汚名返上!?今度こそ守るんだ
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今、目の前には5人の教会騎士が立っている。
5人は同じ鎧を身に纏い、手には剣を持っている。
対する俺は、武器もなく鎧と呼べるほどの防具も装備していない
あるのは怒りと炎の魔術。…そして守るべきもの
「…あの時とは違う!今度は必ず村を守る」
先手必勝。俺はまず魔法が効くのか確認するため火球を飛ばした。
しかし、剣で弾かれ結果はわからなかった。
さすがに正面からは当たらないか。
すると、騎士の一人が特攻してきた。
切っ先は真っすぐ俺の心臓を狙っている。
俺はギリギリでかわして反撃の攻撃を構える。
しかし、後ろに隠れていた伏兵に剣を向けられ体制を立て直すために飛び退く
さらに3人目の追撃。休む暇は与えてくれない。
連携は完璧で、無駄も隙も無い。
追撃の連続突きを避けていると、後ろから別の剣を振り下ろされる。
さらに別の角度からも突撃。完全に逃げ場を失い5人に囲まれる形になった。
「…これを待っていた」
ドガァァァ!!
俺は全力の炎を周りに発生させて爆発のような勢いで敵を吹き飛ばした。
目論見通り、敵は吹き飛び全員が別々の場所へ吹き飛んだ。
飛んで行った一人を見ると、鎧の一部は融解して中の人間が見えていた。
兜も外れ中の人間の顔が見えている。
「・・・ッ!!」
鎧の中は数日前に戦った盗賊の大男だった。
だが、なぜ教会の騎士なんかに…
「フフフッ。見事なものですね。少しは成長したようだ」
心ない拍手をしながら近づく軍服の男は、部下を倒されても余裕の笑みを浮かべている。
俺は、今度はお前だと言わんばかりに睨みつけるが余裕の表情は崩れない。
俺は臨戦態勢を取り軍服に戦いを挑む
「おっと、あなたの相手はまだ倒れていませんよ?」
そう言って近くの騎士を指さす。
すると、先ほどまで倒れていたはずの騎士が復活したように立ち上がった。
さらに別の兵士も順番に立ち上がり、剣を構える。
「…こいつらゾンビかよ」
盗賊の大男も立ち上がるが目は虚ろで前に戦った男とは別人のようになっている。
何度か呼びかけてみたが返事はなく、軍服男も無駄と言ったような笑いを浮かべていた。
…こうなったら何度でも倒してやる。
「・・・ッ!?嘘、だろ?」
俺は目の前の5人を相手にするつもりだったが、村の入り口から騎士はさらに侵入してきた。ざっと10人追加され、もし全員の連携がなされれば避けきれない。
「フフフッ。ハッハハ!!あなたが何体倒そうと数を増やせばいい。私に刃が届くことなどない」
またしても軍服の男と俺の間に騎士が割り込む形で、姿が見えなくなった。
気付けば倒したはずの騎士たちも剣を構え準備万端のようだ。
「…こうなったらやってやる!!」
まず向かってきたのは元盗賊の大男だった。
兜が外れ、顔が見えていたので顔面に一発お見舞いした。
洗脳などであれば強い衝撃で目を覚ますはずだが…。
そんなことを考えている暇はなく他の騎士も次々と突っ込んでくる。
しかし、闇雲に突っ込んでくるわけではなく、反撃の隙を与えない。
「…クッ!」
頬を県がかすめる。しかし休む暇も与えない。
次から次へと飛び込んでくる。もう10人近くを一気に相手をしている。
「…くらえ!」
俺は先ほど同じように自分の周りに炎の壁を出現させる。
しかし、同じ手は効かない。合わせるように全員が飛び引き避けられた。
「…しまった!」
炎の壁が自分の視界をも奪い気付くと目の前には騎士の切っ先が迫っていた。
反射的に体を逸らしたが右肩に当たった
「…ぐぅ!」
肩に強烈な痛みが走る。右手はほとんど動かず左手で肩の傷口を抑える。
…結果、両手が塞がっている状態で敵はほぼ無傷。
万事休すか…。
ヒューッ!
「ぐわぁ!」
「・・・ッ!?」
どこからか矢が飛んできて敵の鎧の隙間を射る。
騎士の一人は静かに倒れて動かない。
「なっなんだ!?ぐぁあ」
さらに別の騎士も誰かに襲われる。
援軍か?いったい誰だ?
