本年もよろしく
9話
お正月、わたしは会長と三十日の劇場映画鑑賞日に、元旦に映画を観る会を実地することを決めた。
が、 当日に会長が風邪ひいて欠席。急だったせいもあり参加者が、わたし木根間と大白里亜海ちゃんとの二人だけに。
ゴフォン ゴホッ ズズッ ゲホッ
映画上映終了後のシネコンロビー。
「なんか、咳とか鼻水すする音とかして、まいったわ。ちゃんと治してから来てほしいわ」
「ですねぇ。あの木根間さん、アミは風邪ひかないんですよ」
「ナニか、いい健康法とかしてるの?」
「違います木根間さん。アミはねぇバカなんです」
「バカは、風邪ひかない。と、いうやつ……」
☆ ☆
新年会をした。
「マリオン三越、マリーと呼んで。モノマネします!」
金髪のマリオンが黒髪ロン毛、真ん中分けのウィッグをかぶると。
「映画版『トリック』から、『お前らのやってることは全部すべてまるっと、どこまでも、お見通しだ!』」
おおー 似てる! ふるっ!
パチ パチ パチ
「古くてゴメンネ、もうひとつ小ネタえいつ!」
マリオンはロン毛を前によせ。
「貞子!」
おわぁそれ、ロン毛なら誰でも出来るネタね。
隣に居た有楽さんがボソッと言ったのが聞こえた。
「しまった、先にヤラれた。せっかく髪伸ばしたのに……」
☆ ☆
「木根間さん、お正月にキャメロン・ディアスの出てる映画を配信で観たんですけど、タイトル忘れちゃったんですよ。でも面白かったですよ」
「キャメロン・ディアスかぁ……。何作か見たなぁ。彼女なら『メリーに首ったけ』?」
「そーゆータイトルじゃないなぁ。女性が三人出るやつ」
「『チャーリーズ・エンジェル』かしら?」
「ちがうなぁ〜。人の名前が……。『フランシーヌの場合』!」
「アミちゃん。それは、もしかして『クリスティーナの好きなコト』」
「そうだ!」
「あのね、『の』しか、あってないわよ」
♪フランシーヌの場合はぁ〜あまりにも、おバカさん♪
☆ ☆
ファンサービス……。
バスタブのマリオン。
「フロドさまぁ〜。風呂どぉ〜ですかぁ」
「サムこそ、寒いだろ風呂入りな」
「ガンダルフの髪型って、サルマンのさるマンネぇ?」
「ねぇ指輪は、ドコにアルゴルンなんちゃって……」
お正月、『ロード・オブ・ザ・リング』を全作観た日のマリオンの入浴。
え、挿絵載せろって。想像しなさい。
☆ ☆
房総の某書店。
「うち、年中無休だから正月も仕事ね。意外と客が来るわ新刊とか出てないのに」
アミと永田野さんとで元旦にバイトを。
「あ、映画の本だねアミちゃん。見せて、ナニか観に行くの?」
「昼間に行きました。夜のバイトに間に合うように帰って来ました。それ、棚見てたらあった本です」
「あのさ、コレ見るとさぁタイトルだけじゃどんな映画かわからないわよね」
「そーですね。そういう映画は沢山ありますよね」
「よし、クイズね。タイトルでどんな映画かあててみて……。最初は『ハロウィン』」
「簡単です。マスクかぶった、殺人鬼のホラー映画です」
「ほう、あってるわ。コレは、わからないだろ古いし。『パピヨン』」
「それ、知ってます石場さんの好きな昔の映画です。脱獄不可能という監獄島から逃げる映画です」
「さすがねぇ伊達に映画サークル入ってないわねアミちゃん。次はちょっと簡単かなぁ……。『ラッシュアワー』」
「サラリーマンの通勤映画かな……」
「ブー、ジャッキー・チェンのアクション映画です」
「豊洲さんの得意分野だ……」
☆ ☆
とある小学生の会話。
男の子は坊ちゃん刈りのヘアスタイルにメガネ。
女の子は、お団子2個ヘアー頭。
「数寄屋橋さん、ボクの一番上の兄さんさぁいい歳して、彼女が出来たことないんだ」
「そうなんだ、有楽くんチは何人兄弟なの?」
「兄が二人と姉が一人、ボクは末っ子なんだ。数寄屋橋さんは一人っ子だっけ」
「そうよ。兄弟いっぱい居ると、うらやましいなぁ」
「それでボクの兄さんは、映画オタクなんだ。だから年間365本観るとか言ってんだよ。ソレ、達成するには毎日観ないとね。そんな映画オタクはもてないかなぁ〜」
「そんなコトはないわよ。実はうちのお父さんも映画オタクで年に百本くらい見てるわよ。でも、ちゃんと結婚してるし、わたしみたいなカワイイ子とか作ったんだよ」
「作った……」
「有楽くんのお兄さんが、もてないのは映画じゃなく、べつに問題があるんじゃないの。顔がブサイクとか、足が臭いとか、実はゲイとか」
「あの僕はどれも……」
「あ、兄さん」
「えっ!」
☆ ☆
前の話から一ヶ月。
男の子は有楽太郎。女の子は数寄屋橋愛という。
「ボクさ、一番上の兄さんが、街で女の人と歩いてるの見たんだ」
「え、あのゲイの」
「ゲイじゃないよ……」
「そう、ロン毛だったからゲイかと」
「兄さんさぁ女の人と三人も一緒で。金髪の外国人みたいな人とか、どう見ても十代の子とか、一緒だったんだ」
「ソレって……。お兄さん、ヤバい仕事してない? 女の子の売買とか、ロリコンおやじ相手の商売とか……」
「そんなコト、するかぁ〜」
「あ、兄さん」
「え、あ、こんにちはゲイのお兄さん、略してゲイ兄さん」
「だからゲイじゃ……」
つづく




