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あなたは、だあれ?  作者: ぬまちゃん
被験者から観測対象者へ
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お揃いのリング

「えー!モモとお揃いの指輪なんて、本当にヤバイよ。もう勘弁してくれよ!」


 俺は兄貴の方を向いて訴えた。


「兄貴からもなんとか言ってくれ!男子高校生と女子高校生がお揃いのリングなんかしてったら、一体どんな事になるんだよ。学校中が大騒ぎになるじゃんか!」


 兄貴はとぼけながら弟の叫び?に答える。


「そうだよなあー、やっぱりダメかぁ……実は昨日の夜にモモちゃんにコッソリ聞いたんだけど、大反対されたんだよね」


 ケンイチロウはタクヤの方に向き直って言う。


「タクヤさん、ヤッパリ少しお金がかかるけどプランBにしましょうよ」


「そうかー、やっぱりダメかあー。今時の高校生ならイケると思ったんだがなぁ。若い時はもっと無茶しなキャアダメだよ。周りの目なんか気にしてたら立派な大人になれないよ?」


 立派な?大人のタクヤは残念がる。


「だって、モモだって反対したんでしょ?って事は、今時の男子、女子の高校生は皆んなダメっていう事です!!!なあ、モモ」


「え?あ!あ、そうね。そうよね!……」


 アレ?モモのやつ反応が鈍いぞ?まさか本当は俺とお揃いの指輪を付けたいのか?どうしよう、ここはモモに免じて二人でお揃いのリングをつけようか?……


 チョットだけ決断が揺らいだが……


 兄貴が言ってたプランBを聞いてから、最後の決断を下しても遅くはなさそうだな。


「なんだい兄貴、そのプランBって?」


「ウーン、実はね……はかる君2号機が出来上がって来た時にコレを見た皆んなが、コレは駄目でしょう!って駄目だしが出たんだよ。まだミサンガの様な物なら、まあ許せるけど、流石に指輪は駄目でしょう?ってな話になったんだよね」


 椅子から立ち上がって、リングが置いてある場所まで歩いてくる。


「ただ、質量の分解能が圧倒的に高いので、今まで見えなかった物が見える可能性があるんだ。だから本当はこちらをつけて欲しいけど……若い男女なら未だしも、未成年や学生さんに強制は出来ないだろうという事になったんだ」


 ケンイチロウは、ここでチョット考え込むフリをする。


「そこで、個人戦では無く団体戦に持ち込もうと考えた」


「え?団体戦?」


「そう、『木を隠すなら森の中』って言うだろう? それと同じで、皆んながリングをしていたら、誰もリングに対して違和感を持たなくなるじゃ無いか」


 ケンイチロウは、リングを自分の指にはめる素振りをしながら話続ける。


「流石にこれと同じものを大量には作れないから、二つだけが本物で、それ以外は全てフェイクな指輪を用意する。そして、お前とモモちゃんのクラス全員にばら撒くんだ」


 手に持っているリングを、まるで部屋中にばら撒くような仕草を見せる。


「一応有名国立大学の生命科学系研究室からの協力依頼なら、高校側も断れないだろう?」


 ケンジに向かってお茶目な顔をする、ケンイチロウ。


「別に最初の3ヶ月ぐらいの期間限定でいいんだ。要は皆んなの目が指輪に慣れてしまえば良いんだよ。3ヶ月もの期間限定でも、高校生なら段々と付けるのが億劫になって来てリングを返すか、家に置きっぱなしで学校には持って来なくなる筈だ」


 流石に疲れたのか、椅子に腰掛けるケンイチロウ。


「その頃になれば、お前とモモちゃんがリングを付けて学校に行っても誰も関心を持たなくなる。なんだ、まだリング付けてるよ、物持ちなやつだなあ〜で終わりだよ」


 持っていたリングを机の上にソッと戻す。


「人間なんて興味が失せた物には注意が向かなくなるからね。そこにあるのに、皆んなが見てるのに、でも誰も気が付かない状態になるんだ」


 ―――コレがプランBだよ。


 うわぁ〜流石、脳科学の専門家だなあ!

 そんなに美味しい作戦があるなら、最初からそう言って欲しいなあ!


 そこからは、お金の話も絡んで来るらしくて、兄貴の代わりにタクヤさんがバトンタッチで話し始める。


「イヤイヤ、ケンジ君。この作戦、結構お金がかかるんだぜ。さすがに夜店で売ってる安物のリングだとバレるから、如何にもそれらしいレベルのフェイク品を2クラス分80個は用意するんだからな」


 タクヤさんは、肩をすくめながら少しイヤそうな顔をする。


「貧乏研究室には、余ってるお金なんか無いんだぞ。このためのお金は君達の様な学生さんを被験者にする為に『特別』に予算を計上してもらったんだからね。うちの教授レベルの強力な集金能力が無いと、いくら国立大学とは言え、難しいんだぜ。君達には、本当は感謝して欲しいぐらいだよ」


 なんかよく分からない理由を言いながら、タクヤさんはドヤ顔になる。


「まあ、だからこそ、本物を他人に貸したりしては絶対に駄目だからね。君達は信頼しているから、そこんところヨロシク!」


 今度は2枚目で格好付けているつもりなんだろう。片足を椅子に乗せて、親指と人差し指でアゴを触る。なんか時代が古いよなー。


 タクヤさん、研究者にならないで役者になれば良かったのに。ケンジはふと、そう思った。


「フェイクの方はこれから用意してもらうから、君達は早速これを付けて、お兄さんと豪華な食事を楽しんできてくれたまえ。あ、そっちの予算は本当にお兄さんが稼いだお金だから気にせずに豪華な食事をしておいで!」


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