本来は、体が不調の時は、心も同じ状態になる。体が好調の時には、心も同じ状態になるはずなんだ。

 だけど、精神的に参っている人は、心と体のバランスが崩れるんだ。体は正常なんだけど、心だけが不調になる、みたいな事だよね。


 学校の授業で言えば、先生の言った事はなんとなくわかった気分になったけど、腑に落ちていない時ってあるだろう? 体は正常だけど、気分だけもやもやしてるんだよね。

 これは、脳の活動を調べても分からない。脳としては、正しく言葉を理解し、正しく黒板を見、正しくノートを取ったからね。

 だけど、心はざわついているんだよ。本当の意味で心に落ちていない、といえばいいかな。


 この指輪は、その時のざわつきをモニター出来るんだよね。――


 タクヤさん、うまいなあー。少し、ごまかし、拡張が入っているけど、まあ、嘘は言ってないし。ケンイチロウは、タクヤさんの語りを関心して聞いていた。


 ……


 タクヤの話を聞いて、ユカが突然切り出した。


「タクヤ先生。さっき、精神状態の話から、いきなり、心と言い換えましたね。心ってなんですか?

 タクヤ先生はさっき『精神状態は、脳の活動結果として部位を測定する事でわかる』云々の話をしていましたけど、心の話は出ていませんでしたよ」


 ユカは、タクヤの目を覗き込むようにして質問を続ける。


「指輪の話をした瞬間に、心と体の話に、切り替わっていませんか? この研究室では、心の研究も行っているのですか?」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