タクヤさんの逆襲
どうやら、ンファはタクヤさんのやる気スイッチを押してしまったようだ……
タクヤさんは、ケンジ君に繋がっているであろうマイクに向かって、機関銃の様に話始めた。
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センサーで、心を入れ替えやすいかどうか分かるんですね。そうやって、心を入れ替えやすい人間を選択してから、どうするんですか?
そもそも、貴方の話では、心だけになった時に平行世界に移動できるという事ですが、どうやってセンサーを使うんですか? 貴方の世界では、平行世界側の状況を知るテクノロジーがあるのですか? でも、貴方の話では、基礎研究はあまり進んでいないと言いましたよね。
という事は、そこから推測される結論として、貴方方は、すでにこちらの世界にかなりの人数を送り込んでいるという事です。
だからこそ、こちらの人間の心をモニターして心を入れ替えやすい人間を探している。そして、その人間の記憶に対して、自分達の記憶を一時的に同居させて、支配するんだ。
まさに、今ケンジ君が操られているようにね。
多分、最初は記憶を平行世界に持ち込めないから、心に深く刻む何かの手段を使ったんでしょうね。
そうして少しつづ平行世界の情報を蓄えて来た。やがて、ある一定量の情報が手に入った時点で、特定のリーダーが、この世界で居場所を用意した。
そこまで行けば、後は平行世界を行ったり来たりして、こちらの居場所を拡大していけば良い。
それで、結局、世界を征服するんですか?
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タクヤさんが一気にまくし立てた後で、少し間を置いてから、ンファが続ける。
「タクヤさん、まあ半分は当たっています。でも私達は世界を征服するつもりはありません。それだけは、明確に否定させて下さい」
ンファは、語気を強めて言い返す。
「だって、心を移動するのではなくて、入れ替える事しか出来ないんです。しかも体が死んでしまったら、もう心は戻る事が出来ません。だから体が死ぬ前に強制的に心を戻すしか無いのです。そのために、私たちは心の交換を行って平行世界の旅をしたら、最後は元の世界に戻るだけです。体をいじったり、不当に束縛するつもりは無いんです。それだけは、信じて頂きたい」
タクヤさんも、その返答に食ってかかる。
「ンファさん。僕も、貴方の言葉に嘘は無いと信じたい。ならばこそ、一度ケンジ君を元に戻してほしい。そして、ケンジ君以外の体を使って、再度会話をさせて頂けませんか? いくら貴方方が、ケンジ君の心が丁重に扱われていると言っても、今の場合はケンジ君だけど、仲間の肉体が人質として取られているようで、感情的にならざるを得ないんです」
「タクヤさん。承知しました。今回は、私たちの認識不足もあり、貴方方に不快な思いをさせてしまったようです。その点については、お許しください。ケンジ君の肉体への介入は、現時点をもって終了します。また、後日改めてご挨拶に伺いますので、その時に改めて冷静に話し合いましょう」
ンファさんは、困ったように話をする。
「最後にもう一度申し上げますが、私たちはこの平行世界を征服するつもりはありません。そもそも、支配する事さえ出来ないのですから。それでは、失礼いたします」
そういうと、ケンジ君との会話は終わった。どうやらケンジ君はまた固まったようだ。
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