平凡な昼休み?
食堂で、コロッケ入りのうどんをゆっくり味わって食べてから、教室に戻ってきた。
たとえ大盛を頼んでも、素うどんだけじゃあ育ち盛りの高校生の体力は夕方まで維持出来ないよな。
やはりここは一発、肉じゃがコロッケを乗せるのが普通の高校生の食事パターンでしょ。
100円増しは大きいけど、夕方になって空腹に耐えかねて近所のコンビニに買い出しに行ったら、それだけで軽く300円ぐらい使っちまうもんな。
貧乏高校生には食堂のコロッケは抜群のコストパフォーマンス食品なんだよ。
たかがコロッケ、だけどされどコロッケだよな。食堂のおばちゃんが丹精込めて作った、スーパーの総菜コーナにあるような小ぶりのコロッケとは違った、がっつり大きめのコロッケは、うどんやそばに乗せて食べるにはちょうど良いんだよ。
さーて、おなかも満腹になったし教室で午後の授業が始まるまでひと眠りしようかなと思ったら、教室で級友のフトシとタカシが俺のカバンからはみ出ているネコミミを見つけて騒いでいた。
フトシって、実は身長が190近い細めのヤツで、タカシは体重が90キロ近い太めの奴なんだよな。
入学して直ぐに友達になったんだが、どうして名は体を表さないのかずーっと気になってしょうがない。
噂じゃあ、フトシは高校入学前は割と背が低くて太り気味だったらしいから、中学生の時は本当に「ふとし」だったらしいけど、タカシの方は昔から「ふとし」だったらしい。
「おおい!ケンジ、どうしたんだよこのネコミミ。こんな物学校に持ってきて先生に見つかったら取り上げられちゃうぜ」
背の高いフトシが、素っ頓狂な声を上げて俺の方に近づいてきた。
まったく、昨日から色々あって眠いのになあ~。
「ああ、それは俺の兄貴の私物だからあまり触らないでくれよ。外見はネコミミだけど、大学で研究に使う機械なんだとさ」
はみ出ているネコミミをカバンの中に慌てて戻しながら言い訳を言う。
「あまり詳しくは言えないけど、カバンに入れとかないとヤバイんだよ。別に授業中にカバンから出して被ったりしないから、先生だって突っ込みようがないだろう?」
取り敢えずそう言って誤魔化しておく。男子はそういえばまあ納得してくれる。
「お、おまえ、どうしたんだよ、ミサンガなんか腕に付けちまって。彼女でも出来たのか」
太目のタカシがやっとそこに突っ込んできた。
おいおい、お前ら午前中は何してたんだ?ユカなんか、朝一で気が付いて突っ込んできたのになあ。そこが女子と男子の差かなぁ。
そこで、フトシとタカシに今朝ユカにしたのと同じ話を繰り返して聞かせた。二人とも、なんか納得していない感じで、ゆるゆると俺の席から離れて、また別の話題を探すために教室を出て行った。
「ふふーん。ミサンガとペアで、ネコミミまで持って来てたんだ。それって、本当にお兄さんの物なの?
まさか、モモとは別の彼女からもらったりしてないわよね?」
俺と彼奴らの話を盗み聞きしていたのか、ユカが突っ込んで来た。さすが女子だぜ。
「そんな事したら、モモの友人の私が許さないからね!モモに飽きたのなら、ちゃんとモモに話しをして別れなさい。こっそりと浮気なんかするような事があったら、パンチ10発だかんね」
チョット怒ったように、両腕をボクサーがパンチを打つような素振りをしながら、俺に向かって言い放つ。
くっそー、ユカに見られてしまった。なんか、ヤバいなあ。あまり変な事も言えないし、かと言って事実を伝える訳にもいかないしなあ。人の口に蓋は出来ないって言うしなー。
頼むからみんな、俺を寝かせてくれよ。貴重な昼休みが終わっちまうよ。




