本格修行!?マキナの修行スタイル
いつも読んでいただき、ありがとうございます。
今回からマキナの修行が始まりました。
本格的に主人公も目覚めていくので成長する主人公をお楽しみください。
宿屋を出ると村の子供たちが話しかけてきた。
「…あっ!兄ちゃんだ!」
一人の男の子が指をさすとそれにつられて他の子も振り返り近づいてきた。
俺の周りには子供たちの輪ができていて目をキラキラと輝かせていた。
すると、一人の女の子が目の前で手を広げた。
「ピュゥイ!」
手の中からサフィが飛び出してきて俺の肩に乗る。
「サフィ?」
何だか久しぶりな気がするが、寝てる間は子供たちと遊んでいたのか。
こいつも盗賊に襲われたりして、人間が嫌いだと思っていたけど…。
カプッ
結局、指を噛まれた。本当に俺には懐かないな。
その光景を見て子供たちは無邪気に笑っていた。
…この笑顔を守りたい。
俺は、弱い自分に言い聞かせるように決意を固めた。
そして、マキナに連れられて山の中へと入っていった。
山の中は奥に進むほど気が生い茂り昼でも暗く感じた。
どこまで行くのかと思うほどに進んだ先で立ち止まる。
「…あなたをここで鍛えるわ。厳しいわよ?」
そこは、断崖絶壁だった。地の果てとでも言うべき底の見えない崖。
足を踏み外せば戻ることは出来ないだろう。
見渡す景色は果てしなく続く密林。明かりも気配も感じない。
「…何をするんですか?」
「あなたの試練は簡単。生きること。この崖の下でね?」
ニッコリと不敵な笑みを浮かべる姿は殺気とは違う恐怖を感じた。
「・・・え?」
恐怖に硬直していた矢先、俺は崖から落ちていた。…正確にはマキナに突き落とされた。
「うぁぁぁぁ!!!」
俺の体は叫び声と共に悲しくも暗闇に吸い込まれていく。
俺は咄嗟に肩のサフィを抱え込み守る体制に入った。
その時は珍しく俺の指に痛みは感じなかった。
すると、俺の体が木の枝や葉に当たる感触があった。森の上に落ちたのだろうか?
体に衝撃と痛みが走る。そして、硬い木に頭をぶつけた所で意識を失った。
「ピュゥイ…」
…サフィの声が聞こえる。
起きろと言わんばかりに呼びかけ、肩や頭を揺らす。
俺はサフィに起きたことを伝えるように右手を近づける
カプッ
「…へへへっ」
この噛まれた感触で生きていることが再確認できた。
重い体を起こし状況を確認する。
服は破れた個所や血や泥でボロボロだった。
立ち上がり周囲を確認する。
街灯のない真夜中のように真っ暗で近くの木が何とか見えるレベルだった。
幸いにも殺気や気配は特に感じない。…何もいない。
記憶を頼りに状況を整理する。
俺は確か、マキナに突き落とされて生きることが試練だと言われたはず。
ここから戻れということか。無茶苦茶だ。
とりあえず明かりを…。
俺は小さな火球を作り出し手の上で留めた。
「…ここはどこだ??」
辺りは明かりを付けても暗く、遠くを確認することは叶わなかった。
確認できるのは生い茂った樹木とゴツゴツした岩。方向感覚もまったくわからない。
感じるのは不気味さと不安。当てもなく歩き出す。
っしかし、進めど景色は変わらない。同じところを回っているのではないかと思うほどだ。
自然と動かす足は速くなり不安が大きくなる。
さらに手元の炎は小さくなっていき、消えてしまう。
炎が燃え尽きると同時に俺の足も止まる。
もう目では何も見えない。手探りで安全を確認して木陰に腰を落とす。
サフィも不安そうな声を漏らす。
「…俺はここで死ぬのか?…寒い。炎が使えれば…」
俺の気持ちとは裏腹に魔力が底をついたように火種すらも出せなくなった。
きっと、誰かが助けてくれる。これまでだってそうだった。
天才魔法使いのモナが来てくれる。
弓の名手のシフェルが来てくれる。
マキナだって…危ないと感じたら来てくれる。
待っていればいいんだ。俺はもう動けない…。
しかし、時が過ぎるだけで何も起こらない。
音もない。風もない。光もない。…体も冷たい。
…意識が遠のく。死ぬときってこんな感じなのかな?
