冥界帰還!?死者の国を通ります
いつも読んでいただき、ありがとうございます。
投稿が遅くなってしまいました。
今後も平日に週2.3回の更新になりそうです。
余裕ができればスピード上げます!
俺は、タナトスとベリスに連れられて山の中へと入っていった。
当然、目指しているのは頂上の城だろう。
しかし、話の流れで深く考えなかったが…。
「そういえば、二人は何で俺が魔王だって知ってるんだ?」
今頃だが、俺を鍛えると言ったり魔王様と呼んだり俺の事を前から知っているようだった。
ベリスが驚いた顔で振り返り答えてくれた。
「言ってなかったっけ?アイギス様とマキナ姉さんに頼まれたんだ!」
ベリスは得意げに話すが、タナトスに「お前はついて来ただけだろう」と突っ込まれていた。
しかし、話しかけてしまったのが運の尽きで、長い話が始まった。話すの好きなんだな
「…でもね?新しい魔王様はどんなだろうって想像してたんだけど思ったより頼りないね?普通の人間にしか見えないもん!」
「あはは…。俺も魔王になるなんて思ってなかったから」
それからも、自分はすごいとか俺の炎は綺麗だったとか、とりあえず話が終わらない。
でも、そのおかげで何十分も山を登っていたのに辛くはなかった。
内容は…あんまり覚えてない。
「あっ!…魔王様!お城に着いたよ」
そう言ってベリスは速足で先に行ってしまう。
そして、俺も城の存在を確認する。
そこは、城下町などのにぎわった場所ではなくむしろ屋敷のような周りに何もない場所だった。ゲームで言うならボスのいる城と言ったところか。
「ところで、ここってどこ?」
俺のつぶやきをキャッチしたベリスは身体をピタッと止めてものすごい勢いで駆け寄ってきた。
「えぇぇ!!それもわかってなかったの!?」
今にも顔に当たりそうな距離まで近づいてきたので少し頭を引く。
パチクリさせる眼は本当に驚いているといった表情だった。
しかし、答えたのはタナトスだった。
「…冥界だ」
「冥界…?えっ!じゃあ魔王の城に戻ってきたのか??」
意味を理解した俺は、目の前のベリスに回答を求める。
ベリスも何度も頷いて俺の問いに答えてくれた。
「そうだよ。魔王様も鈍いなぁ。僕たちがあの森で何してたと思ってたの?」
「何って…。俺を探してたんじゃないのか?」
「もちろん、それもあるんだけど…。実はね、魔王様の落ちたのはね。死者の国なんだよー。オバケとか会わなかった?」
「…オバケ?まぁタナトスはオバケかと思ったけどな」
「ブフッ!アハハッ。確かに怖い顔してるもんねぇ?ククッ」
ベリスは、俺の答えに吹き出すと笑い転げていた。
それを、めんどくさそうな顔で見るタナトス。
そんなに笑うところ?この2人、どういう関係なんだ?
「それで?2人はあの森で何してたんだ?死者の監視でも?」
冗談で言ったつもりだったが、合ってたようだ。
笑いながら頷いていた。
そして、笑い終えると説明を続けた。
「良くわかったね。タナトスは死者の番人。で、僕は番犬。がおぉー!」
ベリスは、鋭い歯と爪を立てて威嚇するような表情をする。むしろかわいい。
しかし、「いい加減にしろ」とタナトスに頭を叩かれていた。
「さぁ、ついてこい」
タナトスが前へ進み城の中へと案内する。
さっき怒られたばかりなのに、ベリスはしつこく話し続けていた。
城の入り口には大きな門のような扉が立ちはだかり、侵入を拒んでいた。
その扉へタナトスが手を触れると魔法陣が現れる。
ゴゴゴッ
扉が鈍い音を立てて招き入れるように開いていく。
扉が半分ほど開いたところで止まり、中の様子が見える。
「魔王様を連れてきました。」
「ご苦労でした。タナトス」
タナトスの声の後に聞き覚えのある女性の声が聞こえた。
正体を確認するため扉の中を覗き込む。
「…外の世界はどうでしたか?魔王様」
最初に目が合って話しかけてきたのはアイギスだった。
笑顔に見えるが、怒っているようにも…
「まぁ、楽しかったよ?」
「…そうですか」
顔は笑っているが、目が笑っていない。
勝手に抜け出して怒っているのだろうか?
