Absorption 吸収
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ベティとの戦闘後、ベティを連れて本部に帰還した幹彦はその後、雫より戦略爆撃機迎撃の作戦要項を伝達され現在、屋上で爆撃機到着を待っているのだ。
装備はお決まりのアクティブスーツ、いつもと違うのは右手に赤を基調とし、黒いラインが入った銃身が40センチの細長いハンドガンを幹彦は手に握っている。これは今作戦、戦略爆撃機の迎撃に導入された兵器だ。
10分前〜
幹彦は雫に屋上に呼び出されていた。
「幹彦君。爆撃機の迎撃にはこの銃を使ってちょうだい。」
幹彦は赤い拳銃を手渡される。
「このなんですか?見たことない銃ですね」
幹彦は赤い拳銃を受けとる。
「これはアクティブスーツと一緒についてきた銃なの。名前はAbsorption」
「Absorption?吸収ですか?」
「そう、それは吸収する銃なの」
「何をですか?」
「人の精力よ。どちらかといえば生命力」
顔をしかめながらそう言う。
「命を食らう銃ですか…」
「そう。だからこの銃は幹彦君に渡さなかったの。」
「そうですか。でもご心配無く。多用はしません。」
「一応説明だけはしておくわね。Absorptionは普通に引き金を引くだけならほぼ命に問題ないけど、普通の銃に劣るわ。」
「ではどの様に使うのですか?」
「長押しよ」
「長押し?」
「そう。引き金を引き続けるの。1秒で直径2mを吹き飛ばすことができるわけなの。2秒なら2の2乗、3秒なら2の3乗。この様にどんどん増えて行くわ。」
「照準はどのように?」
「アクティブスーツと一体型兵装になっているのでアクティブスーツでロックオンした場所、物体に対して撃つことができるわ」
「了解しました。必ず迎撃して見せます」
幹彦の肉眼に(アクティブスーツのフルフェイスマスクに映し出された映像に)飛行する黒い物体が見える。一目見た瞬間それは戦略爆撃機B-2で有ることは直ぐにわかった。特徴的な全翼機だ。
B-2は本校上空に到達すると上昇し、急降下を始める。自爆攻撃だ。戦闘に勝利すれば全てが元通りになるルールを使った戦い方だ。
幹彦はAbsorptionの引き金を引く。B-2の全長が21.03m、全幅:52.43mなのでAbsorptionの引き金を6秒間引き、引き金から手を離す。
次の瞬間、B-2に対して放たれたAbsorption弾は着弾し、明るい緑色をした球体に膨れ上がり、B-2を跡形と無く、消し去った。もちろん、残骸など無く、対象を消し去ったのだ。それを確認した幹彦は片膝をつき、息を切らしている。目は虚ろになり今にも倒れてしまいそうだ。
「Absorption…どんだけ生命力と体力使うんだよ…」
この言葉を最後に幹彦は倒れ込んでしまった。いや、正確には倒れそうになったのだ。幹彦の身体は倒れること無く心美に支えられる状態になっていた。
「お疲れ様。幹彦君。」
幹彦が目覚めたのは10時間後。
そして、隣に誰かいるのも直ぐに分かった。今は真夜中で辺りを見渡してもわからない。おそらく心美だろうと幹彦は思い、その誰かを抱きしめてもう一度眠りについた。
翌朝、幹彦の目覚ましは金属と金属がぶつかり合う音だった。ベティと心美がナイフ片手に戦っていた。ベティは遊んでいるようだが、心美はマジだ。普通に考えてベティの方が接近戦は強いし、圧倒的だろう。
「心美、ベティ、おはよう。何やってんだ?」
「あ、おはようミキ!心美ちゃんが切りかかってくるの!どうにかして〜〜」
満面の笑みでそう訴えてくるベティ。それに反論する心美。
「なにいっんの⁉︎アンタが幹彦君と寝てたのが悪いんでしょ⁉︎」
「それは認めるけどー、抱きしめたのはミキだよぉ〜?」
殺意が幹彦に向く。
「それ本当?幹彦君?」
「半分ホント、半分間違い」
次の瞬間、心美はナイフを捨て、部屋の片隅にある武器収納部屋に向かいサプレッサー付きのサブマシンを持ち出す。それをベティに向けて乱射する。ガンガン撃ちまくっている。弾が切れても、リロードし撃つ。これを5分続けたが全く当たらない。
「な、なんで当たらないの?殺さないように急所はずらしてるけど当たらない距離じゃないはず…」
その問いに答えたのは幹彦だ。
「無理だよ心美、ベティは俺と同じ目を持っているからね。」
「異常発達の目か…私達と同じ…」
「そ、だから仲良くしましょ?心美ちゃん?」
少し間が空いたがそれに心美が応える
「よろしくね、ベティ。一緒に生き残りましょ」
「えぇ、よろしく」




