コスプレイヤー降臨
48話
『カフェ・ケム〜ル』 にて。
「知ってるかね、みりあさん。『ОK牧場の決闘』は、たった一分で終わったそうだ」
「そーなんだ」
「ビリー・ザ・キッドの本名はウィリアム・H・ボニーなんだ。で、彼を撃った有名なパット・ギャレットとは、牧童仲間だったんだ」
「そうなんだ。じゃわたしもマカロニのウンチクね、あの有名な『続荒野の用心棒』の主題歌『さすらいのジャンゴ』は、オリジナルは英語バージョンなんだ。イタリア語版がカバーなんだよ」
「ソレは知らなかった。イタリア映画だから逆かと……。だが、私はタランティーノの『ジャンゴ』しか、観てないんだ。実は私はマカロニウエスタンは観ないファンなんだ」
「そうなの、じゃ邦画の『ジャンゴ』も?」
「観てないな〜」
「ちなみにあの映画の『さすらいのジャンゴ』は北島三郎が歌ってるんだ」
「はぁ〜。で日本語?」
「もちろんよ。こぶしきかせてね」
☆ ☆
警視庁内。
「りんちゃん、こないだオススメした黒澤の映画観た?」
「はい、観ましたよ。ラブコメで、まあ面白かったけど展開がベタでしたね〜」
「え、ラブコメ? 本当に黒澤の映画観たの」
「ええ、森三中のクロサワでしょ。彼女主演の『クロサワ映画』ですよね?」
「今の子は、黒澤と言ったら……。ごめんネ、タイトルをちゃんと言うべきだったわ。『用心棒』とか『椿三十郎』とか」
☆ ☆
『カフェ・ケム〜ル』。
「ごめんね、バイトあるから。早めにあがるわ」
「あ、今回も……。塩見さん、最近スタントマンの仕事が減ったって、バイトしてるそうよ」
「スタントマンって、仕事減ってるの? アキ」
「ヒカル〜やっぱアレね。CGとかAIのせいで映画業界の仕事が無くなってるそうよ。美術なんかも……」
「しかし、宝田さん。映画の面白さは、そんなもので決まりません」
「そうだ! よく言った進之介、わかってるじゃないか」
「あ、父さん!」
☆ ☆
同じく『カフェ・ケム〜ル』。
「ナニ、二人でもめてんの?」
「あ、鎌田さん。ヨーコがぁ」
「東宝特撮映画の三大ロボットって、メカゴジラとメカニコングとガイガンですよね~」
「ソレは、違うと。ガイガンはロボットじゃなくサイボーグ怪獣だと、あたしは」
「あんたたち、やはり若いわねぇ。1台、有名なの忘れてるわよ。ガイガンよりロボットらしいのを」
「何かしら?」
「ナースかしら……」
「ヨーコ、ナースはメカマンダじゃないって……」
「モゲラよ」
「ゴジラと戦ったわね」
「ミドリさん、アレは別物よ」
☆ ☆
雷田電器店。
「親父、桃谷さんから電話が。エアコン壊れたから修理してくれと」
「桃谷か、あいつ去年のテレビの修理代のツケをまだ払ってないよな」
電話で催促すっか。
「オレだ雷田だ。桃谷なぁエアコン直す前にテレビの修理代払えよ」
〘悪いなライちゃん。最近不作でな……。あ、エアコンを直さないと夏のモンスター映画祭の上映会しんどいぞ〙
「そうだな、すぐ直しに行く!」
「親父、修理代は?」
☆ ☆
間宮邸。
「今日は、わたしの誕生日よ……」
「ああ、出来るだけ早く帰るよ!」
午後六時。
「部長、帰ります」
「ああ、」
リリリリリ
わっ、いやな予感。
「あぁ、わかった。悪いな鎌田、間宮。事件だ、ちょっと行ってくれ!」
「部長、私が一人で」
「それは、ちょっとな……。間宮も一緒に」
「ごめんねりんちゃん。私、頼りなくて」
「はい、わたしよ。そうなんだ、仕事だからね」
やっぱり、こういう日にはホントに事件っておきるのね。
ドラマや映画だけじゃないんだ。
刑事の嫁になった宿命かしら。
☆ ☆
『カフェ・ケム〜ル』で。
「私が、まえ居たサークルが解散しちゃって、探してたんです。こういうサークル。私、プロのコスプレイヤーやってます川崎マナです」
「美人のマナちゃんはいくつですかぁ?」
「ヨーコ、美人とか付ければ歳を聞いていいわけじゃ……」
「問題無いですよ。ミソジでーす。エヘヘいい歳してますけど今夜は『エヴンゲリオン』から、綾波レイの制服コスで〜す」
「ボク、新丸子で〜す。次はアスカをお願いしま〜ス」
「はい、アスカは今度ね。他にリクエストがあったら頑張っちゃいま〜ス!」
「『ゴジラ対ヘドラ』出来るぅ?」
「乞うご期待!」
☆ ☆
ひと月後『カフェ・ケム〜ル』。
「イイんじゃないですかぁ」
「なるほど、そうきたか……」
「水銀 コバルト カドニウム 鉛 硫酸 オキシダン……」
全身タイツでボディアート風にしたヒロインのダンスシーンだわ。
おおおおおお!
男たちは喜ぶはね。
第二部。
トルルル
ヘドラの着ぐるみ!
BОООООО
全身タイツより男たちの不満のブーイング。
わたしはこっちがイイ!
「あの……。アスカ・ラングレーは?」
つづく