「では、タナトス。仕事に戻ってもらって大丈夫ですよ。ベリスもありがとう」
「…へへっ。僕、がっ頑張ったから」
さっきまで調子よく話していたベリスが緊張して一言しか話さない。
さらにアイギスから目をそらしている。
「じゃっじゃあ、魔王様。僕たち行くから!…頑張って」
「おっ、おう」
ベリスはゆっくりと足早に来た道を帰っていった。
タナトスもすぐに後を追っていった。
…残されたのは俺と目の笑っていないアイギス
「…少し、お話しませんか?」
そう言って扉を入ってすぐの部屋へ案内される。
「はい…」
入り口の扉は元の状態に戻っていき固く閉ざされる。
退路を断たれ、完全に逃げ場なくした俺は小さな部屋へと通された。
部屋の椅子へ吸い込まれるように座りアイギスの背中を見つめる。
背中で語っているのかと思うほどのオーラを感じて身体が硬直する。
「…私の気持ちがわかりますか?」
「・・・」
…しばらくの沈黙。
こういう時、なんて言えば正解なんだ。
「あなたは、代理と言え魔王です。」
「…はい。」
「そして、それを推薦したのは私です。」
俺は何も言えず、ただ彼女の背中を見るしかなかった。
すると、勢いよく振り返り俺を睨む。
その目は潤んでいて怒っているという顔ではなかった。
「…私は!心配していたのです…。いきなり、異世界に来て魔王代理を強制して、さらには見知らぬ土地へ一人で行くなんて!」
アイギスは必死の叫びと共に泣き崩れしゃがみ込んでしまった。
俺も泣いている女の子を前にどうすれば良いのかわからず慌てるしかなかった。
「わっ悪かった。もう勝手には出ていかないから!な?」
俺は、彼女の傍へ近づいてなだめる。やり方なんてわからない。ただ必死に…。
しかし、こんなに心配してもらったことがあっただろうか?
そんな気持ちがよぎりながら俺は自然と生い立ちを話していた。
「…こんなの聞きたくないかもしれないけど俺、こんなに心配してもらったのは初めてなんだ。正直、うれしいんだと思う。」
「え…?」
アイギスは伏せていた顔を上げ、潤んだ瞳は俺の目をジッと見ている。
俺も目をそらさず話を進めた。
「…両親は小さいときに亡くなって兄弟もいなかった。しかも、家からほとんど出ないでゲームばかりしていた。友達と呼べる人だって…いなかった。」
そして、小さいときは冒険に憧れていたとか、この世界に来て皆が優しくしてくれて楽しかったとか村での話もドンドン話していった。
アイギスは頷いたり笑ったり話を聞いてくれた。
俺は話が止まらず余計なことも言っていた気がする。
俺は引きこもりを続けて外界との接触を断ち切っていたが寂しかったのかもしれない。話を聞いてほしかったのかもしれない。
文句を言わないアイギスに甘えて暴走列車のごとく話し続けた。
話し終わるころにはテーブルを挟んで椅子に座っていて、何よりアイギスの表情が柔らかく明るくなっていた。
「…あなたの話は楽しいですね。こんなに人とお話ししたのは久しぶりです。」
「あっあぁ。ごめん。つい楽しくなっちゃって…。」
俺は、アイギスに言われて自分がずっと話していたことにやっと気が付いた。
アイギスに止められなければ気付かずに話し続けていただろう。
そして、恥ずかしくなり話を止めた。
「気にしないでください。お話は大好きです。ここでは魔王の娘として扱われているので、身近にお話しできる人はいないのです。」
そう言われて改めて王女?姫?を前にしていることを実感した。
失明なことしてないかな?…いや、魔王代理だから良いのか?
コンコンッ!
バカなことを考えていると、扉の叩く音が響く。
有無を言わさずすぐに扉は開き中に入ってくる。フェゴールだ。
表情は焦っているように感じられる。緊急事態か?
「アイギス様!大変です。」
「…何事です?」
「隣のラコー村が!見たことのない化け物に襲われています。」
俺は聞き覚えのある村の名前に驚き話を遮る。
「ラコー村が!?大丈夫なのか?」
「今は、シフェルとマキナに迎撃に当たらせておりますが…。」
「その様子では、あまり状況はよろしくないんですね」
アイギスの表情は険しくなり、黙って頷くフェゴールの返事も暗かった。
その反応に、良くない状況であることは容易に想像できた。
「…何とかしないと!あの村のみんなにはお世話になったんだ!」
俺はどうするわけでもないが村に向かおうと扉の方へ走る。
しかし、アイギスの叫びに俺の足はピタリと止まる。
「お待ちなさい!あなたが行ってどうするつもりですか?」
「どうするって言っても俺が…守らないと!」
「気持ちはわかります。しかし、今のあなたで何ができますか?」
「でも!危険なんだろ?」
俺は、どうすれば良いのかわからず自分の主張を訴えるしかできなかった。
「見捨てろと言っているのか」と言いたくなったがそこまでは言えなかった。
「そうです。ですから…私も行きます!」
「「・・・ッ!!」」
俺が驚いたのはもちろん、フェゴールも焦って青ざめている。
「いっいけません!今は、魔王様もいない。アイギス様までいなくなれば冥界はどうするおつもりですか!」
「あなたの意見はわかります。しかし、ラコー村は私たちにとっても無関係の村ではありません。それに、代理とは言え…魔王様の意見でもあるのですよ?」
そう言って俺に微笑みかける。俺は魔王代理だ。俺の主張は魔王の意見というわけか。
さっきはひどいことを言いそうになったが、アイギスは優しい。
「そういうことだ。村を救ったらすぐに戻る。それでいいだろ?」
「はぁ。アイギス様も言い出したら止まりませんから…。お気を付けて」
諦めたフェゴールは不満そうな顔で頭を下げ扉の方へ手を向ける。
俺とアイギスは城の外へ向かって走っていく。村を守るために…。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
やっと、メインヒロインのアイギスと絡められました。来週は活躍しますので、ご期待ください!
@96sato_story
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