まだやりたいことがたくさんあったのにな。
「ピュゥイ!ピュゥイ!」
…サフィが何か騒いでいる。もういいだろ?楽にさせてくれ。
「・・・ッ!!」
俺の体は得体のしれない気配を感じ取り反射的に飛び起きた。
もう生きる気力すらも失った俺が飛び起きるほどの不気味な感覚…。
周りを見渡すと、淡い光を放つ何かが少しずつ近づいてくる。
サフィも毛を逆立たせ警戒していることが見なくても分かった。
近づく影は次第にその姿を現す。
黒いローブに身を包み、周りを覆うように漂う淡い光は人魂のよう。
手には大きな首狩り鎌。そして、ローブで隠れた顔は…不気味な髑髏。
「お迎えか…。俺は地獄行きってことかな?」
その正体はまさに死神そのもの。地獄に送り届けるのが仕事か?
俺は余裕のセリフとは裏腹に不自然な汗が額を濡らしていた。
そして、次の瞬間…
「・・・ッ!?」
大きな鎌は俺の首めがけて恐ろしい速度で振り下ろされた。
間一髪で避けることには成功したが、突然の奇襲にバランスを崩す。
さらに追い打ちをかけるように追いかけてくる。
「なんだよ!迎えに来たんじゃなくて止めを刺し来たのか!?」
俺は命からがら逃げ伸びる。木の陰に隠れて様子を伺う。
辺りは気がいっぱいで視界も悪い。すぐには見つからないだろう。
しかし、さっきまで死ぬと諦めていたのに何で逃げてるんだろう?
やっぱり生きたいってのが本音か。
俺はさらに逃げる。目が慣れてきたのか少しは周りも見える。
木を避け、岩を避け死神との距離を離す。しかし…
「…行き止まりか」
その先に待っていたのは登ることは不可能だと感じるほどの急斜面の壁だった。
きっと、この上から落ちたのだろう。
俺は壁を背に死神の様子を伺う。俺を追って近くまで来ている。
その姿はまさに魂を狩ることを目的にしていた。
俺も覚悟を決めて死神と対峙する。
「ピュゥイ!!」
死神が近づいてきた瞬間にサフィが威嚇するように鳴き声を上げた。
そして、いつしかの蒼い眼に変わったサフィが毛を逆立てていた。
「お前も準備万端か!」
俺は最後の力を振り絞り手に炎を作り出す。
半ばヤケクソだったが、現れたのは蒼い炎だった。
炎の色には驚いたが、死神との戦いの準備ができた。
そして、死神も追いつき俺の前で鎌を構える。
最初に動いたのは死神。鎌を大きく振り下ろす。
俺はスレスレで鎌を交わし顔に一発お見舞いする。
「・・・何!?」
俺の拳が当たる寸前、死神は黒い影に変わり俺の拳は空を裂いた。
何が起きたのか辺りを探すと、背後に黒い影で現れる。
「…瞬間移動か!」
振り返った俺は、後ろに飛び退き腕をクロスしてガードの体制に入る。
容赦なく襲う鎌は俺の腕に掠り壮絶な痛みが襲う。
だが、すぐに傷が塞がり痛みも引いていった。
超再生能力…。実感したのは初めてだ。こんなに早いのか
「・・・ッ!!」
感心している間にも鎌は容赦なく振り降ろされる。
何度か体を引き裂いたが、たちまち回復していく。
そして、反撃のタイミングを計ったが、ラッシュは止まらない。
「…うらぁ!!」
俺は、前に試した爆発のイメージで炎の壁を自分の周りに出現させた。
威力を制御せずに全力で放った一撃は、暗闇に光が差し込んだように辺りを蒼炎で覆った。
力を使い果たし、俺はその場に倒れ込んだ。
死神がどうなったのか確認する力はなかった。
ここで、追い打ちをかけられればまず命はないだろう。
しかし、その心配はなく俺は心地いい眠りについた。
さきほどの炎が壁を数十mえぐるほどの威力があったとは知らずに…。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
主人公の成長が始まりますが、少し長くなるかもしれません。
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