研究室は楽しいかい?
「なんで、ユカがいるんだよ?」
モモと二人だけで兄貴の研究室に行くつもりで居たから、つい本音がポロリと出てしまった。
「あら、ケンジ君、随分とひどい言い方ね。だって今度お兄さんの研究室に連れて行ってくれるって約束したじゃない。まさか忘れたとは言わせないわよ。ウフ……」
イヤ、忘れた訳では無いけど、それはもっと別の時の意味で……
うーん、でもそう言われるとハッキリと連れて行く時期を明言せずにウヤムヤにした自分にも責任がある訳で、まあそこをユカに突っ込まれたという事だ。
「分かったよ、連れて行く約束を忘れた訳では無いから、連れて行くよ。ところで、何で今日俺とモモが兄貴の研究室に行くのを知っているんだ?」
俺は、嬉しそうにモモと一緒にいるユカに尋ねた。
「だって、週末にモモと遊ぼうと思って予定を聞いたらハッキリとした理由無しに、今週末はダメなのって、断ってくるんだもん」
ユカは、チョットすねた素振りをする。
「これは、モモとケンジ君でお兄さんの所に行くに違いない!とピン!と来たのよ。そこで、朝早くにモモの家に直接押しかけたら、案の定……」
ユカは、ドヤ顔を俺に向けて来る。
結構可愛いのに、ドヤ顔を男に向けるのはどうなんだ?
「モモったら、私に内緒で外出する用意をしてるんだもん。ケンジ君、女の勘をバカにしてはいけないわよ」
人差し指で俺を打つ真似をする。
えー!そこまでするかい?
女子高生の世界って、女の子同士でトイレに行くのとはレベルの違う世界になっていたのか?
まあ、そこは怖いから余り突っ込まないでスルーしておこうと思いつつ、俺の体の秘密はユカには知られたく無いから、モモと目配せしつつ話を研究室の話題に持っていく。
「実は、兄貴の研究室は大学病院と連携して脳波の研究とかしてて、今回は俺もモモもその実験に協力して欲しいと言われてるだけなんだ。だから今回ついて行っても、実験には参加出来ないんだ。それでも良いならば、研究室を兄貴に案内してもらうけど、どうするユカ?」
俺は、当たり障りのない理由をひねくり回して、ユカが研究室に行ってもつまらないだろうなあ、と思わせる。
「うーん、そうねえ。そう言う理由ならば仕方ないわねえ。要するに、今回ついて行っても、結局はケンジ君とモモと離れ離れで研究室の話だけ聞く事になるのよね?それじゃあツマラナイから今回だけは見送る事にするけど、次回は私も(モモと一緒に)実験に参加させてね」
そう言って、チョット寂しそうにするが、直ぐに思い返したようにケンジに話しかける。
「実験参加も含めた研究室の見学なんて、凄い面白そうね。ケンジ君、絶対忘れないでね約束だからね!」
「分かったよ、ユカ。約束は守るから」
俺はそう言って苦笑いをユカに向ける。
フーッ。何とか、これで当初の予定通りの行動が取れそうだ。
「じゃあ少し遅れたけど、兄貴の研究室に行くか?モモ」
「うん。ゴメンねケンジ、ユカの朝駆けまでは想定してなかったのよ。ユカの行動力には、チョットびっくりしちゃったわ!今度からはもう少し慎重に行動しないと私もダメね。チョット反省!」
そこで気を取直して、兄貴の研究室に二人で向かった。
これからどんな事が待っているやら?




