モンスター
空から降ってきたのは馬鹿でかい蜘蛛だ。茶色い体をして目は真っ赤だ。蜘蛛は訓練中の生徒に襲いかかろうとしたが心美の正確な射撃と幹彦の打撃とゼロ距離射撃によってそれは防がれた。
「なんたんだこいつは」
「蜘蛛だよね?」
「見た目はな」
その時だった。蜘蛛再び動き始めたのだ。心美は脚を2本撃ち抜き、幹彦は胴体に一発デザートイーグルを撃ち込み、打撃により脚を3本潰したにも関わらず蜘蛛は再び動き心美を襲ったのだ。
心美は迎撃体制をとった。アサルトライフルを構え、引き金を引く。だが、銃弾が発射されない。
「嘘!弾切れ⁉︎」
「逃げろ!心美!」
幹彦の距離からは間に合わない。遠すぎるし、デザートイーグルはホスルスターの中だ。
この時、心美の体感速度はとても遅く、スローモーションのような感覚になっていた。
(あーあ、残念だなぁ。せっかく告白出来たのに。せっかく恋出来たのに、こんな所で死んじゃうんだ。)
「心美ーーー!」
次の瞬間心美が見たのは力なく倒れた蜘蛛の死体だ。
何が起こったのか心美にはわからなかった。それは幹彦も同じ事で目をつぶってしまっていたのが現状だ。
蜘蛛を倒したのは先ほど訓練をしていた生徒達だ。見事に標的を捉え、無力化している。
幹彦は心美所に駆け寄る。
「心美!心美!大丈夫か、心美!」
「大丈夫だよ、幹彦君。怪我とかしてないからさ」
「はぁ、よかった…」
そう言うと幹彦は心美を力強く抱きしめた。
「ちょ、幹彦君⁈」
「今はこうさせてくれ」
「で、でも、皆見てるよ?」
「……」
幹彦は黙り込んでしまった。だが、その沈黙を破ったのはスピーカーから聞こえる雫の声だ。
「皆さん聞いてください。先ほどの蜘蛛のような生物があと5体上空より飛来します。あと2分で地上に到着すると思われますので今すぐに避難してください」
「2分か…武器を取りに行っている暇はなさそうだな」
「だね、私はライフルがあるから大丈夫だけど、幹彦君はどうする?デザートイーグル、弾大丈夫?」
「大丈夫だ。アサルトライフル使うしな」
「そっか、わかった」
そう言うと幹彦は生徒の方を向いた。
「皆は早く避難してくれ、あとは俺たちがなんとかするから。」
生徒達は一瞬黙り込んだ。そして一人の生徒が叫ぶように言った。
「俺も戦うぞ!」
それに続き他の生徒も
「俺もだ!」「俺もやるぞ!」「蜘蛛をぶっ殺してやる」「ぶっ殺せ!」
皆して殺気立っている。そして銃を取り、真上に掲げた。何処かのテロ組織みたいだ。
だが、残念なことに武器は全員分はない。悪しからず武器を持たない生徒には避難してもらった。
そうこうしているうちに1体目の蜘蛛が飛来した。俺らはそれを撃ち抜く、無駄弾は使わず、正確にだ。
それを続けるうちに4体を倒し終わった。そして全ての銃の弾が底をついた。唯一残っているのは俺のデザートイーグル、3発だけだ。
そうこうしているうちに最後の一体が飛来する。
「心美!銃をとってこい!その間俺が時間を稼ぐ!」
「わ、わかったわ」
心美は全力疾走で武器庫に向かう。言うまでもないがその他戦闘員(生徒)は、そそくさと逃亡したようだ。この事について、幹彦は特になにも思わなかった。強いて言うなら「あたりまえだろ」くらいにしか思わなかった。
「さてと、どう始末するかな」
幹彦はホルスターからデザートイーグルを抜き弾が装填されていることを確認する。
蜘蛛、いや、巨大蜘蛛は幹彦のほうを向きなんとも言えない声で吠えた(?)
「キィヤァァァァ」
吠えると言うよりも叫んだに近いかもしれない。そんな声に激怒した幹彦はデザートイーグルの引き金を引く。幹彦が激怒した下りは冗談だが、デザートイーグルの引き金を引いたのは紛れもない事実。蜘蛛の口めがけてい弾丸が飛んで行く。
その時、蜘蛛は口から糸を吐いた。そして弾丸を包むように絡め取り、弾丸の威力を無効かしたのだ。
「これは驚いた。すごいな」
幹彦はボソっと呟くそして幹彦は次の瞬間蜘蛛との距離を詰めていた。ちなみにゼロ距離。そして蜘蛛の脚を逆関節に曲げる。ゴキっと言う幹彦には聞き慣れた、一般人には刺激の強い音が校庭に響く。そして立て続けにデザートイーグルを2発、蜘蛛の胴体に撃ち込んだ。これで終わらす幹彦ではない。左半身の脚を全て潰してから一旦距離を取る。そろそろ心美の援護射撃が来る頃だろう、そう思い幹彦は距離を取ったのだ。
心美は対物ライフルを取り、すぐに射撃体制を取った。幹彦がデザートイーグルを2発撃つ頃には既に射撃が可能だったが、蜘蛛の影に隠れてしまった幹彦に当たる可能性を否定はできないため幹彦が蜘蛛から離れるのを待っていたのだ。
そして、ついに待っていたタイミングがやって来た。対物ライフル…心美の愛銃であるバレットM82(心美はバレットとよんでいる)の引き金を引いた。
音速を超えた弾丸は蜘蛛に着弾し、蜘蛛は弾け飛んだ。まさにバラバラだ。
心美は一言こう呟いた。
「ザ・シュート」
そして心美は幹彦の元に駆け寄って行った。