おじいちゃんと映画
52話
『カフェ・ケム〜ル』
「ここでいいのかな映画サークル『キネマの休日』は」
「はい、どうぞ鎌田敏郎ですが、最近カマジィと呼ばれてます。わしのような老いぼれでも、入会出来るかな?」
「問題ないですよ、年齢制限ないですから。あたし新入会員担当の実相寺緑です。ようこそ『キネマの休日』へ。どこでも好きな席へ、会員の皆さんじきに来ますから」
「じゃカウンター席、いいかね。コブ茶ある?」
「はい、有りますよ。初日はサービスですから」
「こんばんわぁ〜。え、なんでカマジィがケム〜ルに?」
「え、あ、同じ鎌田ですねぇ」
「実相寺さん、ナオミはわしの孫だよ」
「カマジィ、まさか『キネマの休日』に」
「あ、先に来てましたか、こんばんわ」
「おお、新丸子くん」
「鎌田さんは、新丸子さんの紹介で」
「新丸子くんはな、名画座で出会った映画友だちなんだよナオミ。おまえに映画の楽しさを教えたのはわしだ。感謝してるかな?」
「感謝……。なんで? カマジィのせいで私、映画中毒になってしまったのよ」
「あら、鎌田さん映画中毒の仲間が沢山居る映画サークル知ってますよ」
「ソレ、もしかしてシネマディクトの会かしら実相寺さん」
「知ってるんですね、さすが……」
「そこ、もう解散してないわよ」
☆ ☆
そして『カフェ・ケム〜ル』に。
「水森さんは妖怪アニメとかは観るんですか?」
「観ますよ、鬼太郎の劇場版アニメとか、ヒットしたけど鬼太郎の誕生秘話映画は、私は設定がいろいろ変えてて嫌いですけど」
「そうなんだ、戦争ネタとかあったりな……」
「鬼太郎には、ああいうネタ入りません。もっとのほほ〜んとしたのがイイです。私は」
「妖怪アニメは沢山あるけど、作品によって解釈とか違うよね」
「金田さんは沢山観てそうですね」
「そうだね……。映画もテレビアニメも多いからね、ある作品では妖怪現象は皆、狐狸の仕業とかねホント解釈が違うから……。妖怪ってナニ? とか」
「そうだな」
「雷田さんも妖怪映画を?」
「そう言えるかね洋画の宇宙妖怪って、アレはなんだ。オレ意味わかんね〜よ」
☆ ☆
某シネコン。
「マスター、本当に大丈夫?」
「あ、大丈夫だミドリ。心配してくれるのか」
「そりゃ心配よおマスターまだ……」
「うっ……。やはりダメだわ。ミドリ、助けてくれ。わし、まだ一人でチケット買えない」
カフェ・ケム〜ルのマスターこと、お祖父ちゃんはまだ、チケットを販売機で買えない。
☆ ☆
楽しかった久しぶりに部長、宝田明さんと映画を一緒に観た。
「マジでそんなヤツなんですか。そんなヤツは、ボクの鉄権で! ボク、ジークンドー習っているんです」
「いけないわ、有楽くん。暴力は映画の中だけよ。ソレにあなたには関係ないコトだから」
「あ、すみません!」
「いいのよ、ブルース・リーの映画が、わからないよーな男とは別れるわ」
「いいと思います」
☆ ☆
『カフェ・ケム〜ル』だよ。
「さすがね、本当にこの映画、泣けたわ」
「でしょ……」
「行こっ波田さん」
「あ、待って僕の涙がかわくまで……。もう少しこの映画の余韻をあじわいたいんだ」
「え、ご飯食べたいの……」
「ソレで何度もフラれてね、いまだに彼女無し。独身なんだよ」
「……」
つづく




