はかる君の手柄
「まったく、ビックリしたよ!、一体何があったんだい?、ケンジ」
モモが渡してくれたスマホから兄貴の声が聞こえてきた。
そうか、兄貴からの緊急連絡があったんだな。
パニックで忘れてたけど、俺の腕には『はかる君』が付いていたんだ。
こいつのおかげで、俺の異常が兄貴の研究室にリアルタイムに伝わったんだな。
兄貴が気が付いて俺のスマホに連絡したけど、
時すでに遅しで俺からの返信は来ないし。
おやじも、おふくろも耳が遠いから、それよりもモモを呼び出して俺んちに様子を見に行ってもらった方が早いと判断したんだろう。さすが、兄貴だぜ。
本当に運が良かった。風呂に入る時に外そうと思ってたけど、風呂に入る前でよかった。
それに中継装置の『ネコミミ』も机に置きっぱなしで、見事に中継機能の役目を果たしてくれたし。
ネコミミをカバンの中にしまわなくて良かったよ、本当に。これからは風呂に入る時も肌身離さずに付けてなくちゃダメだな。しかし、この機械はどういう仕組みになってんだ?そもそも、電池入れるところないし、ボタンらしき物も全然ついてないぞ。
そういえば完全防水になっているって兄貴は言ってたな。
やっぱり、風呂に入る時も付けておけるという事なんだろう。
「いやあ、でも本当にびっくりしたんだよ!、いままでの被験者では、長くても1秒以内に元に戻る質量欠損がケンジだけは30秒以上続いていたからなア」
「多分ケンジに連絡してもダメだろうから、失礼を承知でモモちゃんに連絡したら、スマホを持ったまま、いきなり走り出すんだもんなア。スマホからは、モモちゃんの荒い息遣いと、走る音しか聞こえてこないし」
あっという間に、
ガラガラ!
…
「おばさーん、コンバンワ、モモです!、ケンジ君いますか?、上がりますよ~!!!」
という音声と同時に、
バタバタバタ、
ガチャリ!
「ケンジ、ケンジ、ケンジ!。大丈夫?、ケンジ!…あー良かった、動き出した!」
って、リアルタイムで聞こえてたからなア。
「まあ、モモちゃんには迷惑かけちゃったから、ケンジから謝っておいてくれ。それとお礼も言っておいてくれ。モモちゃんが居なかったら、ケンジはもっと長時間その状態だった可能性が高いからな」
「分かったよ兄貴、モモにはお詫びとお礼をしっかりしておくよ。それと兄貴とこの『はかる君』にもお礼しないとな。結局のところ、俺はどうなっちまったんだ?」
「うーん、その点に関しては、私も分からない。また今度の週末にも、内の研究室に来てもらえるか、その時には大学病院で検査もしてもらう事になるから、食事は抜きで来てくれ。その代わり検査が終わったら御馳走してやるぞ。それと、モモちゃんにも声をかけてくれ、お礼の意味も込めて御馳走しちゃうから」




