映画が長いのは
47話
警察なんで、正月とか休めないとは知っていが、やっぱ。
「実家に帰って餅食いたいです」
「いいねぇ実家で雑煮とか、ホシの実家が茨城だったからね。実はウチの実家が近いのよね」
「鎌田さんって、東京じゃなかったんですか?」
「ホントは茨城なの。今は妹家族と老いぼれた父がね」
「ですか、ホシの実家に行くと部長に……。まさかそういう」
「あ、ちょっと顔だそうかなと思って。捜査費で交通費おとせるじゃない。ついでにさ、近くに映画村があるからさ、見ていこう。ホシの家はその後でもね。どうせやっこさんは居ないよ」
☆ ☆
「ありえない偶然です!」
「それは、ボクも……」
「あんたも茨城に来てたの百鬼夜行さん」
「ボクたち仕事でね」
「実相寺さんから、聞きました。間宮林蔵は刑事だったと。ウソつきましたね。ウルトラ警備隊なんて」
「うそ?! アレは冗談だよ。まさか信じて……。あ、林蔵じゃないから」
「ウルトラ警備隊。笑わせるわね、りんちゃん。でも日本の平和を守ってんのよ。私たち」
「キミは群馬だよね、何しに茨城に?」
「近くに有名な映画村が有るんです。ソコに」
「りんちゃん、目的は同じよ。一緒に観光しょう百鬼夜行さん」
「鎌田さん、仕事です。観光では……」
☆ ☆
『カフェ・ケム〜ル』。
「あの……。ココに映画サークルの」
「巫女音朋さんね」
「はい」
「あたし『キネマの休日』の入会者担当の実相寺緑です。ガラガラだからどこでも好きなトコ座って」
変なぬいぐるみ持った、暗そうな娘ね。
目印に黒いぬいぐるみ持ってると。
う〜ん。でも、何かしらあのぬいぐるみ?
あら、一番奥のテーブルに。
「ここ、ウチの店みたいなもんだから、コーヒー飲める? サービスよ。え〜と巫女音さんは、どんな映画が……。当ててみようかな。ズバリ、ホラーとか。あたし、古いけど岸田森の『血を吸う』シリーズ好きなの。知ってる? 岸田森」
「いえ、知りません。私はラブコメが好きなんです。あ、お金払いますからココアあります?」
「そうか、ラブコメかぁ〜ハズしたね。あ、ココアね。有るよ。お金はイイわよ。コーヒーはあたしが飲むから」
☆ ☆
それから、たまたまシネコンのロビーで巫女音さんと会ったあたしは二人で並んでラブコメ映画を観た。
〘キミと一緒ならボクは天国に居るようだ!〙
〘あなたと居るとわたしゃ地獄だよ!〙
あはははは
場内爆笑。
アレ無表情ね。巫女音さん。
上映後。
「巫女音さん、今日のラブコメはイマイチだった?」
「いえ、とても面白かったですよ」
「そうなんだ。笑ってなかったから、つまらなかったのかなぁと」
そしたら彼女、無表情で。
「あの、面白い映画って、どんな顔して見ればいいんですか? 私、わからないんです」
「笑えばいいのよ……」
☆ ☆
久しぶりに同人誌の即売会に。
懐かしいミドリさんと出会った即売会だ。まだ続いていたんだ。
「あ、ヘドラのガレージキットの完成品だ!」
「あんた、ヘドラ好き? どうこの完成品、五千円でどう。キットだと398だけど、完成品で塗装済みだからね」
「高いわねぇ……。実は私、金星人なの二千円にまけて」
「あ……。そうなんだ、オレはX星人なんだ。三千円なら」
「う〜んあと、友だちがムー帝国の女王なの二千円」
「そうか、オレのジイさん海底軍艦の船員なんだ三千円」
☆ ☆
「張り込みですか、ならお弁当を。アンパンと牛乳じゃ……」
「日音歌ちゃん、張り込みで、愛妻弁当はちょっと……」
「だね、お弁当はねぇ立って食べれないものね」
彼女は知らないのかな。最近はコンビニがあるから、ハンバーガーやコーヒー。
肉まん等の蒸しまんがある。
「アメリカンドック好きなんですボク」
「近くにバーガーショップもあるしね、アンパンや牛乳の時代じゃないのにね。りんちゃんのカミさんいくつよ?」
「ボクより若いです」
☆ ☆
「え、私と……」
「ダメですか。新海誠監督のアニメ、好きだと居酒屋で言ってましたから」
-「と、あのアニメオタクの金田さんに誘われたのね。行けば、ヒカル。入場料は出してくれるんでしょ」
「だから心配なのアキ。私、特にあの人好きでもないし……。帰りに告られたらと」
「そん時はゴメンナサイすればいいのよ。でも、それは、ないと思うな。このまえケ厶〜ルで可愛い奥さんがいると、のろけてたもん」
☆ ☆
あのときは暑かった。
アイスキャンディー食べながら鎌田さんが。
「知ってる、りんちゃん。インド映画が長時間なのは劇場内で涼むためなのよ」
「なるほど、インドは暑いですからね」
「まあね、でもアメリカもやたら暑くなってるよね、日本も……。だから最近の映画は長いのよね」
「なるほど、わかるわ。トムの映画も二時間は、あたりまえだもん。最近の邦画も長いのヒットしてるけど、寒いときは劇場は暖かいわよね。りんちゃん」
「たしかに……。あのね、奥さんなんだからぁ。りんちゃんはやめようね」
つづく




