ユカの見せパンツ
その週は特に何事もなく過ぎた。平行世界の住人も、タクヤさんにあそこまで言われると、なかなか来られないのだろう。
週末になって、俺とモモと、ユカで、研究室に出かける日がやってきた。
ピンポーン!
「こんにちはー、ケンジ君いますか?」
「あれ? 約束の時間より随分と早いなあ? 誰だろう、モモが来たのかな?」
ガチャリ。扉を開けると、そこにはユカが立っていた。女子高生だから、化粧は薄いファンデで整えただけだけど、うっすらとピンク色の口紅を塗っている。
耳には可愛いブルーのピアスを付けて、長めの髪の毛は邪魔にならないように後ろで結んでポニーテールにし、シュシュでまとめている。
上はオーソドックスな落ち着いた色のブラウスに袖なしジャケットを羽織ったラフな出で立ちだ。
しかし、今日のユカは下で勝負して来た。かなり短めなミニスカートに、黒色のニーソを履いている。靴はニーソに合わせて黒のパンプス……
「うへえ! ユカさん、スカートここまで短いと、パンツ見えちゃうんじゃ無い?」
恐る恐る聞いたら、アッサリと返事が帰ってきた。
「大丈夫! 普通に歩いている時はギリギリ見えない様に調整してあるから。それに、そもそも見せパン履いてるから」
だとさ。
「大好きな人にしか本当のパンツは見せませんよ。私はこう見えても清純派なのよ。安心してケンジ君! でも、見せパンの中身は勝負パンツだからね!」
「あのー、それって、俺に言っちゃって良いんですか?」
「大丈夫、ケンジ君は、私の好きな人リストに入っているから。
ウーン、ユカさんの感覚は、チョット俺にはついて行けないかも。そうこうするうちに、モモもやって来た。
「あら! お早うユカ! えー! ユカ、今日は随分勝負賭けてるわね!」 ユカの下半身を見ながら、モモも感心しているようだった
「モモも、そんな事だから、いつまで経っても幼馴染のままなのよ。もっと勝負しちゃいなさいよ。乙女の賞味期間は短いんだから……」
俺は、二人の女子高生の会話を意識的に無視した。まあ、取り敢えず三人揃った事だし、兄貴の行っている研究室に向かおうか。
***
大学に向かう途中の電車の中でも、ユカの勝負服は乗客の注目のマトだった。何処かのコスプレ会場に向かうプレイヤーさんと勘違いしたのか、バッグを斜め掛けしている、オタク風なお兄さんから、何処の会場に向かうんですか? と聞かれた。
しかし、ユカはそれに動じずに優しい口調で……
ごめんなさい、私、コスプレイヤーじゃあ無いんです。ですから、写真撮影もご遠慮くださいね。
―― そう言って、オタクのお兄さんの質問をかわしていた。
やがて、駅に着いて、電車から降りるときも、乗客はユカのスカートに釘付けだった。駅のホームから階段で改札口まで上がる時には、ユカの後ろには若い男性が野獣のように群れをなしていた。ユカは、見せパンツが見える事は一切気にせずに、普通に階段を上っていく。
階段を登るユカの腰の動きに合わせて、ミニスカートが揺れて、その度に見せパンツがチラチラと見える。
俺は流石に恥ずかしくなって、ユカの真後ろから階段を上がって行って、ユカのチラチラパンツを隠そうとしたのだが、どうも完全に隠すところまではいかなかったようだ。ユカが階段を登りきって改札に向かう頃に、階段の下からは若い男性のどよめきが聞こえていた。
俺はユカに小声で言った。
「ユカ、お前のそのミニスカートのお陰で、かなりの若い男子が今日一日妄想の嵐にさいなまれるんだぞ。もう少し歩き方を工夫しろよ……。」
「あら、ケンジ君変な事言わないで。私は自分の歩き方は自分で決めるの。私は裸で町を歩いている訳では無いのよ。パンツも見せパンだから、何ら恥じるところでは無いわ。それで勝手に妄想するなら、それは殿方の責任でしょ?」
うーん。そう言われると言い返せない。
階段のところに引き返して、階段下で妄想しまくっている若者に向かって、今のは見せパンツです! と叫んだところで、状況は変わらないだろうし。
まあ、ユカのコスチュームの爆発力が確認できたという事だけだな。これで研究室に行ったら、どうなるのか? だんだんと、不安になって来た。




