第3話 異世界での配信業はつらいぜよ
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おっし見てろ。異世界ルポライターアキナリの誕生だ。
色んな風物詩をネコ生に上げて食っていくんだ。
さっそく俺は街角でノートPCを立ち上げて、ネコ生の配信を開始した。
「どうもおはようございます。アキナリです。実は俺、この世界では伝説の勇者だったようです」
さりげなく右手の紋章を見せつけてみる。
*で?
*異世界つったらクエストっしょ。ゴブリンどこよ?
*勇者なら魔王探さないとな
*つかその風景ウチのばっちゃの田舎と同じでつまらん
*エルフ娘はおらんのか はぁはぁ
あれ。おかしいな。来場者数もコメントも伸びないぞ。しかもネコPをリスナーさん誰もくれないし・・・
「ではこれからこのトポロジアの食レポをしますー」
シーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン。
まあ、町をブラブラしていればそのうちリスナーのアンテナに引っかかるだろう。
うし、気を取り直して色々見て回るか。
・・・
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あかん、そろそろ日が沈みかけてる。
放送していくたびに来場者数とコメント数は減るだけだった。
むろんネコPもまったくもらえていない。
弱った。これでは明日お金に換えるだけのネコPないわけなんだよね・・・残ったのは銅貨3枚。
食レポで旨そうなものばかり食ってたせいだよね。
とほほ。安宿あんのかな。