残党処理はベティの仕事
アブソープションを使い、敵の戦略兵器を破壊したことにより敵戦力はほぼ皆無、壊滅状態といえる。
だが、敵が降伏しない限り戦闘は終了しない。敵が襲撃をして来た以上、幹彦や雫は降伏を受け入れる気はなかった。卑劣な侵略者には徹底的に潰すのが幹彦達の考えで、特殊作戦立案部隊の戦い方だ。
そして、今作戦はベティの戦闘能力の見極め、幹彦達の仲間にするかどうかの試験にしようと五委員会十人で決議された。
ベティはその決議に納得した。ちなみに足の負傷は医療キッドで治癒した。
今回、ベティに課せられた任務は2つ。一つ目は敵の殲滅、二つ目は存在するであろう、アブソープションを回収する事。この二つだ。
ベティにアブソープションのことを聞いたところ、「ん〜〜わかんない♪」だそうだ。おそらく、アクティブスーツが収納されていた所の下に隠すようにあると雫に教えてもらい、ベティはそれを回収するのだ。
ベティは現在、アクティブスーツに着替え、武器を整えている。ベティの綺麗な金髪がフルフェイスマスクに収まり、スタイルのいい身体がフィットするアクティブスーツによって、より強調されている。俗世間の男子諸君なら理性を保ってはいられないだろう格好だが、幹彦は別だ。特殊作戦立案部隊ではベティのこの様な姿を見慣れている。
幹彦も一応武器を整えて、いつでも戦える準備はしている。もちろん、アブソープションも持っている。
するとベティが話しかけてくる。
「ミキ、その銃は使っちゃダメだよ?」
心配するような面持ちで語りかけてくる。
「あぁ、大丈夫だよ。いざっていう時しか使わないよ」
「最後の手段だよね?」
「もちろんだ。俺だって命は無駄にしたくないからな」
「そうだよね……」
「あぁ、そろそろ行こう。日が落ちる前に帰還したいからな。」
「えぇ、じゃあ先導するから後ろからついて来てね」
「了解した」
二人はフルフェイスマスクを装着し、飛行ユニットを起動する。飛行ユニットと言っても左手首に装着されている携帯端末を操作するだけだが、携帯端末を操作し、二人は飛行を開始する。初速で時速40kmは超えているだろう。そこからグングンと加速し、最高時速まで到達する。
最高時速まで到達したところで幹彦は気がついた、明らかにベティの方が早い。ドンドン距離を離されている。
幹彦が遅れているのに気がついたベティはスピードを緩める。そして無線で話しかける。
「ミキ、もしかしてだけどそのアクティブスーツはパワータイプ?」
幹彦には理解できなかった。パワータイプとは?そんな事を考えていた。
「ベティのはタイプが違うのか?」
「私のはスピードよ?言わなかった?」
「聞いてないね」
「あらそう。じゃあミキのスピードに合わせてあげるね」
「悪いな」
幹彦は顔には出さなかったがかなり悔しがっている。どちらかと言えば馬鹿にされた感が強いのだ。もちろんベティにはそんな意図はない。
それから少し飛んだ所にベティの学校があった。ちなみに、移動中にはベティが暴れまわったであろう学校の残骸が多数見受けられたが気にしないことにしよう。
ベティの学校に接近した途端、重火器による弾幕にさらされた幹彦とベティ。敵も御構い無しだ。ガトリングを撃って来たと思いきや、バズーカ、ショットガン、ロット砲などなどの多種多様な重火器がもちいられている。だが、一発も当たらない。全て、遠く彼方に飛んで行っている。
そろそろ、ベティが飽きて来ている。避けるのに飽きたようだ。
そして、ベティは飛んできたロケット砲を2発キャッチして、上空1000mに急上昇し、急降下する。そして、手に持っていたロケット砲を2発、校舎に向けて投げつける。音速に近いスピードと落下のスピードをエネルギーにしたロケット砲は校舎に着弾し大きな穴を開けた。そこにベティは着地し、周辺にいた人間を片っ端から殺す。武器は使わない、手で、足で殺している。そして、最後の一人、その手にはアブソープションと同じ形状の銃が握られている。違うのは色だけで、奴の持っているのは青を基調としたモデルになっている。
「ベティ、最後の一人が目的のものを持っている。回収しろ」
「了解!」
そう言うとベティは飛び跳ね、男の腹に拳を叩き込む。その拳は腹部で止まることなく、反対側、背中まで貫通している。要するに、臓器を貫通し、背骨を砕いたことになる。
「グハァ…ベティ…なん、でこんな事…」
「ごめんね、私、弱いやつに興味無いのよ」
「だから、皆殺したのか?」
「そうよ♫」
笑顔で応えるベティ。
「悪魔め…」
「うるさいなぁ〜もう死んでいいよ。」
ベティは男が持っていた青い銃を奪い取り引き、男を殺した。
最後の敵を殺し、そして目的物を回収したベティは無事に幹彦達の仲間に迎えられた。そして、主戦力の一人になり、心美のライバル(恋)になるのであった。