趣味の違い
50話
『カフェケ・ム〜ル』からの帰りに突然新丸子忍さんから告られた。
「ゴメンナサイ。あなたとはお付き合は、出来ません!」
「なんでです。僕の事嫌いですか……」
「あ……。あなたの好きな映画は?」
「『東京物語』とか『青い山脈』とか。あ、あと『エヴンゲリオン』も好きです」
「だからよ、怪獣映画が一作もないわ。だからよ。せめて、ゴジラ映画の一作でもあれば考えたかも……。映画サークルなんだから趣味は大事よ。宝田さんも言ってたわよねっ」
「百鬼夜行さん、僕はあきらめません!」
☆ ☆
「久々ね。シネコンで出会うのヒカル」
「だね、アキは相変わらず劇場にかよってるんだね」
「あら、ヒカルは最近は劇場で映画観てないの?」
「そうね、あまり劇場には。で、家で観てるけど、古いのが多いかな。」
「そうなんだ、イイんじゃない。あ、連休とか新作観ないの?」
「うーん予定ないけど、最近は配信でね。弟に大型テレビで観れるようにしてもらったから、スマホより迫力あるの。でね『2001年宇宙の旅』観て『ロッキー』シリーズ観て『猫目小僧』観たわ。映画の見方も変わったわね」
「たしかに……」
でも、わたしはヒカルのそのチョイスが気になるわ。
☆ ☆
ある日の『カフェ・ケム〜ル』で。
「え、そうなんですかぁ。あの監督は園子温って読むんですか。私、知りませんでした。そのこあつしかと」
「ヨーコ、あたしもよ」
「読み間違いって多いよね。でも、あんたたち特撮ファンならゴジラの本多猪四郎は知ってるよね」
「え、イノシロウーじゃないんですか、鎌田さん」
「ミドリさんも、私もそう読んでた」
☆ ☆
「間宮林蔵、偶然ですね」
「あ、久しぶりに外で……。でも、林蔵じゃ」
「あなた、なんで、なんで、わたしを見捨てて結婚したの……」
「わたしをもてあそんだのね!」
うわぁあ!
「あ……夢か」
百鬼夜行さんの顔が、目が突然に巨大化し襲ってくるなんで、どういう夢だ。
「ん……。りんちゃん、どうしたの?」
「あ、いや、怖い話を」
一方、百鬼夜行愛のベッド。
「はぁつ! ナニ今の……夢。なんであんな夢見たのかしら……。林蔵に怒りをぶつけるなんて」
☆ ☆
『カフェ・ケム〜ル』の夜。
「『シン・ゴジラ』、『シン・ウルトラマン』『シン・仮面ライダー』『シン・エヴァ』ってさ、あの監督は次はナニをシンにするのかね。このところおちついてるけど」
「あの監督の趣味ですよね、鎌田さん。やはり『シン・ナウシカ』とかやりたいんじゃ。でも宮崎駿がウンと言わないでしょうね」
「なるほどね~。アニメの人だしねあの監督は。さすが金田さん」
「あたしぃまえのが最悪だったから『シン・デビルマン』作ってほしいわ!」
「実相寺さんの気持ちわかります。でも私は個人的趣味ですけど、あのウェンツ瑛士の鬼太郎がダメなので『シン・ゲゲゲの鬼太郎』を作ってほしいです! 鬼太郎はのほほ〜んとした子どもにやらせたいです」
「なるほど水森さんらしい。けっきょく、『新大魔神』は、どうなったのかなぁ変なテレビドラマとか、『妖怪大戦争』の続編でCGで出てたけど、私は昔ながらの時代劇版の大魔神が観たい!」
「鎌田さん、ボクは大魔神って観たことないんですけど」
「りんちゃん、若ぶってるけどテレビで二三回観てんじゃないの?」
「ぶってません。午後のロードショーでやりました?」
☆ ☆
私、東陽子は即売会で出会った珠希ちゃんと一緒に同人誌を即売会で売るようになった。
ミドリさんのコトもあったし、もしかして私ってユリな女なのかも。
自分ではまだ、自覚はないけど。
なぜか珠希ちゃんの顔に惹かれる自分が。
「お、居た居た。珠希、見に来たぞ」
「あ、お兄ちゃん!」
「この人は友だちの東陽子さん。私の双子の兄だよ」
「陽子さん、珠希の兄の珠雄です。お手伝いありがとう」
珠希ちゃんと同じ顔の男性。
そうかぁ。こういうコトだったのね。
うるうる。
☆ ☆
「あっ!」
あっ わたしは街中で、懐かしい顔に会った。
「中学校で一番の美少女だった。映画部の部長。宝田明先輩!」
有楽太郎くんだ。
昔みたいな坊ちゃん刈りヘアーのメガネ男子ではなくウエーブがかったクセ毛の長髪だけど、すぐにわかった。
「宝田先輩、お久しぶりです!」
「有楽くん、映画観てる?!」
「はい、考えるな!」
「感じるんだ。でしょ」
あの映画で親しくなった。リー師匠のおかげだ。ありがとう。また会えた!
つづく




