平凡な?放課後?
「まったく……」
キヨシ先生の独り言は続く。
……
授業中にあそこまで堂々と寝られると、先生としては非常につらいんだよなア~。俺の授業内容があまりにつまらないのか?とか、考えちゃうんだぞ。一応。まあなあ、でもしか先生(先生にでもなるか、先生にしかなれないし)みたいな無気力先生なら生徒が寝ててくれた方が授業時間をつぶすのにはもってこいだけどな。
でも俺は普通の先生で、生徒には少しでも授業に出てよかったと思ってほしいタイプだからな。生徒が一人でも寝てたり、ほかの科目の内職とかしてると、結構ショックになるんだよな。
やっぱり、教科書のこの部分はもう少し具体的な話で盛り上げた方が良かったかな?とか。最近話題になっている事柄に絡めて、教科書で説明している化学反応をうまく伝えられないか?とか。もう少し資料の質を上げて、関心を持てるようなプリントを用意した方が良かったかな?とか。とか、とか。
お前たちは知らないだろうけど、教壇から見ると教室の隅々まで見渡せるんだぞ。だから、先生から一番離れている生徒がこっそり何かしてても大体わかるんだ。
確かに、早弁とかは若者の特権だし俺もやったことあるから多めには見るけど、居眠りはだめだぞ。
ホント先生ショック受けるから。まじめな先生殺すには刃物はいらない、居眠り一つすればいい、だ。
まあ、ケンジの場合は昨日から大変な目にあったんだろうから、仕方ないのかもしれないがな。
……
「それはそれとして、生物室の掃除ご苦労さん。どうする、冷たいコーヒにするか?それともウーロン茶?あ、コーラやジュースもあるぞ」
俺の貴重な放課後は、結局生物室の掃除に消えた……キヨシ先生の授業時間中に爆睡しちまった罰として、年末・夏休み明けにしか生徒がしない生物室の掃除要員として駆り出されてしまった、という寸法さ。
「それじゃあ、ありがたく冷たい麦茶を頂きます、キヨシ先生」
生物学の教材を入れるためにという言い訳をして購入した、先生自慢の大型冷蔵庫から取り出した飲み物の中から先生に一番近いところにある飲み物をやや強引に拾い上げた。
「あ!それは俺が飲もうと思って出したのに。そういうのを、嫌がらせって言うんだぞ」
「へへへ、やっぱりそうか!俺の読みは当たったぜ。まあ、俺もおやじやおふくろの影響であまり甘い飲み物は好きじゃないんだ。冷たい麦茶は最高だぜ!!!」
あれ?キヨシ先生、なんで俺が昨日から大変な目にあっている事知っているんだ。モモが話すとは思えないし?
「先生!なんで、俺が睡眠不足だなんて知ってるんですか?」
「おう!しまった口が滑っちゃったな。ここだけの話。実は、昨日の件だけじゃなくて、週末からの一連の騒動も知っているんだぞ」
ブシュ! コーラの口を開けながら、キヨシ先生が驚くべき事を言い出した。