「…だから僕は反対だと言ったんだ。こんな弱いのに」
ブツブツとボヤキながら木の陰から出てきたのはメガネの長耳…。新魔王反対派のシフェルだ。
「そうかしら。前よりもたくましくなって、私好みになってきたけど?」
さらに別の騎士を倒していたのはナイフを片手に踊るように倒していく女性。
露出の高い服装にナイスバディ。魅惑の美女マキナだ。
「…2人ともどうしてここに?」
「それはこっちのセリフだ。城を勝手に抜け出して近隣の村で問題を起こすなど…」
「まぁ、無事でよかったわ!ここは、お姉さんたちに任せて?」
そう言って二人は見事な手際で敵を倒していく。
的確な弓矢で遠距離支援のシフェル。
舞い踊るようにナイフで致命傷を与えるマキナ。
2人は息もピッタリで長い間、一緒に戦ってきたことが伺える。
あっという間に鎧の騎士たちは倒れた。残ったのは軍服の男だけ。
舌打ちをして騎士をさらに呼び起こすが騎士たちの動きが鈍い。
ダメージは通っているようで不死身ではないようだ。
「クッ!あなたたち相手ではダメですね。ここは一度引く!」
そう言って再び立ち上がる兵たちを盾に村の外へと出て行った。
蘇る騎士の相手を終わるころには軍服の男の姿はなかった。
…俺は、また守れず助けられただけだった。
「魔王がこの程度では情けない。やはり、君を認めるわけにはいかないな!」
シフェルは俺を見下したままモナを抱えて村の中へと行ってしまった。
…仕方ない。俺が力になれていなかったのは本当だ。
「…ごめんね。あの子、あんな言い方しかできないのよ」
マキナは俺を励ましてくれたが言葉は俺の耳まで届かなかった。
心の中ではまたしても後悔だけが残る結果になってしまった。
「ッ!!」
歩き出そうと体を動かした瞬間に激痛が走った。
腕がまだ治っていない。足元を見ると大きな血だまりができていた。
…これは全部俺の血か??
そして、俺は気を失いそれからどうなったかは覚えていない。
「・・・ちゃん、・・・ちゃん」
誰かが俺を呼んでいる気がする。
懐かしい声だ。遠い昔に聞いたことがある。
「誰なんだ?」
「僕だよ?わからないの?」
声は聞き覚えがあるが名前も顔も思い出せない。
すると、一人の少年が目の前に現れる。
見た目は半袖半パンのわんぱく少年のような。
しかし、顔は影がかかったように黒くなっていてわからない。
声の主は、この子のようだ。
「今日は何して遊ぶ?また探検する?七不思議の調査とか!」
楽しそうにはしゃぐ姿は懐かしく、同時に悲しみの感情が心を埋めつくす。
少年は楽しそうに走って俺を手招きしているようだ。
「待ってくれ!」
少年は振り返り笑顔を見せているが身体は動かない。
すると、炎の壁が立ち上り俺たちを分裂させた。
「やめろ!俺を一人にしないでくれ!」
俺の叫びも虚しく少年は影のように炎に飲み込まれ消えていった…
「…はっ!」
先ほどまでの風景とは一変。朝日を反射する木製の天井。
…さっきのは夢か。
夢の内容を思い出そうとするが、うまく思い出せない。
俺は重い体をゆっくり起こし、記憶を順番に呼び起こす。
…最初に思い浮かんだのはシフェルの言葉。
俺は役に立てなかった。後悔が心を覆いつくす。
頼れる仲間がいることは良いが、俺だけでは村を守ることも出来なかった。
もっと強くならねば…。
そして、違和感に気付いたのは決意を新たにしてすぐだった
「…うぅん」
隣から妖艶な甘い吐息が、思春期の俺を刺激する。
声の主を探し、そーっと視線を移す。
…キレイなサラサラの髪。芸術のように美しい寝顔。
寝返りを打つ女性の姿は刺激が強すぎて目を逸らす。
なんで俺と一緒に寝てるんだよ。
まさかと思うが…。ダメだ、何も覚えていない。
俺の脳は、妄想と現実の狭間で彷徨っていた。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
まだ、主人公は最強ではないですが仲間をドンドン超えていくので
主人公の成長を今しばらく、お楽しみください。
これからも、よろしくお願いいたします。(次回お色気??)