ユカとケンジ
「ユカ!」
ケンジがクラスメートのユカに話しかけた。
「何よ! さっきは、早とちりしてごめんなさい。謝ったから、許してよ」
「うん、良いよ。そんなに、気にしてないから。それより、俺の方こそごめんな。俺の兄貴の処に連れて行くって、約束してたのに、ずーっと忘れてただろう? 俺さ」
「あら、ケンジ君、まだその約束覚えていてくれたの? ちょっと、見直したわ。モモちゃんの次に、好きになってあげても良いわよ」
さすが、ツンデレの女王ユカだぜ。と、心の中で突っ込む。でも、彼女は意外にクラスメートの受けは良いんだよな。頭は良いし、実は結構優しいところもある。
女子グループって、意外に他のグループには冷たいところがあるらしいんだ。だけど彼女はそんな事お構い無し。誰隔てる事なく平等に話しかけてくるんだって。だから、女子の中でも結構人気があるんだ。それに、すらりとしているけど、出るところが出ているし、顔も可愛いので、男子にも隠れファンが多い。このあいだも、ホワイトデーに沢山おかしをもらってた。
おかしいなあ、確かバレンタインに配ったチョコはたった一個でモモ宛てだったと言ってたのに、なんで返礼のお菓子が、そんなに沢山来るんだろう? そんな、クラスでも隠れ人気があるユカだが、唯一の欠点が、「ツンデレ」な所だ。まあ、そんな彼女のツンデレな所が可愛らしいと、女子も男子も押しポイントとして挙げているらしいけど。
オレも、もしもモモが居なかったら、彼女の胸に夢中な一人になっていたかもしれない……。
「それじゃあ、今度の週末に私を連れてってよ。『私を研究室に連れてって』、という事ね。大昔の映画の題名みたいね」
「お、おう。映画の事は知らないけど。週末に行こうな」
「ありがとうケンジ君。私の好きな人リストの中に入れてあげるわね。あ、そういえば、モモちゃんも当然一緒よね」
「え? モモも一緒の方が良いの?」
「だって、そうでしょう! ケンジ君と私だけで、お兄様の研究室に言ったら、お兄様に私がケンジ君の恋人か? と誤解されてしまうでしょう。だって、ケンジ君と私、お揃いの指輪をしているのよ! ケンジ君もこまるだろうし、私も誤解されるのは困っちゃうし。私は、ケンジ君のクラスメートの一人で、研究室に興味があるんです。そういうスタンスで行くのですもの」
ユカは、そう言いながらケンジを上目遣いで見る。
「もしも、ケンジ君のお兄様に気に入られてしまって、お兄様が私とお付き合いしたくなっても、お兄様としては、ケンジ君の恋人を略奪する訳にはいかないでしょう? 最初から、変な誤解を生まないためにも、モモちゃんと三人で行く方が良いでしょう?」
さすが、ツンデレのユカだ。いや、妄想のユカか? 勝手に、ストーリーが出来ていて、既に俺の兄貴と結婚する処までいっている。兄貴には、要注意人物が行くからって伝えておこう。




